固定資産の売却時の処理[日商簿記2級(商業)講座]
今回は日商簿記2級において、固定資産を売却したときの仕訳処理について学習します。
固定資産の期中売却
固定資産を期中に売却した場合、使っていた期間分の減価償却を行います。
そして売却時に帳簿価格より高く売れたのか安く売れたのかで固定資産売却益(収益)が発生したのか、固定資産売却損(費用)が発生したのかを判断します。
それではあらためて例題を通して確認してみましょう。
なお、減価償却方法は定率法(償却率20%)、間接法で記帳している。
期中に売却した場合の処理
まずは備品と減価償却累計額をそれぞれ0にし、未収入金を計上します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
減価償却累計額 | 2,880 | 備品 | 8,000 |
未収入金 | 4,800 |
となります。これだけでは貸借が合わないので残りの処理を見ていきましょう。
期中(もしくは期末)に固定資産を売却した場合、当期首から売却日までの減価償却費を計上します。
今回のケースでは期首(×3年4月1日)から、売却日(×3年9月30日)までの6ヵ月分の減価償却費を計上します。
\((8,000円-2,880円)×20\%×\frac{6ヵ月}{12ヵ月}=512円\)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
減価償却累計額 | 2,880 | 備品 | 8,000 |
減価償却費 (費用の発生↑) |
512 | ||
未収入金 | 4,800 |
これでも貸借はバランスしていませんね。最後に損益を計上します。
今回のケースであれば備品が8,000円に対して、備品の減価償却累計額は2,880円・費用が512円・売価が4,800円で合計8,192円になります。
つまり192円分得したわけなので、貸方に固定資産売却益を計上します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
減価償却累計額 | 2,880 | 備品 | 8,000 |
減価償却費 | 512 | 固定資産売却益 (収益の発生↑) |
192 |
未収入金 | 4,800 |
これで貸借がバランスしましたね。
売価価格が帳簿価格より低い時
次に、売却した固定資産が帳簿価格より低かった場合を考えていましょう。
例題では4,800円で売っていますが、これが4,500円で売却した場合を考えてみます。途中までは同じなので
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
減価償却累計額 | 2,880 | 備品 | 8,000 |
減価償却費 | 512 | ||
未収入金 | 4,500 |
となります。今度は借方合計が7,892円、貸方が8,000円なので借方が108円不足しています。
この場合は固定資産売却損を用いて計上します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
減価償却累計額 | 2,880 | 備品 | 8,000 |
減価償却費 | 512 | ||
未収入金 | 4,500 | ||
固定資産売却損 (費用の発生↑) |
108 |
固定資産の期中売却・例題
例題を解いて慣れていきましょう。
問題
金額は3桁ごとにカンマで桁区切りをして半角で入力すること(iOSの一部の環境以外は自動入力されます)。
(例:現金 500、商品 1,000,000)
また、仕訳が複数行に渡る場合、金額の多い物から順に書き、不要なところは空白のままにしておくこと。
使える勘定科目は以下のものとする。
勘定科目:[現金][未収入金][備品][備品減価償却累計額][固定資産売却益][固定資産売却損][減価償却費]
問1
長崎商事(年1回、3月31日決算)は、×3年6月31日に備品(取得原価400,000、購入日×1年4月1日)を295,000円で売却し、代金のうち170,000円は現金で受け取り、残りは翌月末日に受け取ることとした。
なお、当該備品は定額法(残存価格ゼロ、耐用年数8年)により減価償却しており、間接法で記帳している。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
問2
佐賀商事(年1回、3月31日決算)は、×3年9月31日に備品(取得原価1,000,000、期首減価償却累計額512,000円)を430,000円で売却し、代金は月末に受け取ることとした。
なお、減価償却方法は定率法(償却率20%)、間接法で記帳している。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
解答(クリックで展開)
固定資産の期中売却・まとめ
今回は固定資産を期中に売却した場合の仕訳について学習しました。帳簿価格と見比べて、どのような時に固定資産売却益となり、どのような時に固定資産売却損となるかを押さえておきましょう。
次回は固定資産を買換えた時の処理について学んでいきます。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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