連結会計・問題[日商簿記2級(商業)講座]

2021年11月28日

日商簿記2級 連結会計問題

今回は日商簿記2級における連結会計の問題を実際に解いてみましょう。

連結会計の問題は高確率で問われるうえに、解き方を押さえていないと全く得点できません。

逆に言えばしっかりと対策すれば安定して点を稼げるので、後回しにせず早い段階で慣れておくことが理想です。

チョロ
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投資・資本の相殺、のれんの償却、未実現利益の消去・・・やることがたくさんでチュ!
キュー
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パターンは決まってるから、慣れてしまえば大丈夫やで

それでは早速、問題を解いていきましょう。

連結会計の問題

問題

次の資料にもとづき、A社の当期(×3年4月1日から×4年3月31日)における連結精算表(連結貸借対照表と連結損益計算書のみ)を完成させなさい。 [資料1]解答上の注意事項

(1)精算表の(  )は貸方金額を表す。

(2)のれんの発生年度の翌年度から10年間で毎期均等額を償却する。

(3)不要な箇所は空欄のままとすること。(ただし計算結果が0となるときは0を記載すること。)

[資料2]支配獲得日の資料

(1)A社は×2年3月31日にB社の発行済株式総数の60%を30,000円で取得し、支配を獲得した。

(2)×2年3月31日(支配獲得日)のB社の資本勘定の金額は次のとおりである。

資本金:40,000円 利益剰余金:8,000円

[資料3]連結第1年度(×2年4月1日から×3年3月31日)の資料

(1)×3年3月31日(連結第1年度末)のB社の資本勘定の金額は次のとおりである。

資本金:40,000円 利益剰余金:12,800円

(2)B社の連結第1年度の当期純利益は4,800円、配当金は0円であった。

[資料4]当期(×3年4月1日から×4年3月31日)の資料

(1)A社とB社の当期の個別財務諸表は、解答欄の連結精算表のとおりである。

(2)当期において、B社は2,000円の配当を行った。

(3)当期(連結第2年度)から、A社はB社に対し、原価に20%の利益を付加して商品を販売している。当期において、A社はB社に対して商品16,000円を販売している。

(4)当期末にB社が保有する期末商品のうち、A社からの仕入分は6,000円であった。

(5)A社は売掛金に対して2%の貸倒引当金を差額補充法により設定しており、売掛金の期末残高のうち3,000円はB社に対するものであった。

連 結 精 算 表

勘定科目 個別財務諸表 消去・振替 連結財務諸表 回答ボタン
A社 B社 合計
貸借対照表 連結貸借対照表
売掛金 20,000 8,000 28,000

商品 20,000 14,000 34,000

その他の流動資産 67,400 40,160 107,560

土地 34,800 12,000 46,800

B社株式 30,000 30,000

のれん

資産合計 172,200 74,160 246,360

買掛金 (31,800) (4,800) (36,600) ()

貸倒引当金 (400) (160) (560) ()

その他の流動負債 (28,000) (9,540) (37,540) ()

資本金 (80,000) (40,000) (120,000) ()

利益剰余金 (32,000) (19,660) (51,660) ()

非支配株主持分 ()

負債・純資産合計 (172,200) (74,160) (246,360) ()

損益計算書 連結損益計算書
売上高 (220,000) (120,000) (340,000) ()

売上原価 176,000 96,000 272,000

貸倒引当金繰入 300 100 400

その他の販管費 27,000 15,200 42,200

受取配当金 (1,200) (1,200) ()

その他の営業外収益 (2,800) (960) (3,760) ()

のれん償却

その他の営業外費用 4,160 800 4,960

当期純利益 (16,540) (8,860) (25,400) ()

非支配株主に帰属する当期純損益

親会社株主に帰属する当期純利益 (16,540) (8,860) (25,400) ()

解答

STEP1:支配獲得日の連結修正仕訳

まずは[資料2]の支配獲得日の資料から、支配獲得日(×2年3月31日)の連結修正仕訳(投資と資本の相殺)を行います。

投資と資本の相殺消去
[資料2]支配獲得日の資料(1)A社は×2年3月31日にB社の発行済株式総数の60%を30,000円で取得し、支配を獲得した。

(2)×2年3月31日(支配獲得日)のB社の資本勘定の金額は次のとおりである。

資本金:40,000円 利益剰余金:8,000円

借方 金額 貸方 金額
資本金 40,000 B社株式 30,000
利益剰余金 8,000 非支配株主持分 19,200
のれん 1,200

STEP2:支配獲得日後1年目の連結修正仕訳

1.開始仕訳

支配獲得日の連結修正仕訳を再度行います。なお、純資産項目は「当期首残高」を付けますが、本問では連結株主資本等変動計算書を作成しないため、「当期首残高」は付与しなくてもokです。

借方 金額 貸方 金額
資本金(当期首残高) 40,000 B社株式 30,000
利益剰余金(当期首残高) 8,000 非支配株主持分(当期首残高) 19,200
のれん 1,200

次に、[資料1]解答上の注意事項と、[資料3]連結第1年度(×2年4月1日から×3年3月31日)の資料から、連結修正仕訳をします。

2.のれんの償却
[資料1]解答上の注意事項

(2)のれんの発生年度の翌年度から10年間で毎期均等額を償却する。

借方 金額 貸方 金額
のれん償却 120 のれん 120

※1,200円÷10年

3.子会社の当期純利益の振り替え
[資料3]連結第1年度(×2年4月1日から×3年3月31日)の資料

(2)B社の連結第1年度の当期純利益は4,800円、配当金は0円であった。

借方 金額 貸方 金額
非支配株主に帰属する当期純損益 1,920 非支配株主持分当期変動額 1,920

※4,800円×40%=1,920円

4.子会社の配当金の修正
借方 金額 貸方 金額
仕訳なし

STEP3:支配獲得日後2年目(当期)の連結修正仕訳

1.開始仕訳

前期末に行った連結修正仕訳を再度行います。

なお、損益項目は利益剰余金(当期首残高)で処理します。

開始仕訳を合算すると以下のようになります。

借方 金額 貸方 金額
資本金(当期首残高) 40,000 B社株式 30,000
利益剰余金(当期首残高) 10,040
(8,000+120+1,920)
非支配株主持分(当期首残高) 21,120
(19,200+1,920)
のれん 1,080
(1,200-120)
2.のれんの償却
[資料1]解答上の注意事項と、[資料4]当期(×2年4月1日から×3年3月31日)の資料および解答用紙の連結精算表から当期の連結修正仕訳をします。
[資料1]解答上の注意事項

(2)のれんの発生年度の翌年度から10年間で毎期均等額を償却する。

借方 金額 貸方 金額
のれん償却 120 のれん 120
3.子会社の当期純損益の振り替え
[資料4]当期(×3年4月1日から×4年3月31日)の資料

(1)A社とB社の当期の個別財務諸表は、解答欄の連結精算表のとおりである。

借方 金額 貸方 金額
非支配株主に帰属する当期純損益 3,544 非支配株主持分当期変動額 3,544

※8,860×40%=3,544

4.子会社の配当金の修正
[資料4]当期(×3年4月1日から×4年3月31日)の資料

(2)当期において、B社は2,000円の配当を行った。

借方 金額 貸方 金額
受取配当金 1,200 利益剰余金 2,000
非支配株主持分当期変動額 800
5.売上高と売上原価の相殺消去
[資料4]当期(×3年4月1日から×4年3月31日)の資料

(3)当期(連結第2年度)から、A社はB社に対し、原価に20%の利益を付加して商品を販売している。当期において、A社はB社に対して商品16,000円を販売している。

借方 金額 貸方 金額
売上高 16,000 売上原価 16,000
6.ダウンストリーム
[資料4]当期(×3年4月1日から×4年3月31日)の資料

(3)当期(連結第2年度)から、A社はB社に対し、原価に20%の利益を付加して商品を販売している。当期において、A社はB社に対して商品16,000円を販売している。

(4)当期末にB社が保有する期末商品のうち、A社からの仕入分は6,000円であった。

借方 金額 貸方 金額
売上原価 1,000 商品 1,000

※6,000円×20%/120%=1,000円

7.債権債務の相殺消去
[資料4]当期(×3年4月1日から×4年3月31日)の資料

(5)A社は売掛金に対して2%の貸倒引当金を差額補充法により設定しており、売掛金の期末残高のうち3,000円はB社に対するものであった。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 3,000 売掛金 3,000
8.親会社の期末貸倒引当金の修正
[資料4]当期(×3年4月1日から×4年3月31日)の資料

(5)A社は売掛金に対して2%の貸倒引当金を差額補充法により設定しており、売掛金の期末残高のうち3,000円はB社に対するものであった。

借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金 60 貸倒引当金繰入 60

※3,000円×2%=60円

精算表

個別財務諸表の金額に連結修正仕訳を加減して、連結財務諸表を作成します。

連 結 精 算 表

勘定科目 個別財務諸表 消去・振替 連結財務諸表
A社 B社 合計
貸借対照表 連結貸借対照表
売掛金 20,000 8,000 28,000 3,000 25,000
商品 20,000 14,000 34,000 1,000 33,000
その他の流動資産 67,400 40,160 107,560 107,560
土地 34,800 12,000 46,800 46,800
B社株式 30,000 30,000 30,000 0
のれん 1,080 120 960
資産合計 172,200 74,160 246,360 1,080 34,120 213,320
買掛金 (31,800) (4,800) (36,600) 3,000 (33,600)
貸倒引当金 (400) (160) (560) 60 (500)
その他の流動負債 (28,000) (9,540) (37,540) (37,540)
資本金 (80,000) (40,000) (120,000) 40,000 (80,000)
利益剰余金 (32,000) (19,660) (51,660) 10,040 2,000 (37,816)
21,864 16,060
非支配株主持分 800 21,120 (23,864)
3,544
負債・純資産合計 (172,200) (74,160) (246,360) 75,764 42,724 (213,320)
損益計算書 連結損益計算書
売上高 (220,000) (120,000) (340,000) 16,000 (324,000)
売上原価 176,000 96,000 272,000 1,000 16,000 257,000
貸倒引当金繰入 300 100 400 60 340
その他の販管費 27,000 15,200 42,200 42,200
受取配当金 (1,200) (1,200) 1,200 (0)
その他の営業外収益 (2,800) (960) (3,760) (3,760)
のれん償却 120 120
その他の営業外費用 4,160 800 4,960 4,960
当期純利益 (16,540) (8,860) (25,400) 18,320 16,060 (23,140)
非支配株主に帰属する当期純損益 3,544 3,544
親会社株主に帰属する当期純利益 (16,540) (8,860) (25,400) 21,864 16,060 (19,596)
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連結会計問題・まとめ

今回は連結会計の例題を解いていただきました。流れを覚えるまでは複雑で難しく感じますが、パターンは同じです。まずは何度も解いて体で覚えてしまっても問題ないでしょう。

チョロ
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何年目でもやることは同じでチュ!
キュー
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連結会計は簿記2級の肝やから、最優先で押さえておこう!

次回は製造業会計について学習します。


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