[日商簿記2級]合格率は低い?過去50回の推移は?157回や158回が炎上した理由も解説!

日商簿記2級は数ある資格の中でも合格率が回毎に大きくぶれ、推移状況を見てもなかなか安定しない資格です。

理由はさまざまですが、年々この合格率が低くなっており、簿記2級も決して簡単に合格できる資格とは言えなくなってきました。
今回はなぜ合格率がこのように低下しているのかを説明しつつ、今後の推移を予想し、取るべき対応策を紹介していこうと思います。

簿記2級の過去の合格率
まずは過去50回分の合格率の変動を見て行きましょう。(参考)
回 | 受験者数 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
158 | 28,572名 | 22,711名 | 5,440名 | 24.0% |
157 | 45,173名 | 35,898名 | 3,091名 | 8.6% |
156 | 51,727名 | 39,830名 | 7,255名 | 18.2% |
155 | 中止 | |||
154 | 63,981名 | 46,939名 | 13,409名 | 28.6% |
153 | 62,206名 | 48,744名 | 13,195名 | 27.1% |
152 | 55,702名 | 41,995名 | 10,666名 | 25.4% |
151 | 66,729名 | 49,766名 | 6,297名 | 12.7% |
150 | 64,838名 | 49,516名 | 7,276名 | 14.7% |
149 | 52,694名 | 38,352名 | 5,964名 | 15.6% |
148 | 65,560名 | 48,533名 | 14,384名 | 29.6% |
147 | 63,757名 | 47,917名 | 10,171名 | 21.2% |
146 | 58,359名 | 43,767名 | 20,790名 | 47.5% |
145 | 78,137名 | 60,238名 | 15,075名 | 25.0% |
144 | 72,408名 | 56,530名 | 7,588名 | 13.4% |
143 | 58,198名 | 44,364名 | 11,424名 | 25.8% |
142 | 90,693名 | 70,402名 | 10,421名 | 14.8% |
141 | 76,207名 | 59,801名 | 7,042名 | 11.8% |
140 | 62,473名 | 47,480名 | 16,395名 | 34.5% |
139 | 71,969名 | 55,225名 | 12,054名 | 21.8% |
138 | 70,235名 | 54,188名 | 14,318名 | 26.4% |
137 | 54,773名 | 40,330名 | 13,958名 | 34.6% |
136 | 73,679名 | 55,960名 | 23,254名 | 41.6% |
135 | 77,760名 | 60,377名 | 13,601名 | 22.5% |
134 | 58,206名 | 42,703名 | 5,920名 | 13.9% |
133 | 76,069名 | 57,898名 | 27,538名 | 47.6% |
132 | 79,837名 | 61,796名 | 14,149名 | 22.9% |
131 | 64,353名 | 48,341名 | 14,834名 | 30.7% |
130 | 72,040名 | 53,404名 | 16,808名 | 31.5% |
129 | 83,716名 | 64,052名 | 28,489名 | 44.5% |
128 | 69,890名 | 52,546名 | 18,299名 | 34.8% |
127 | 88,363名 | 66,838名 | 21,653名 | 32.4% |
126 | 90,607名 | 69,100名 | 14,857名 | 21.5% |
125 | 88,621名 | 67,337名 | 26,909名 | 40.0% |
124 | 90,804名 | 66,330名 | 8,244名 | 12.4% |
123 | 97,389名 | 74,371名 | 28,585名 | 38.4% |
122 | 78,645名 | 57,616名 | 14,700名 | 25.5% |
121 | 81,616名 | 60,475名 | 26,053名 | 43.1% |
120 | 83,573名 | 61,662名 | 18,252名 | 29.6% |
119 | 68,962名 | 50,573名 | 15,830名 | 31.3% |
118 | 77,801名 | 57,812名 | 16,973名 | 29.4% |
117 | 80,432名 | 60,887名 | 12,609名 | 20.7% |
116 | 62,024名 | 44,242名 | 12,911名 | 29.2% |
115 | 71,024名 | 52,104名 | 22,168名 | 42.5% |
114 | 77,652名 | 59,212名 | 18,829名 | 31.8% |
113 | 61,686名 | 45,293名 | 13,785名 | 30.4% |
112 | 66,456名 | 48,273名 | 11,660名 | 24.2% |
111 | 74,425名 | 55,876名 | 18,539名 | 33.2% |
110 | 54,214名 | 39,859名 | 16,264名 | 40.8% |
109 | 59,341名 | 42,928名 | 11,797名 | 27.5% |
108 | 76,603名 | 59,904名 | 28,083名 | 46.9% |
107 | 58,796名 | 43,540名 | 2,476名 | 5.7% |
106 | 63,432名 | 49,051名 | 18,951名 | 38.6% |
105 | 74,100名 | 58,852名 | 17,569名 | 29.9% |
104 | 62,492名 | 48,785名 | 10,972名 | 22.5% |
103 | 64,446名 | 49,777名 | 11,555名 | 23.2% |
102 | 74,475名 | 59,213名 | 18,338名 | 31.0% |
101 | 59,708名 | 46,842名 | 15,500名 | 33.1% |
高いときは約50%、低いときは107回の5%と合格率の幅がかなり空いていることが伺えますね。

