AI(機械学習・生成AI)【ITパスポート講座】

この記事で学ぶこと
- AIの概要
- 機械学習とは
- AI活用時の注意点
今回はITパスポートで問われるAIについて学習します。


今話題のAIも、ITパスポートで出題される可能性は高まっています。今回はAIについて学習しましょう。
AI(Artificial Intelligence)
AI(Artificial Intelligence)は人工知能とも訳されます。AIは近年生成AIなどでブームですが、実は1950年代から研究がすすめられ、何度も冬の時代を経験しました。
近年AIが発達した理由として、ToTにより大量のデータが利用可能になったことや、コンピュータの進化によりそのデータを高速に処理できるようになったことが挙げられます。
機械学習とディープラーニング
機械学習は、AIが自身で特徴を見つけ出して学習する仕組みです。大量のデータを処理しながら特徴を抽出し、「分け方」を学習します。
分け方は人間の脳の仕組み(ニューロン間の相互接続)から着想を得ており、脳機能の特徴をコンピュータ上で実現しています。

機械学習は以下の3つに分類できます。
機械学習の種類 | 内容 |
教師あり学習 | 「りんご」「みかん」などのラベル付きのデータセットを用いて学習させる。スパムメールの分類・画像認識・需要予測などに用いる。 |
教師なし学習 | ラベルのないデータセットを用いて学習させる。顧客のグループ化(クラスタリング)・次元削減・異常検知などに用いる。 |
強化学習 | エージェントが環境と相互作用し、報酬を最大化するように学習させる。ゲームのプレイング・ロボットの制御・最適化問題などに用いる。 |
ディープラーニングは、十分なデータ量があればコンピュータが自動でデータから特徴を抽出してくれます。大量のデータを一括で処理できるコンピュータならではの技術です。
- 事前学習:非常に大規模なデータセットを用いて、ディープラーニングのモデルを学習させること。
- ファインチューニング:事前学習によって学習したモデルとを特定領域に特化するよう調整する手段。
- 転移学習:ある領域の事前学習済みのモデルを、別の領域に転用すること。例えば、「りんごを分類する事前学習済みモデル」を「みかんを分類する事前学習済みモデル」に移行する。
AIの活用事例
AIの活用事例として、以下のようなものが挙げられます。
金融:フィンテック
金融業界では、IT技術を活用した金融サービスが多数提供されています。

例えば、株式や社債への投資をAIにより分析し、株価の変動を予測したりどのように分散投資すれば利益を最大化できるか判断する方法が挙げられます。
他にも、本人の年齢や病歴から将来を予測し、保険の加入タイミングやおすすめの商品を提案する方法もあります。

医療
医療業界では画像データから異常を探り、病気の早期発見に利用されています。
人間だからこそ起こる見落としのリスクも、コンピュータの活用で排除可能です。
マーケティング
マーケティングでは、カメラ映像から来場客の年齢や性別を推定し、傾向分析が可能となります。
また、Web集客においても顧客の行動分析をし、適切なアプローチにつなげる取り組みが行われています。
クリエイティブ
クリエイティブ業界においても、AIが利用されています。例えば小説や記事もAIで生成可能となりました。
画像に関しても、プロンプト(命令文)を入力すれば命令文に基づいた出力が可能です。

顧客対応・コミュニケーション
Webサイトや携帯端末にも、AIが活用されるケースが増えています。
例えばWebサイトでは、適宜ユーザの問い合わせ忍耐して答えを返すチャットボットが導入されています。チャットボットの導入により、カスタマーサポートやヘルプデスクの負担が軽減可能です。
スマートフォンでも、AIアシスタントの導入により、検索・各製品のON/OFFなどの手間を省いています。
生成AIとは
生成AIは、今特に注目されている人工知能です。プロンプトに応じて文章・画像・音楽・動画などを生成してくれます。

生成AIは、大規模言語モデル(Large Language Models:LLM)と呼ばれる、大量のデータセットとディープラーニング技術を用いた機械学習の自然言語処理モデルで構築されています。
AIの注意点
生成AIをはじめとする人工知能は非常に有用です。しかし、AIの過信には危険もあります。
具体的に注意すべき点も確認しておきましょう。
ディープフェイク
ディープフェイクは、ディープラーニングとフェイクを生み合わせた造語です。AIを悪用し、人物の動画や音声を人工的に合成する処理技術が該当します。
元々は映画をはじめとするエンターテインメントでの活用を目的に開発されました。
しかし、あまりにもリアルなことから著名人のなりすましによる政治的活動や、有名人を詐称した悪徳サービスへの勧誘広告動画などに悪用されるケースが散見されます。
ハルシネーション
ハルシネーション(幻覚)は、誤った情報をあたかも正しいかのように回答する事象です。
生成AIは膨大なデータから出現頻度を基に、もっともらしい文章を作っています。したがって、その情報が正しいかどうか、善悪かどうかを判断しているわけではありません。
生成された文章は非常に自然なため、生成された内容に詳しくなければ誤った情報の判断が難しくなります。

デジタルタトゥー
生成AIを利用するタイミングで、秘匿性の高い情報を入力してしまうと、入力内容が生成AIサービスを提供する会社や他のユーザに共有されるリスクがあります。
結果的に会社の機密情報が流出する可能性が考えられます。そして、インターネット上に流出した情報は、半永久的に残ります。

著作権の侵害
生成AIは、既存のデータを参照するため、著作物と同一だったり類似したりするリスクがあります。
生成物により著作権侵害を起こしてしまうと、罪に問われるのは生成した本人です。
著作権侵害を避けるためにも、出力内容をそのまま転用しないように注意しましょう。
AIをうまく活用するために
AIはまだ新しい技術なので、整備されていない点も多いです。しかし、AIに関する研究開発や利活用は、今後さらに発展すると期待されています。
内閣府は2019年に「人間中心のAI社会原則」を発表しました。その中では以下のように定義されています。
- 人間中心の原則
- 教育・リテラシーの原則
- プライバシー確保の原則
- セキュリティ確保の原則
- 公正競争確保の原則
- 公平性、説明責任及び透明性の原則
- イノベーションの原則
関連用語 | 内容 |
エコーチェンバー | SNS利用時に自分と似た興味・関心を持つユーザと交流することで、自分と似た意見が返ってくる状況。 |
フィルターバブル | ユーザの好みを学習したアルゴリズムが、その人の好む情報ばかりを提供すること。 |

AIの例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問1
AIにおける機械学習の学習方法に関する次の記述中のa~cに入れる字句の適切な組合せはどれか。
教師あり学習は,正解を付けた学習データを入力することによって,[a]と呼ばれる手法で未知のデータを複数のクラスに分けたり,[b]と呼ばれる手法でデータの関係性を見つけたりすることができるようになる学習方法である。教師なし学習は,正解を付けない学習データを入力することによって,[c]と呼ばれる手法などで次第にデータを正しくグループ分けできるようになる学習方法である。(R.6/問65)
a | b | c | |
---|---|---|---|
ア | 回帰 | 分類 | クラスタリング |
イ | クラスタリング | 分類 | 回帰 |
ウ | 分類 | 回帰 | クラスタリング |
エ | 分類 | クラスタリング | 回帰 |
ア
イ
ウ
エ
(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)
問2
生成AIにおいて,もっともらしいが事実とは異なる内容が出力されることを表す用語として,最も適切なものはどれか。(R.7/問10)
ア:エコーチェンバー
イ:シンギュラリティ
ウ:ディープフェイク
エ:ハルシネーション
(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)
AIのまとめ
今回はAIについて学習しました。
AIと聞くと難しそうですが、ITパスポートで技術的な内容を深堀して聞かれることはまずありません。
どのようなことができるか、何に気を付けるべきかを具体的に覚えておきましょう。

次回はハードウェアの五大装置について学習します。

福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
職歴:経理4年/インフラ・アプリエンジニア9年(内4年は兼務)/ライター7年
保有資格:簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断士 など
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません