未実現利益の消去・非償却性固定資産[日商簿記2級(商業)講座]
今回は日商簿記2級における未実現利益の消去・非償却性固定資産について学習します。
非償却性固定資産
建物や備品のように、決算において減価償却をおこなう固定資産を償却性固定資産、一方で土地のように減価償却をしない固定資産を非償却性固定資産と言います。
こちらも問題を通して確認しておきましょう。
次の取引について、当期の連結財務諸表を作成するために必要な連結修正仕訳を示しなさい。
[取引]①ひまわり商事㈱はいちご商事㈱に土地(帳簿価格20,000円)を24,000円で売却した。(いちご商事㈱はこの土地を期末現在、保有している)。
②いちご商事㈱はひまわり商事㈱に土地(帳簿価格10,000円)を12,000円で売却した。(ひまわり商事㈱はこの土地を期末現在、保有している)。
①非償却性固定資産の未実現利益の消去(ダウンストリーム)
ひまわり商事㈱(親会社)がいちご商事㈱(子会社)に帳簿価格20,000円の土地を24,000円で売却している(ダウンストリーム)ので、ひまわり商事㈱といちご商事㈱は個別会計上、それぞれ次の仕訳をしています。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
当座預金など | 24,000 | 土地 | 20,000 |
固定資産売却益 | 4,000 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 | 24,000 | 当座預金など | 24,000 |
しかし、連結会計上はひまわり商事㈱が土地を売却しなかったことを前提に処理するため、ひまわり商事㈱の固定資産売却益4,000円とひまわり商事㈱の土地4,000円を相殺消去します。
以上より、連結修正仕訳は以下のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
固定資産売却益 | 4,000 | 土地 | 4,000 |
②非償却性固定資産の未実現利益の消去(アップストリーム)
次に、いちご商事㈱(子会社)がひまわり商事㈱(親会社)に帳簿価格10,000円の土地を12,000円で売却(アップストリーム)した場合です。
アップストリームの場合は未実現利益のうち非支配株主持分は非支配株主に負担させる必要がありました。
そこで
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
固定資産売却益 | 2,000 | 土地 | 2,000 |
の相殺仕訳のうち40%は非支配株主へ負担させる処理を行います。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
非支配株主持分当期変動額 | 800 | 非支配株主に帰属する当期純損益 | 800 |
非償却性固定資産・例題
例題を解いて慣れていきましょう。
問題
A社はB社の発行済株式の60%を取得し、支配している。
次の取引について、当期の連結財務諸表を作成するための連結修正仕訳をしなさい。
金額は3桁ごとにカンマで桁区切りをして半角で入力すること(iOSの一部の環境以外は自動入力されます)。
(例:現金 500、商品 1,000,000)
また、仕訳が複数行に渡る場合、金額の多い物から順に書き、不要なところは空白のままにしておくこと。
使える勘定科目は以下のものとする。
勘定科目:[土地][固定資産売却益][非支配株主持分当期変動額][非支配株主に帰属する当期純損益]
問1
当期において、A社は土地(取得原価50,000円)を60,000円でB社に売却した。
B社はこの土地を期末現在保有している。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
問2
当期において、B社は土地(取得原価80,000円)を100,000円でA社に売却した。
A社はこの土地を期末現在保有している。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
解答(クリックで展開)
非償却性固定資産・まとめ
今回は非償却性固定資産について学習しました。土地などの非償却性固定資産の処理について押さえておきましょう。
次回は連結会計の例題を解いていきましょう。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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