この変動幅は異常で、良い時は2人に1人合格するのに悪い時では20人に1人しか合格できない事実を物語っています。
回によってここまで差があると1回1回が博打の様にすら感じられてしまいます・・・。
日商簿記2級の合格率の推移
あらためて、合格率をグラフ上にプロットしてみましょう。
これは過去20回分の合格率ですが、こうしてみると変動が激しいように感じます。

日商簿記2級は今後どうなる?
今後の合格率や難易度に関して、このグラフだけ見ると変動が大きすぎて何とも言えませんが、このグラフの各合格率を最小二乗法によって計算すると合格率は右肩下がりで下がっていきます。
したがって、簿記2級の出題範囲に訂正があるなどの要因がなければ今後も難易度が上がり続けて合格率は下がっていくことが予想されます。
現段階が最も簡単・・・なんてことも予想されるので早め早めに受験して合格しておきたいですね。

日商簿記2級はなぜ合格率にばらつきがあるのか
ではなぜこのように合格率のばらつきが大きいのでしょうか。その理由としては主に以下の3つが考えられます。
絶対評価のため、試験が難しければ合格率は低くなる
まず第一に、簿記2級は配点があらかじめ決まっており、その回が難しかろうが簡単だろうが基準の70点を超えなければ合格とならない絶対評価を採用しているところにあります。
他の資格では60点以上が合格と言われていても、合格率を平均20%に設定しており下駄をはかせるような相対評価の試験も多いですが、簿記2級に関しては全体的にできが良くても悪くても関係なく70点以上か未満かで明暗が分かれてしまいます。
そのため、ある回は簡単で受験者の30%が70点を超えれば合格率も30%に、逆に5%しか70点を超えなければ合格率も5%になってしまいます。

出題範囲が頻繁に変わるため、対策しにくい
簿記の中の商業簿記と呼ばれる分野は度々出題範囲が変わる傾向にあり、それに伴い教科書も頻繁に新しいものが出版されています。
特に範囲が変わったばかりの時は出版社やスクールの講師も問題の傾向を掴めず、不十分な教育になってしまうために受験者が十分な対策をできないまま本番を迎えてしまうことがあります。
最近では連結子会社が2つ出てくるという簿記1級保有者でも顔面蒼白物の問題が出るなど範囲が読めないところも合格率の変動が激しい一つの要因です。
難しい論点が追加されれば合格率は下がり、逆に難しい論点が削除されたり簡単な論点が追加されれば合格率が上がるのは自明ですね。

各回のむずかしさの幅が大きすぎる
最後に、そもそも簿記2級は各回ごとの難易度に明らかに差があります。
問1~5までほとんど基礎ができていれば解けてしまう問題の時は3~40%の合格率になりますし、そのうちの大問2~3個は明らかに点数を取らせる気が無いような問題構成であれば合格率も一桁を切ります。
こればっかりはどうしても運と言わざるを得ない部分があります。
過去に連結会計では、子会社2社が出題された問題もあります。
この回はかなりの高難易度問題に含まれ、簿記1級の知識がそれなりにある筆者でも解けませんでした。
多くの方が受験後にTwitter上で阿鼻叫喚されておりました。
高難易度問題も過去には何回か、容赦なく出題されていきます。
日商簿記2級の合格率が下がる要因
簿記2級は回毎に合格率が変動しますが、その点を除いても合格率はここ近年低い傾向にあります。
なぜ合格率が低下するのか、その理由を分析して見ましょう。
工業簿記と呼ばれる計算主流の分野が追加される
まず日商簿記2級では3級までにはなかった工業簿記と呼ばれる科目が入ってきます。
この工業簿記は主に工場で用いられる簿記を想定しており、材料費や労務費(働いている作業員の賃金)等の概念が含まれます。
商業簿記が記憶メインだったのに対して工業簿記は計算が主流となってきます。
記憶が得意で覚えることには抵抗を感じなかった方、一夜漬けで何とかなった方でもこの工業簿記の計算方法で躓いてしまい成績が伸びなかった・・・という方も多く見てきました。
計算方法さえわかってしまえば対策は立てられるのですが、慣れていないと時間がかかってしまい、苦手意識を持つ方が多いです。
この工業簿記が全体の4割を占めるので早め早めに対策をしないと合格は遠のいてしまいますね。

