輸出入時の外貨換算会計[日商簿記2級(商業)講座]
今回は日商簿記2級における輸出入時の外貨換算会計について学習します。
輸出入時の外貨換算会計
海外と商品売買する場合、日本円ではなくドルなど外貨で取引することになります。
しかし外貨取引の際は為替相場の概念が欠かせません。
為替相場とは外貨取引建てを換算する時のレートで、日によって1ドル=80円の時もあれば120円の時もあります。
こちらも例題を通してまずは問題を見てみましょう。
② ×2年6月1日 ひまわり商事はアメリカのゴールデン商事から商品45ドルを輸入し、×2年5月15日に支払った前払金5ドルとの差額40ドルは今月末日に支払うこととした。
③ ×2年6月30日 ひまわり商事は×2年6月1日に発生した買掛金40ドルを現金で支払った。
[為替相場]- ×2年5月15日:1ドル100円
- ×2年6月1日:1ドル115円
- ×2年6月30日:1ドル110円
①前払金を支払った時
今回のケースのように、日本企業が外国の企業と外貨による取引を行う場合、日本企業はその取引を日本円に換算して行います。
なお、取引が発生したときは原則として取引発生時の為替相場によって換算します。
したがって、今回のケースでひまわり商事が支払った前払金5ドルは5月15日の1ドル100円で換算します。
5ドル×100円=500円なので、
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
前払金 | 500 | 現金 | 500 |
となります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 500 | 前受金 | 500 |
となるで
②商品を輸入(輸出)した時の仕訳
商品を輸入したときは、事前に支払っていた前払金を取り崩します。
加えて差額の40ドルについては、翌月末に支払うため買掛金で処理します。
取引は×2年6月1日なので、1ドルあたり115円で処理します。
40ドル×115円=4,600円より
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
前払金 | 500 | ||
買掛金 | 4,600 |
となります。
借方は商品を仕入れているので、仕入勘定を用います。
その額は前払金の500円と買掛金の4,600円を合算し5,100円となります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕入 | 5,100 | 前払金 | 500 |
買掛金 | 4,600 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
前受金 | 500 | 売上 | 5,100 |
売掛金 | 4,600 |
ってなるで
③買掛金(売掛金)を決済したときの仕訳
買掛金を支払った時は発生時の為替相場(115円)で換算した買掛金を減らします。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
買掛金 | 4,600 | ||
また、現金に関しては決済時の為替相場である110円で換算します。
40ドル×110円で4,400円となります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
買掛金 | 4,600 | 現金 | 4,400 |
この時点で貸借がバランスしていないので、揃える必要があります。
この為替相場の変動から生じた差額は為替差損益(営業外費用または営業外収益)で処理します。
こんな感じでチュね
損益計算書 時×2年4月1日 至×3年3月31日 ・・・ Ⅳ 営業外収益 為替差益 ○○○ Ⅴ 営業外費用 為替差損 △△△ ・・・ |
今回の場合貸方に記載します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
買掛金 | 4,600 | 現金 | 4,400 |
為替差損益 | 200 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 4,400 | 売掛金 | 4,600 |
為替差損益 | 200 |
やな
輸出入時の外貨換算会計・例題
例題を解いて慣れていきましょう。
問題
金額は3桁ごとにカンマで桁区切りをして半角で入力すること(iOSの一部の環境以外は自動入力されます)。
(例:現金 500、商品 1,000,000)
また、仕訳が複数行に渡る場合、金額の多い物から順に書き、不要なところは空白のままにしておくこと。
使える勘定科目は以下のものとする。
勘定科目:[現金][前払金][買掛金][仕入][為替差損益]
問1
×1年4月10日 アメリカのA社から商品500ドルを輸入する契約をし、前払金50ドルを現金で支払った。なお、為替相場は1ドル100円である。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
問2
×1年4月20日 A社から上記問1の商品500ドルを輸入し、問1で支払った前払金50ドルとの差額は今月末日に支払うこととした。なお、為替相場は1ドル105円である。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
問3
×1年4月30日 上記問2の買掛金について、現金で支払った。なお、為替相場は1ドル110円である。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
解答(クリックで展開)
輸出入時の外貨換算会計・まとめ
今回は外貨建てによる輸出入ついて学習しました。例題では買い手側の処理のみですが、売り手側の処理についても練習しておきましょう。
次回は決算時における外貨換算会計について学習します。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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