インターネットの仕組み(OSI参照モデル・TCP/IP)【ITパスポート講座】

この記事で学ぶこと
- インターネットの基本的な仕組み
- ネットワーク間におけるデータのやり取り
- インターネットの各層における役割
今回は、ITパスポート試験で問われるインターネットについて解説します。


インターネットは試験に関係なく、普段触れる方が多いかと思われます。何気なく触れているインターネットについて、改めて概要を押さえておきましょう。
インターネットとは?
インターネットはコンピュータ同士をつないだネットワークのことです。1990年代半ばころより急速に発展しました。
PCやスマホで「調べ物をするとき」「友達と情報を交換するとき」「何かを申し込むとき」などに、ほとんどがインターネットを経由して行われます。
インターネットの情報は通り道ですが、どの経路を通ってどこにつながっているか、目には見えないので想像がつきません。
理解を深めるためにも、インターネットに関連する用語や概要を確認しましょう。
ネットワークとインターネット
インターネットはよく耳にしますが、似た言葉にネットワークがあります。ネットワークとは、コンピュータ(端末)同士が通信網によってつながったものです。

あるユーザは、ネットワークからインターネットを通して欲しい情報やコンテンツを閲覧・取得できる仕組みです。
具体的にユーザのくろんが今からITパスポートの公式サイトを閲覧しようとしたときの流れを見てみましょう。

- くろんがブラウザからITパスポートの公式サイトを閲覧するため、まずはURLを指定します。
- ITパスポートの公式サイトのサーバに向けて「内容を見たいよ」といったリクエストが送信されます。
- くろんのブラウザからいくつかのネットワークを経由し、データが送信されます。

データを送るときに、まとめて送るとネットワーク帯域(道の幅)を圧迫して時間がかかる場合があります。
ネットワーク帯域の圧迫による混雑を防ぐため、あらかじめデータをいくつかの大きさに分断して送ります。
分断されたデータの塊をパケットと呼びます。パケットは小包といった意味で、実生活で例えると、郵便で配達される小包や段ボール箱のようなものです。
そして、情報を小分けにして小包に例えた場合、相手にしっかり送るための重要な考えがあります。

送り先の住所は、インターネット上でIPアドレスやドメインと呼びます。
指定されたIPアドレスをめがけてネットワーク上をパケットが流れてゆき、最終的に目的地であるサーバにたどり着きます。
インターネットプロトコル
インターネット上でやり取りをする場合ある程度の決まり事を作っておく必要があります。
例えば日本人同士でメールする場合はあまり意識することは無いかもしれませんが、外国の友達と文通をする場合以下の点は事前に決めておくとやり取りがスムーズです。
- どの国の言葉で書くか
- 封筒は何を使うか
- どの郵送会社を使うのか
インターネット上での決まり事をプロトコルと呼びます。
また、プロトコルには階層構造があります。階層構造と言った言葉は少し分かりづらいですが、例えばくろんとモナの手紙のやり取りを考えてみましょう。
- くろんは手紙を書いて、ポストに投函
- 投函された手紙を回収
- 回収した手紙は郵便局に集荷
- 回収した手紙を発送
- 配達員があて先住所をみてモナに配達


このときくろん・モナ・配達員など、それぞれの登場人物にはすべきことが割り振られています。この担当者が階層構造、つまり役割です。試験でも頻出の代表的なプロトコルは以下の通りです。
FTP
FTP(File Transfer Protocol)は、サーバとクライアント間でファイルを送受信するプロトコルです。アップロードやダウンロードを行う場合はFTPが関わっています。
NTP
NTP(Network Time Protocol)は、コンピュータに内蔵されているシステムクロック(時計)を、ネットワークを介して同期させるプロトコルです。
インターネット上の機器は、ログとしていつどのパケットを受信したか記録しています。この時に時計が狂っていると管理や分析ができないため、自動で合わせる必要があります。
OSI参照モデル
プロトコルの階層構造は7層になっており、以下のような構造になっています。
階層 | 名称 | 主なプロトコル | 役割 |
第7層 | アプリケーション層 | FTP、HTTP | 具体的な通信サービス(メールやファイル、データ等)を提供する |
第6層 | プレゼンテーション層 | SMTP | データの表現方法(文字コードや圧縮等)を定義する |
第5層 | セッション層 | TLS、ZIP | 通信プログラム間の通信の開始から終了までの手順を定義する |
第4層 | トランスポート層 | TCP、UDP | ネットワークの端から端までの通信を管理する |
第3層 | ネットワーク層 | IP | ネットワーク内部の通信経路を選択する |
第2層 | データリンク層 | イーサネット、PPP | 隣接的に接続されている通信機器間の信号を受け渡す |
第1層 | 物理層 | ハブ、LAN | LANやハブ等の物理的な接続、ケーブルの形状やピンの数などの定義 |
また、この階層構造をOSI参照モデルと呼びます。層の並びと各層の名前は覚えておきましょう。

TCP/IPモデル
インターネットでは、コンピュータ同士が通信を行うためTCP/IPというプロトコルを用います。このTCP/IPは4階層に分割されます。
階層 | 層の役割 | 主なプロトコル | OSIモデルとの対応 |
アプリケーション層 | アプリケーションごとの固有の規約 | FTP、HTTP、SMTP、POP3など | 5、6、7 |
トランスポート層 | 端末間においてデータ転送の信頼性を確保するための規約 | TCP、UDPなど | 4 |
インターネット層 | データの伝送経路を決めて伝送や中継を制御するための規約 | IPなど | 3 |
ネットワーク インタフェース層 |
隣接する端末間通信のための規約 | イーサネット、PPP、無線LANなど | 1、2 |
インターネットの例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問1
通信プロトコルに関する記述のうち,適切なものはどれか。(H27秋/問77)
ア:アナログ通信で用いられる通信プロトコルはない。
イ:国際機関が制定したものだけであり、メーカが独自に定めたものは通信プロトコルとは呼ばない
ウ:通信プロトコルは正常時の動作手順だけが定義されている。
エ:メーカやOSが異なる機器同士でも、同じ通信プロトコルを使えば互いに通信することができる。
(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)
問2
パケット交換方式に関する記述のうち,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。(H.25秋/問68)
a.インターネットにおける通信で使われている方式である。
b.通信相手との通信経路を占有するので,帯域保証が必要な通信サービスに向いている。
c.通信量は,実際に送受信したパケットの数やそのサイズを基にして算出される。
d.パケットのサイズを超える動画などの大容量データ通信には利用できない。
ア:a,b,c
イ:a,b,d
ウ:a,c
エ:b,d
(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)
問3
インターネット上のコンピュータでは,Webや電子メールなど様々なアプリケーションプログラムが動作し,それぞれに対応したアプリケーション層の通信プロトコルが使われている。これらの通信プロトコルの下位にあり,基本的な通信機能を実現するものとして共通に使われる通信プロトコルはどれか。(R.5/問68)
ア:FTP
イ:POP
ウ:SMTP
エ:TCP/IP
(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)
インターネットのまとめ
今回はインターネットの大まかな概要について学習しました。普段何気なく使用しているインターネットも、実は複数のネットワークを経由していることが分かります。
また、OSI参照モデルは試験でも頻出です。各階層の名称と、代表的なプロトコルは覚えておきましょう。

次回はインターネット上で住所を表すIPアドレスについて学習します。

福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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