最近連結会計も追加された
ここ数回で商業簿記にも連結会計が追加されました。
連結会計は日商簿記1級の目玉であり、会計学を知ったうえで取引を理解できないとなかなか点数に結びつかない難解なジャンルになります。
この連結会計が足を引っ張って合格率を下げたこともあるので、今後2級に挑戦する方、特に過去に1回受験経験があり過去の範囲しか把握していない方はこの連結会計を個別で対策しておく必要もあります。

そもそも会場にたどり着いていない人も多い
あらためて受験者数(申し込んだ人数)と実受験者数(受験会場に来て受験した人数)を見比べてみるとお分かりいただけるかと思うのですが、申し込んだもののそもそも受験しない、試験場に来ていない方が毎回大体2割近くいます。
筆者が受験した際も似たような具合で席がちらほら空いており、欠席者が目立ちました。
筆者の友達でも簿記2級をバックレた方がいて、理由を聞いたところ「勢いで申し込んだのは良いものの、テキストも終わり切っておらず合格できないからあきらめた」とのことでした。
簿記の場合は実受験者数を分母として合格率を算出するため、このように諦めた方は合格率に反映されません。
しかし、逆に「テキストは終わっていないけど、せっかく受験したのだから受けてみよう、もしかしたら・・・」という方もいるのが事実で、こちらはまさに筆者の弟がそうでした。
このように試験日までに間に合わずに準備が不十分の状態で挑む方も一定数いるので結果として合格できず、全体の合格率が下がってきます。
特に簿記2級は範囲が広く、簿記3級と同じような感覚で1週間前から詰め込めば行けると高を括ると全然時間が足りず力不足につながってしまいます。
簿記2級は年に3回、2月・6月・11月とあるので4ヵ月あれば合格できるだろうと悠長にしているとまず間に合いません。

過去には合格率が低すぎて炎上も?157回や158回が炎上した理由とは?
簿記は時たま炎上するクセがあります。

理由としては先述の通り、絶対評価であるにもかかわらず難問で合格率が低かった場合が挙げられますが、具体的にどのような問題が出題されるかを見てみましょう。
157回は難化しすぎた
直近で難しかった回と言えば157回です。合格率8.6%と言った数字からも、その難しさが伺えます。

157回の問題構成のなかでも、問2のリース取引が仕訳が多く、時間が足りなかった受験生が多かったようです。
あわせて問3の連結財務諸表も今までに問われたことのないような出題形式がされ、戸惑った方が多いと聞きました。
大問1つ落とすならまだしも、2つ落とすのは痛手となりかねません。
結果、合格率が1桁代に落ちてしまい「合格者を出すつもりがないのではないか!」といった怒りの声がよく見られました。

158回が炎上したのは3級
トレンドで見ると、簿記2級 158回 炎上と検索されることも多いです。
しかし、158回が炎上したのは2級ではなく3級です。
簿記2級158回自体の合格率は24.0%なので、さほど難しくはありませんでした。
3級の158回については以下の記事で解説しているので、気になる方はあわせてご覧ください。
日商簿記2級の合格率に左右されず合格するには?
こういった合格率の変動が大きい場合、どういった対策を考えればいいのでしょうか。
具体的には以下の五つに気を付けると良いです。
出題範囲が変わる前後は合格率が低くなりやすい
出題範囲が変わった直後は教材も整っていないことがあり、受験者が十分な対策を立てられず、合格率が低くなる傾向にあります。
逆に出題範囲が変わる直前も過去に難化したことがあります。
具体的な話をすると、2016年~2018年で出題範囲の改定があり、その前と後で合格率にも大きな差が出ています。
再掲になりますが、上の図は実際の直近20回分の動きです。
丁度143回から新区分に入りいったん合格率が上がったものの、その後の144回ですぐに下がっており、逆に141回や142回と言った直前でも合格率が下がっているのが伺えます。
このことからも、出題範囲が変わると言った告知がされた場合、直前ではなくそれよりも早くに受けてしまうか、少し様子見をして落ち着いてから動くかにして範囲が変わる直前、変わった直後は待ったほうが良いかもしれません。

