連結会計・親会社の期末貸倒引当金の修正[日商簿記2級(商業)講座]
今回は日商簿記2級における親会社の期末貸倒引当金の修正について学習します。
親会社の期末貸倒引当金の修正
連結財務諸表を作成するさい、連結会社間の債権債務の期末残高は消去されるため、買掛金と売掛金なども相殺されます。
そして減額した売掛金に対する貸倒引当金も当然修正しなければいけません。
例を通して確認してみましょう。
次の取引について、当期の連結財務諸表を作成するために必要な連結修正仕訳を示しなさい。
[取引]当期末におけるひまわり商事㈱の貸借対照表には、いちご商事㈱に対する売掛金8,000円が計上されており、ひまわり商事㈱はこの売掛金に対して5%の貸倒引当金を設定している。
親会社の期末貸倒引当金の修正仕訳
まずは売掛金と買掛金の相殺消去ですが、こちらは以前学習した通りです。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
買掛金 | 8,000 | 売掛金 | 8,000 |
また、売掛金8,000円に5%(=400円)の貸倒引当金が設定されており、繰り入れ当時の仕訳は以下の通りです。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
貸倒引当金繰入 | 400 | 貸倒引当金 | 400 |
この逆仕訳をすれば子会社の売掛金にかかる貸倒引当金を修正したことになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
貸倒引当金 | 400 | 貸倒引当金繰入 | 400 |
2つの修正仕訳を合算して
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
買掛金 | 8,000 | 売掛金 | 8,000 |
貸倒引当金 | 400 | 貸倒引当金繰入 | 400 |
が答えになります。
前期末の貸倒引当金の修正
次に、前期末に貸倒引当金の減額修正をしている場合の仕訳も確認しておきましょう。
次の取引について、当期の連結財務諸表を作成するために必要な連結修正仕訳を示しなさい。
[取引]当期末におけるひまわり商事㈱の貸借対照表には、いちご商事㈱に対する売掛金8,000円が計上されており、ひまわり商事㈱はこの売掛金に対して5%の貸倒引当金を設定している(差額補充法)。
なお、前期末におけるいちご商事㈱に対する売掛金にかかる貸倒引当金は300円であった。
連結財務諸表では親会社と子会社の各期の個別財務諸表を合算します。したがって、前期末までに行った連結修正仕訳は、当期の連結財務諸表を作成するにあたって再度行う必要があります。
しかし、前期末における売掛金と買掛金は当期に決済され、当期末まで残っていません。そこで、前期末に行った売掛金と買掛金の相殺消去の仕訳は当期の財務諸表を作成するさいには不要です。
そこで、前期末に行った貸倒引当金の減額修正の処理(開始仕訳)のみを行います。このとき、前期末に行った連結修正仕訳のうち損益科目(貸倒引当金繰入)については利益剰余金当期首残高を用います。
まず、開始仕訳は以下のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
貸倒引当金 | 300 | 利益剰余金当期首残高 | 300 |
次に、当期末の貸倒引当金の減額修正をします。
問題では、売掛金8,000円に対して、貸倒引当金5%(400円)を設定し、すでに300円計上されています。
したがって差額補充法により100円(400円-300円)を計上すればよいので
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
貸倒引当金 | 100 | 貸倒引当金繰入 | 100 |
となります。
元の債権債務の相殺と合わせると
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
買掛金 | 8,000 | 売掛金 | 8,000 |
貸倒引当金 | 400 | 利益剰余金当期首残高 | 300 |
貸倒引当金繰入 | 100 |
が答えです。
親会社の期末貸倒引当金の修正・例題
例題を解いて慣れていきましょう。
問題
金額は3桁ごとにカンマで桁区切りをして半角で入力すること(iOSの一部の環境以外は自動入力されます)。
(例:現金 500、商品 1,000,000)
また、仕訳が複数行に渡る場合、金額の多い物から順に書き、不要なところは空白のままにしておくこと。
使える勘定科目は以下のものとする。
勘定科目:[売掛金][買掛金][貸倒引当金][貸倒引当金繰入]
問1
A社はB社の発行済株式の60%を取得し、支配している。
A社の当期の貸借対照表には、B社に対する売掛金50,000円が計上されている(前期末におけるB社に対する売掛金はない)。
なお、売掛金には毎期5%の貸倒引当金を差額補充法により設定している。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
解答(クリックで展開)
親会社の期末貸倒引当金の修正・まとめ
今回は親会社の期末貸倒引当金の修正について学習しました。債権債務に貸倒引当金が設定されている場合は忘れないように注意しましょう。
次回は子会社の期末貸倒引当金の修正について学習します。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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