不正アクセスの対策(ファイアウォール・VLAN)【ITパスポート講座】

この記事で学ぶこと
- ファイアウォール
- VLAN
- パスワード管理
今回はITパスポートにおける不正アクセスの対策方法を学んでいきます。


不正アクセスを防止するには
以前学んだマルウェアやその他の攻撃手法を含め、インターネット経由での不正アクセスは後を絶ちません。
しかしインターネットが発達した今日、危ないからと言った理由でそれらを使わないと、ビジネスにおいても趣味においても不便です。
不正アクセスや脅威を防ぎつつ、安全にインターネットや機器を使うためにはどうすればよいのか、確認していきましょう。

ファイアウォール
ファイアウォールは率直に和訳すると防火壁となり、外部からの危険アクセスをシャットアウトします。
自宅や勤務先のネットワークと、インターネットを含む外部ネットワークの間に設置し、外部からの攻撃や侵入を防げます。
また、各種サーバ(DNSサーバ・Webサーバなど)がおかれる場所をDMZ(DeMilitarized Zone:非武装地帯)と呼び、ファイアウォールと社内LANの間に設置され、外部に公開されるサーバを置きます。
インターネットからダイレクトにアクセスされるためファイアウォールにより特定のアクセスのみ許可する、はじく等の設定を行います。

プロキシサーバは社内LANのクライアントに変わって、インターネットへのアクセスを行う代理サーバです。クライアントPCがインターネットに直接アクセスするわけではないため、セキュリティ向上が見込めます。

WAF(Web Application Firewall)はファイアウォールの一種ですが、従来のファイアウォールで防げないWebアプリケーションに対して不正な攻撃を防御します。
WAFではシグネチャと呼ばれるアクセスパターンによって、通信許可と拒否の判断を行います。
VLAN
インターネット回線への侵入を防ぐためには、他のユーザがアクセスできない専用線のネットワークを用いる必要があります。実際に警察電話や銀行のオンラインシステムで用いられていますが、費用が高いデメリットがあります。
VLAN(Virtual Private Network)は公衆回線を専用回線のように利用する技術です。認証及び暗号化と復号によって通信の安全性を確保します。
一般的なインターネット網を用いるインターネットVPNと、通信業者の専用回線を用いるIP-VLANがあります。
IDSとIPS
IDS(Intrusion Detection System:侵入検知システム)は、ネットワークをリアルタイムで監視し、異常を検知した場合に管理者へ通知するシステムです。
似た言葉にIPS(Intrusion Prevention System:侵入防止システム)があり、こちらは不正なアクセスの侵入を遮断します。


上記以外の重要用語も押さえておきましょう。
用語 | 解説 |
デジタルフォレンジックス | 不正アクセスなどのコンピュータに関する犯罪の法的な証拠を確保する技術 |
DLP(Data Loss Prevention) | 機密情報を自動的に特定し、送信や出力など社外への持ち出しに関連する操作で 機密情報が検知された場合にブロックする手続き |
SIEM(Security Information Event Management) | さまざまなネットワーク機器やサーバからセキュリティ情報を収集・分析し、一元管理する仕組み。 |
ペネトレーションテスト | 内外からの不正アクセスを試行し、システム内の脆弱性を洗い出すテスト |
アンチウイルス
ファイアウォールでは、不正なアクセスや侵入を防げても感染してしまったマルウェアの拡大は防げません。
アンチウイルス(ウイルス対策)は、何らかの理由で侵入してしまったマルウェアを検出して感染させず除去する仕組みです。
アンチウイルスソフトは、入れた後も注意すべき点がいくつかあります。
パターンファイルを最新にしておく
パターンファイルとは、すでに発見されたウイルスの特徴を記録しておくファイルです。
パターンファイルを定期的に更新することで、常に最新の情報を保持できるので、新しいウイルスにも対抗できるようになります。

大抵のソフトは自動で最新のファイルに更新されるようになっています。
感染が発見されたときは早急にネットから遮断
ゼロデイ攻撃などによりパターンファイルにないウイルスに感染してしまった場合、他のユーザにネットワークを介して感染が拡大しないようにすぐにネットから切り離します。
また、その後の処置として上司・システム管理者などにすぐ連絡することも重要です。
パスワード管理
パスワードの管理方法も非常に大事です。
キーロガーの様にマルウェアやスパイウェアによる漏えいもありますが、物理的に漏えいするケースもあります。
例えば、たまたま机の上にパスワードのリストが放置されていてそれを顧客に見られたり、普段使うパソコンのサイドにメモとして貼られていて誰かに見られたりすることが該当します。
パスワード管理のために気を付けるべきポイントは以下の通りです。
パスワードの資料を放置しない
管理者の不備によりパスワードが誰でも閲覧できる状態だったり、持ち出せるような環境だったりするケースは意外と多いです。
社内の人間が機密情報を持ち出し、業者に売った事例もあります。基本的に重要なデータはパスワードを含め、特定の人しか見られないようにし、厳重に管理してきましょう。
強固なパスワードを設定する
推測されやすい文字列は極力避け、英大文字小文字・数字・記号を組み合わせた無意味な文字の羅列を作り、一定以上の文字の長さを設定するなども安全性を高められる手法です。

