資格は持っているだけでは意味がない!?キャリアへの活用法

唐突な質問ですが、資格をどういった目的で取得しようとしていますか?
会社から命令されて仕方なく、転職やキャリアアップに活かしたい、独立したい、理由はさまざまだと思います。
会社から命令されて仕方なく、の場合は会社の規定に定められており取得後一時金がもらえたり昇進にかかわるなど理由は明確だと思うので今回はノータッチとして、今回は後者の転職や独立など、資格を用いて仕事を劇的に変化を付けたい方に向けて少しお話をしようと思います。
よくいらっしゃるのが資格を必死に勉強したけど意味がなかった・・・とぼやく方です。
筆者自身もそうでしたし、筆者の周りの方でも転職や会社で良いポジションにつくために資格を一生懸命頑張って取得しようとしている方がいますが、時と場合によってはその作業が少し遠回りなってしまっています。
具体的にその理由を掘り下げていこうと思います。
資格の意味を取り違えている方が多い
自分自身もそうだったのですが、そもそも資格の意味を取り違えてしまっている方が多くいらっしゃいます。
資格は取得したらゴールではなくスタート
資格の中には難関資格と呼ばれるものもあり、取得するまで1,000時間以上、数年以上かけて取得しなければならないものもあります。
また、普段からあまり勉強をしてこなかった方が一念発起し、勉強して資格を取ろうとなると勉強までの敷居も上がり、非常に苦痛な中を乗り越えていく必要が生じてきます。
このような多大な努力をして無事合格を果たすと、それだけでやり切った感になって自分に大きな力が付いたと勘違いしてしまう場合が多いです。
勿論、国家資格などでは国からのお墨付きがもらえるので確かに自信もつきますし有名資格なら企業や顧客からの扱いも多少は変わります。しかしあくまで”多少”です。
これらの資格は決して取得したらゴールではなく、そこがスタート地点です。うまく使っていかないと真価を発揮することなく人生が終わってしまいます。


資格は目的ではなく手段であることはやまろぐ様のブログでも書かれているので、こちらもあわせてご覧ください。
経験あり資格なし≧未経験資格あり
少子高齢化が進み、企業も人手が足りておらず労働力を育てる能力もなくなってきているのが現状で、筆者が働いていた田舎の企業にもなるとそもそも求職者数自体も減っており、死活問題になっています。
そんな中で貴重な労働力はどのような人でしょうか。若くてまだまだポテンシャルがあるなら別ですが、同じ30~40代の求職者の場合、育てる余裕はないので即戦力となる人(=仕事の経験がある人)となります。
実際に筆者も採用担当にかかわったこともありますが、上の人たちが気に入ったのはその業界に興味があって勉強してきた(資格を取ってきた)人よりも実際に働いた経験がある人の方でした。
それはそうですよね。知識だけでなく実体験を持っている人の方がすぐに戦力になるのは明確です。
また、中には仕事の経験を積みながら資格も取ってきた。というように資格も経験もある強者ももちろんいます。
そんな方相手にただ資格がある、というだけではさほど大きな力になれないのが現状です。
資格を持っていても損になることがある!
資格を持っていることで自信が付き、自分は有利だ!市場価値もある!と思ってしまうのも最もな意見だと思います。
しかし資格を持つことが逆に足を引っ張る場合もあるので、その点にも少し触れておこうと思います。

