稼働率(バスタブ曲線・直列・並列)【ITパスポート講座】

今回はITパスポートにおけるシステムの稼働率に関する内容です。


稼働率
機器が稼働している確率を稼働率で表せます。稼働率は接続形態によっても計算方法が異なるので、確認しておきましょう。

システムの故障とバスタブ曲線
私たちが使っているスマートフォンやPCをはじめ、サーバや各機器などのハードウェアは必ずいつか壊れます。工業製品における故障率は、時系列に沿って下記のようなグラフで表現できます。

時間軸における故障の概要を確認しておきましょう。
故障 | 内容 |
初期故障 | 製造不良や設計ミス、部品のばらつきなどにより、使用開始直後に発生する故障。 |
偶発故障 | 外的要因や予測不能な突発的原因によって、一定確率でランダムに発生する故障。 |
摩耗故障 | 部品の劣化や疲労、消耗などにより、寿命末期に増加する故障。 |
直列
直列の場合、複数の機器がすべて稼働している必要があります。
例えば以下の例を見てみましょう。
ラクはこれからPCでFPS(ゲーム)を遊ぶ予定です。FPSで遊ぶには、PCが動作するだけでなく、ルータも動作し、インターネットにつなげることが前提です。
PCが故障せずに動く確率が99%、ルータが問題なく接続できる確率が90%の時、ラクが無事ゲームをできる可能性はどれくらいでしょうか。

例のように、複数の機器が全て稼働していることで全体が稼働するシステムを直列システムと呼びます。
この時の、システム全体の稼働率はPCが稼働している割合のうちで、さらにルータも稼働している割合になるためそれぞれの稼働率の積で表され、今回の場合以下のようになります。
\[パソコンの稼働率×ルータの稼働率\]
ここに実際に数字を入れると、\(0.99×0.9=0.891\)です。
並列
並列では一部の機器が稼働していればよく、全ての機器が動かないときだけoutとなります。
こちらも例を見ながら解説します。
カズは今からフライパンを使った料理をしようとしており、コンロが二つあります。
それぞれをコンロA、コンロBとし、料理をするにはこれらのうちどちらかが利用できることが前提となります。
コンロAが使用できる確率が90%、コンロBが使用できる確率が80%の時、カズが無事料理をできる確率はどれくらいでしょう。
このように、2つ以上の機器があって、少なくとも1つが稼働していれば全体が稼働するシステムを並列システムと言います。


この場合はコンロAとコンロBが両方同時に故障しない限り無事に料理ができます。
したがって、100%から、コンロAとコンロBが同時に故障する確率を引くことによって求められます。
\[稼働率\\=1-コンロAが故障する確率\\×コンロBが故障する確率\]
今回の場合、\(1-(1-0.9)×(1-0.8)=0.98\)となります。
MTBFとMTTR
システムには、稼働している時間と、故障したり修理に充てている時間(稼働していない時間)があります。
稼働している時間の平均をMTBF(Mean Time Between Failures)と呼び、1度修理してから次の故障までの平均時間を表します。
一方で1回の修理に要する時間(稼働していない時間)の平均をMTTR(Mean Time To Repair)と呼びます。

稼働率は全ての時間(MTBF+MTTR)のうち、稼働している時間(MTBF)の割合なので以下の式で求められます。
\[\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\]
稼働率の例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問1
三つの装置A,B,Cの稼働率はそれぞれ0.90,0.95,0.95である。これらを組み合わた図のシステムのうち,最も稼働率が高いものはどれか。ここで,並列に接続されている部分はどちらかの装置が稼働していればよく,直列に接続されている部分はすべての装置が稼働していなければならない。(H.22秋/問64)
ア
イ
ウ
エ
(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)
問2
あるシステムは5,000時間の運用において,故障回数は20回,合計故障時間は2,000時間であった。おおよそのMTBF,MTTR,稼働率の組合せのうち,適切なものはどれか。(H.21春/問61)
MTBF | MTTR | 稼働率 | |
ア | 100 | 150 | 40 |
イ | 100 | 150 | 60 |
ウ | 150 | 100 | 40 |
エ | 150 | 100 | 60 |
ア
イ
ウ
エ
(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)
問3
信頼性工学において用いられるバスタブ曲線のY軸の指標はどれか。(H.20秋/問16)
ア:故障率
イ:信頼度
ウ:平均故障時間
エ:平均修理時間
(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)
稼働率のまとめ
今回は稼働率について学習しました。
計算問題も多く頻繁に問われるところなので人によっては難しいと感じるポイントかと思います。しかし、しっかりと何問か解けばパターンも掴めてくるので、くじけずに頑張りましょう。

次回は冗長化やトラブル発生時の対応に関して学習します。

福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
職歴:経理4年/インフラ・アプリエンジニア9年(内4年は兼務)/ライター7年
保有資格:簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断士 など
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