[日商簿記2級(商業簿記)]勘定の締め切り・例題[無料講座・例題付き!]

2021年9月8日

日商簿記2級 各勘定の締め切り(例題)

今回は日商簿記2級で出題される勘定の締め切りの例題を実際に解いてみましょう。

チョロ
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繰越利益の計上も余裕でチュ!!
キュー
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それは見ものやな!

勘定締め切り問題

問題

次の決算整理前残高試算表と決算整理事項等にもとづいて、解答欄の損益勘定と繰越利益剰余金勘定を完成させなさい。

なお、会計期間は×7年4月1日から×8年3月31日である。

[決算整理前残高試算表]

決算整理前残高試算表

借方 勘定科目 貸方
32,900 現金預金
24,000 売掛金
8,200 繰越商品
25,000 貸付金
160,000 建物
21,600 建設仮勘定
50,000 ソフトウェア
19,000 満期保有目的債券
買掛金 34,800
貸倒引当金 500
減価償却累計額 50,000
資本金 160,000
資本準備金 31,600
利益準備金 9,500
別途積立金 5,000
繰越利益剰余金 8,000
売上 250,000
有価証券利息 600
145,300 仕入
60,000 給料
2,500 保険料
1,500 通信費
550,000 550,000
[決算整理事項等]

(1)新築中だった店舗が完成し、2月1日に引き渡しを受けていた(同日より使用)が、この処理が未記帳である。なお、本工事に関する工事代金は全額前払いしており、建設仮勘定で処理している。

(2)期末商品棚卸高は8,500円である(棚卸減耗損や商品評価損は生じていない)。

(3)売掛金の期末残高に対して3%の貸倒引当金を設定する(差額補充法)。

(4)満期保有目的有価証券は、当期首に額面総額20,000円のA㈱社債(償還期間5年)を額面100円につき95円で購入した物である。満期保有目的債券の評価は償却原価法(定額法)による。

(5)固定資産の減価償却を行う。

建物:定額法(耐用年数30年・残存価格は取得原価の10%)

なお、新店舗についても同様の減価償却を行うが、残存価格はゼロとし、月割計算による。

(6)ソフトウェアは当期首に自社で利用するために購入したもので、5年間にわたって償却する。

(7)貸付金は×2年9月1日に貸付期間1年、年利率2.4%で貸し付けたもので、利息は返済時に受け取ることとなっている。なお、当期分の利息の計算は月割計算による。

(8)税引前当期純利益の50%を法人税等として計上する。

損益

3/31 仕入

3/31 売上

3/31 給料

3/31 有価証券利息

3/31 保険料

3/31 受取利息

3/31 通信費

3/31 貸倒引当金繰入

3/31 減価償却費

3/31 ソフトウェア償却

3/31 法人税等

3/31

繰越利益剰余金

6/21 利益準備金 2,000 4/1 前期繰越

6/21 未払配当金 15,000 3/31

6/21 別途積立金 1,500
3/31

解答

ひとつひとつ仕訳をしながら確認しましょう。

損益勘定として計上する場合[損益]とします。

(1)建設仮勘定の振り替え

まずは建設仮勘定を建物勘定へ振り替えます。

借方 金額 貸方 金額
建物 21,600 建設仮勘定 21,600

(2)売上原価の算定

期首の繰越商品を仕入へと振り替え、期末在庫を仕入から繰越商品へと振り替えます。

借方 金額 貸方 金額
仕入 8,200 繰越商品 8,200
繰越商品 8,500 仕入 8,500
[損益]仕入:145,300円+8,200円-8,500円=145,000円

(3)貸倒引当金の設定

貸倒引当金:24,000円×3%=720円

[損益]貸倒引当金繰入:720円-500円=220
借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金繰入 220 貸倒引当金 220

(4)有価証券の評価替え

購入口数:20,000円/@100円=200口

取得原価:@95円×200口=19,000円

金利調整差額:20,000円-19,000円=1,000円

当期分:1,000円×1年/5年=200円

借方 金額 貸方 金額
満期保有目的有価証券 200 有価証券利息 200
[損益]有価証券利息:600円+200円=800円

(5)固定資産の減価償却

既存分:(160,000円-160,000円×10%)/30年=4,800円

新店舗:21,600円/30年×2ヵ月/12ヵ月=120円

[損益]4,800円+120円=4,920円
借方 金額 貸方 金額
減価償却費 4,920 減価償却累計額 4,920

(6)ソフトウェアの償却

[損益]ソフトウェア償却:50,000円/5年=10,000円
借方 金額 貸方 金額
ソフトウェア償却 10,000 ソフトウェア 10,000

(7)利息の計上

[損益]受取利息:25,000円×2.4%×7ヵ月/12ヵ月=350円
借方 金額 貸方 金額
未収利息 350 受取利息 350

(8)法人税等

損益勘定の貸借差額から税引前当期純利益を計算します。

貸方合計:250,000円(売上)+800円(有価証券利息)+350円(受取利息)=251,150円(収益)

借方合計:145,000円(仕入)+60,000円(給料)+2,500円(保険料)+1,500円(通信費)+220円(貸倒引当金繰入)+4,920円(減価償却費)+10,000円(ソフトウェア償却)=224,140円

税引前当期純利益:251,150円-224,140円=27,010円

[損益]法人税等:27,010円×50%=13,505円

(9)当期純利益

当期純利益を計上します。

[損益]当期純利益:27,010円-13,505円=13,505円

(10)繰越利益剰余金勘定の前期繰越高

4/1の前期繰越高(不明)から、6/21の剰余金の配当・処分額(2,000円+15,000円+1,500円)を差し引いた残額が3/31の金額(決算整理前残高試算表の金額:8,000円)です。

したがって、決算整理前試算表の金額に剰余金の配当・処分額を足した金額が前期繰越高となります。

前期繰越高:8,000円+2,000円+15,000円+1,500円=26,500円

損益

3/31 仕入 145,000 3/31 売上 250,000
3/31 給料 60,000 3/31 有価証券利息 800
3/31 保険料 2,500 3/31 受取利息 350
3/31 通信費 1,500
3/31 貸倒引当金繰入 220
3/31 減価償却費 4,920
3/31 ソフトウェア償却 10,000
3/31 法人税等 13,505
3/31 繰越利益剰余金 13,505
251,150 251,150

繰越利益剰余金

6/21 利益準備金 2,000 4/1 前期繰越 26,500
6/21 未払配当金 15,000 3/31 損益 13,505
6/21 別途積立金 1,500
3/31 次期繰越 21,505
40,005 40,005
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勘定締め切り問題・まとめ

今回は勘定締め切りの問題を解いていただきました。回答のフォーマットが普段と異なるのでこちらも慣れておきましょう。

チョロ
チョロ
どっちにしても正しく仕訳を切ることが大事でチュ!
キュー
キュー
せや、分からん仕訳があったらしっかり復習しておくんやで

次回は本支店会計について学習します。


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