ランダムでパスワードを生成するツールも多いので、積極的に利用しましょう。
パスワードを使いまわさない
どんなに長くて突破が困難な文字列のパスワードを設定しても、サイト側に問題があったり暗号化されていなかったりしてパスワードが漏えいした場合、他のサイトでも使いまわしていると芋づる式にパスワードがばれます。
芋づる式の情報漏えいや不正アクセスをさけるために、サイト毎のパスワードを変える対策も有効です。


ワンタイムパスワードを利用する
ワンタイムパスワードは1回しか利用できない使い捨てのパスワードです。
ワンタイムパスワードはトークンと呼ばれるハードや、アプリなどのソフトによって管理可能で、何らかの理由でそのパスワードがばれてしまっても次には利用できないため安全性が高いです。


不正アクセス対策における重要語句
以下は試験でも良く問われる語句です。あわせて押さえておきましょう。
用語 | 解説 |
ゼロトラスト | 信頼を何に対しても与えない前提でセキュリティ対策に取り組む |
EDR | ユーザが利用する端末やサーバの不審な挙動を検知するシステム |
3-2-1ルール | マスタを含んだ3つのデータコピーを持ち、2つの異なる形態でバックアップをとり、1つはオフサイト(データ保存・クラウド)にとる |
イミュータブルバックアップ | 一度書き込んで消えない追記型の媒体に記録し、削除・暗号化・改ざんを防ぐこと |
ゾーニング | 物理対策の一つ。取り扱う情報の重要性に応じて、オフィスをはじめとする空間を物理的に区切ること |
共連れ | 認証を受けた人が部外者を意図的に誘導したり、認証を受けた人の後から駆け込んだりして不正に制限区画へ入り込むこと |
クリアデスク | 離席時に、机の上に書類や記憶媒体を放置しないこと |
クリアスクリーン | パソコンの画面を他人がのぞいたり操作したりできる状態にしないこと |
不正アクセス対策の例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問1
外部と通信するメールサーバをDMZに設置する理由として,適切なものはどれか。(R.1秋/問92)
ア:機密ファイルが添付された電子メールが,外部に送信されるのを防ぐため
イ:社員が外部の取引先へ送信する際に電子メールの暗号化を行うため
ウ:メーリングリストのメンバのメールアドレスが外部に漏れないようにするため
エ:メールサーバを踏み台にして,外部から社内ネットワークに侵入させないため
(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)
問2
a~dのうち,ファイアウォールの設置によって実現できる事項として,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。(R.4/問64)
a.外部に公開するWebサーバやメールサーバを設置するためのDMZの構築
b.外部のネットワークから組織内部のネットワークへの不正アクセスの防止
c.サーバルームの入り口に設置することによるアクセスを承認された人だけの入室
d.不特定多数のクライアントからの大量の要求を複数のサーバに動的に振り分けることによるサーバ負荷の分散
ア:a,b
イ:a,b,d
ウ:b,c
エ:c,d
(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)
問3
あるWebサイトからIDとパスワードが漏えいし,そのWebサイトの利用者が別のWebサイトで,パスワードリスト攻撃の被害に遭ってしまった。このとき,Webサイトで使用していたIDとパスワードに関する問題点と思われる記述はどれか。(H.29春/問95)
ア:IDとパスワードを暗号化されていない通信を使ってやり取りしていた。
イ:同じIDと同じパスワードを設定していた。
ウ:種類が少ない文字を組み合わせたパスワードを設定していた。
エ:短いパスワードを設定していた。
(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)
問4
ウイルス対策ソフトに関する記述a~cのうち,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。(H.23秋/問61)
a.USBメモリから感染するタイプのウイルスを検知できるものがある。
b.定期的にウイルス対策ソフトとウイルス定義ファイルの更新を行っていても,ウイルスを検知できないことがある。
c.ボットウイルスを検知できるものがある。
ア:a,b
イ:a,b,c
ウ:b
エ:b,c
(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)
問5
ネットワーク環境で利用されるIDSの役割として,適切なものはどれか。(R.5/問67)
ア:IPアドレスとドメイン名を相互に変換する。
イ:ネットワーク上の複数のコンピュータの時刻を同期させる。
ウ:ネットワークなどに対する不正アクセスやその予兆を検知し,管理者に通知する。
エ:メールサーバに届いた電子メールを,メールクライアントに送る。
(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)
不正アクセス対策のまとめ
今回は不正アクセスの対策について学習しました。
特にファイアウォールは頻出です。どのような方法で社内LANを守っているのか、DMZは何なのかなど、把握しておきましょう。

次回は暗号化について学習します。

福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません