取引発生後の為替予約[日商簿記2級(商業)講座]
今回は日商簿記2級における取引発生後の為替予約について学習します。
取引発生後の為替予約
取引発生後に為替予約をした場合、最初は直物為替相場で仕訳を切ることになります。
そこから途中で予約レートに切り替えるため、仕訳処理の手続きは取引発生前に為替予約を付していた場合と比較すると少々煩雑です。
① ×2年1月1日 ひまわり商事はゴールデン商事から商品100ドルを輸入し代金は3ヶ月後に支払うこととした(決済日は3月31日)。この時の直物為替相場は115円である。
② ×2年2月1日 ①の買掛金に為替予約を行った。この時の直物為替相場は1ドル112円、先物為替相場(予約レート)は1ドル110円である。
③ ×3年3月31日 ①の買掛金100ドルを現金で支払った。このときの直物為替相場は1ドル118円である。
①取引発生時の処理
取引発生時には、直物為替相場で換算した金額を用いて計算します。
買掛金の額は100ドル×115円=11,500円となります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕入 | 11,500 | 買掛金 | 11,500 |
②為替予約時の処理
外貨建て債権債務について、取引発生後に為替予約を付したときは外貨建債権債務を為替予約時の先物為替相場(予約レート)にて換算替えします。
換算替えの手順としては以下の3STEPを踏みます。
1.予約レートによる買掛金の換算額を求める
100ドル×110円=11,000円
2.取引発生時の買掛金の換算額を求める
①より11,500円
3.1と2の差額より換算替えを行う
11,000円-11,500円=△500円(減少)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
買掛金 | 500 |
この時生じた換算差額は、為替差損益を用いて処理します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
買掛金 | 500 | 為替差損益 | 500 |
③決済時の処理
為替予約を付した場合、為替予約時の先物為替相場によって決済が行われます。
したがって今回のケースでの仕訳は以下のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
買掛金 | 11,000 | 現金 | 11,000 |
取引発生後の為替予約・例題
例題を解いて慣れていきましょう。
問題
金額は3桁ごとにカンマで桁区切りをして半角で入力すること(iOSの一部の環境以外は自動入力されます)。
(例:現金 500、商品 1,000,000)
また、仕訳が複数行に渡る場合、金額の多い物から順に書き、不要なところは空白のままにしておくこと。
使える勘定科目は以下のものとする。
また、仕訳がないときは借方勘定科目に[仕訳なし]と記入すること。
勘定科目:[現金][売掛金][売上][為替差損益][仕訳なし]
問1
×3年1月20日 アメリカのA社に商品300ドルを輸出し、代金は3ヶ月後に受け取ることとした。
なお、1月20日時点での直物為替相場は1ドル110円、先物為替相場は1ドル108円である。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
問2
×3年2月20日 問1の売掛金300ドルについて、為替予約を付した。なお、振当処理を適応するが問1の為替相場による円換算額と為替予約による円換算額との差額はすべて当期の損益として処理する。
なお、2月20日時点での直物為替相場は1ドル109円、先物為替相場は1ドル107円である。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
問3
×3年3月31日 決算日を迎えた。
なお、3月31日時点での直物為替相場は1ドル107円、先物為替相場は1ドル104円である。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
問4
×3年4月20日 売掛金300ドルを現金で回収した。
なお、4月20日時点での直物為替相場は1ドル108円、先物為替相場は1ドル105円である。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
解答(クリックで展開)
取引発生後の為替予約・まとめ
今回は取引発生後の為替予約について解説しました。直物為替相場から先物為替相場に切り替える際の処理を押さえておきましょう。
次回は株式会社の概要について学んでいきます。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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