継続して受験する
1回で合格できなくても数回連続で受験するのも手の一つです。
たまたま難しかった問題や自分の苦手な問題にあたってしまっても、次回は簡単だったり得意分野が出たりすることは十分にあり得る話です。
また、一度受けてから時間が空いてしまうと忘れることも増えてしまい再受験の時に学習しなおす範囲が広くなるため非効率になります。
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるということわざもありますが、試行回数を増やすのも大事ですよ!一発当たれば一生モノの資格を手に入れられるので。

常に最新の教材を用意する
これは当たり前の事ですが、教材に関しては常に最新のものを用意できるように心がけましょう。
数年前の物はまず使い物になりませんし、新しい論点やもう学ばなくて良い事まで学んでしまい、学習においてロスが生じます。
そのような事態を避けるためにもテキストを用意する必要があるのですが、最新のテキストは以下の記事にまとめているので、対策に活かしてみてください。
メルカリなどで古くなった参考書がかなり破格で投げ売りされていることがありますが、内容が対応しきれていない危険性があります。
安いからといった理由で飛びつくのではなく、しっかりと最新版かどうかを確認してから購入しましょう。結果的に時間もお金もどぶに捨てることになります。
根本的に勉強方法を見直す
何回学習しても点数が上がらない、合格できないといった場合、根本的に勉強方法が間違っている可能性もあります。
例えばテキストを読むことだけに専念している、過去問を解いても点数だけを見て間違い直しをしない、しっかりと集中できていないetc…
そうなっていてはいくら時間をかけても成績は上がるはずもなく点数に直結しません。
以下に筆者が実際に1発合格したときの勉強法をまとめているので、勉強方法に自信がない方はぜひ一度読んでみてください。
もちろん、これはあくまで一例でこれをすれば必ずといった保証はありませんが、勉強のコツをつかむきっかけとして、後は独自にアレンジなどを加えてみてください!
通信講座を利用する
モチベが続かない、学習のスケジュールが立てられない、という方は日商簿記2級を扱う通信講座を利用するのもおすすめです。
通信講座を利用する利点
通信講座を推す理由としては、通信講座の場合試験日までを逆算して学習プランを組んでくれることが多く、自分の感覚で行けるだろうと思って学習を進めていて間に合わなかった・・・といった事態を避けてくれるからです。
次こそは、次こそはを繰り返して試験日の1ヵ月くらい前から焦りだすというのは永遠に受からないパターンです。
試験料が積もっていきいつの間にか費用がかさんでしまい、結果的に無駄が生じてしまいます。
それよりはイニシャルコストがかかるものの、短期でプランを組んで短期間で資格取得してしまう方が、圧倒的にコスパが良いです。
また、通学スタイルの場合は周りに同じ簿記2級を受講するライバルたちもいる状態になります。
そうすると「周りは勉強しているから・・・」と焦燥感が生まれ、必然的に自身も机に向かわざるを得ない状況を作ることが可能です。
逆に通信講座は自信でペースやモチベーションを維持しないといけない点もあります。
しかし、動画で学習するのは視覚聴覚をフルに用いてインプットできるのでテキストベースで勉強するよりも定着が早いといった点や、比較的に通学よりも費用を抑えられるといった点は大きなメリットです。
おすすめの通信講座はフォーサイト!
簿記2級を取り扱う通信講座はいくつかありますが、個人的にはフォーサイト一択となります。
理由としてはまず受講料が安い点です。他のスクールは10万円近くするなかで、フォーサイトは3~4万円と半額以下で受講することができます。
加えて教材のクオリティも非常に高く、フルカラーで図表が多く見やすくなっています。
更にはe-ラーニングシステムも利用可能で、スキマ時間にスマホなどで勉強することもできます。

さらに詳しい情報は以下の記事にまとめています。
他にも講座はたくさん!
今述べた学校や講座は数ある選択肢のほんの一部です。
他にも魅力的な通信講座はたくさんあり、それぞれの講座にしかない魅力もあります。
以下の記事ではそれらの情報を比較しながらまとめているので、そちらも一度参考にしてみてください!
日商簿記2級の合格率まとめ
今回は簿記2級の合格率に着眼点を当てて解説させていただきました。
本来回毎にここまでばらつきが大きいのも問題だと思うのですが、人気資格で需要も高いので文句を言っている時間も勉強にあてたいくらいです。
特に今後はAIや情報技術の発展により会計の知識も問われる時代に入りつつあります。簿記2級をしっかりと取得し、今後のキャリアに箔をつけていっていただきたいです。
戦略的に分析し、賢い受け方をしてください!



福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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