行動が遅い分不利である
例えば二人の求職者AさんとBさん(ともに25歳)がいるとします。
ともにエンジニアになりたい、しかし二人ともエンジニアの経験はなく未経験だとします。
ここで、Aさんはとにかくエンジニアになりたいから転職して、最初はブラックな環境だろうと待遇が悪いところだろうと良いから経験を積みたい!と思って転職活動をしたとします。
一方でBさんは最初から好待遇のところが良い!と決め、そのために1~2年勉強して有名資格を取ってから転職しようとしました。
結果はどうなると思いますか?
今の時代、エンジニアに限った話ではありませんが、若ければ若いほどそれがポテンシャルにつながり転職可能性は高く、また、先ほども書いたように実務経験が問われる業界も多いので、二人が27~28歳になるころにはAさんはある程度現場でスキルを身に着け、環境が悪いなら良い会社に転職できている可能性も高くなることでしょう。また、その過程で会社から資格を取得させられていたり、知識やスキルに自信が付き自己啓発で資格を取得している可能性もあります。
一方でBさんは経験がないままだらだらと歳を重ね、そもそも1~2年で経験がある事前提の有名資格や難関資格を取得できるかと言われると怪しいものです。もちろん、資格を取得できたらそれなりには評価は上がるかもしれませんが、取れなかったときのリスクが大きすぎる(若い時間と経験)ので、危険な橋だと筆者は感じます。
このように資格を転職の武器にするくらいなら最初にその業界に飛び込み、その過程で資格を取得していく方が良いです。
もちろん、会社に入る必要条件として特定の資格がある場合や、弁護士、医師、会計士など、そもそもその資格を持っていないとできない仕事に就きたい場合は別ですが。
変にプライドが高くなる
資格を持つことで生まれる弊害の一つにプライドが高くなる。という点も挙げられます。
国家資格や有名資格だと持っていると周りからすごい!と言われることもあり、いつの間にか天狗のようになってしまうこともありますが、それが逆に足枷になってしまうこともあります。
資格を持っている、という事は客観的にその分野の知識やスキルがある、という事を示せているので、周りからの期待も高くなりますが、期待が高くなるあまり、できて当然、できなければなんで?と冷たい目で見られる場合もあります。
これは資格だけでなく高学歴の方にも当てはまることですが、「自分は有名資格を持っているのに、有名な大学を出ているのに仕事ではなかなか評価してもらえない、なんで自分よりレベルの低いあいつのいう事を聞かないといけないんだ!」といった変なプライドが邪魔してしまい、なかなか素直になれず前進できないことが起こり得てしまいます。
資格で学ぶことはあくまで抽象的なことであり、企業や顧客によっては全て対応しきれない場合もあります。
そんな場合にも対応できるよう、仕事においては柔軟な思考をと誠意をもって対応していくことが必要となり、資格で得た知識がその柔軟性を阻害してしまう危険性を孕んでいるわけですね。

選択肢が狭まる
資格を取ると、せっかくその資格を取ったのだから、無駄にならないように活かせる仕事を探そう、といった考えに陥り、かえって選択肢を自身で狭めてしまう可能性もあります。
本来は可能性を広げるための資格のはずが、そうなってしまっては本末転倒になってしまいます。
そういった凝り固まった考えにならないためにも業界だけでなく社内、生活でも活かせないかといった幅広い視野を持つことで資格を無意味にしない一つの大きなきっかけとなるでしょう。
具体的な例ではFP(ファイナンシャルプランナー)を見てみましょう。この資格はお金に関する知識を取り扱っており、金融や保険業界への転職も強いと言われています。なので資格を取ったらその業界に行きたい!と思うのも道理かもしれません。
FPは自分も2級まで取得しましたが金融や保険業界だけでなく誰であっても取得して損はないなと思いました。
お金と縁が無い人ってまず居ませんよね! https://t.co/BdDLYauHmB
— TS@福井県産ゲーマー (@weblog_0601) August 22, 2019
しかし視野を変えてみると、お金に関して無関係の生活はほぼ無いと思うんですよね。会社単位で言えば給料を振り込まない会社は無い(あったら倒産してしまえ)わけですし、身近な生活でお金を使わないことはまずありません。
なので例えばFPの資格を持って普通の会社の総務部に自分を売り込む。身近な人たちへの節約アドバイザーになる等道はいくらでも考えられるので、この資格を取ったからこの業界!といった凝り固まった考えは捨てておいた方が無難です。
取得した資格がそもそも希少性がない・需要がない
資格は現在数万・数十万と存在していて中には「なにそれ?」といった超マイナー資格も多くあります。
そんな資格を取得して持ってこられても採用担当者としても対応に困るだけで人生において+どころか、下手するとその資格の取得にかかった時間とお金をどぶに捨てて得られるのは自己満足くらいです。
どのような資格が良いか悪いかは業界によってもかなり違ってきますが、資格を取るならせめて履歴書に書いて人事の方がぱっと見で分かるような資格を狙っておきたいですね。
危険!?下手すると損どころか貧乏になるパターンも・・・
資格勉強にはまりすぎて貧乏になってしまうパターンもあります。
そちらに関しては以下のページで別途まとめているので、あわせて読んでみてください。
正しく使えば得られる資格のメリット
もちろん、この記事を読んでいる方の中には先ほど挙げたBさんのように、職歴より資格を優先してこられた方もいらっしゃることだと思います。
[実務経験あり≧資格のみ]とは書きましたが、もちろん[資格のみ≧実務経験、資格ともになし]でもあるので、絶対不利!というわけではありません。実際に一度筆者も未経験で資格を武器に内定をもぎ取った経験もあるので。
そこまで努力をしてきたことに変わりはないので、しっかりと評価してもらえる場所や手段もあります。
自分が有利になれる場所を選ぶ
今まで筆者が見てきたパターンで撃沈していったパターンは、未経験だけど有名資格を取得して大手企業やホワイト企業などを目指して勝ち組を目指すといったものです。大手企業こそ大事なのは経験になってくるし、ライバルはそれこそ経験者+有資格者といった鬼に金棒を持たせたような人ばかりです。
万が一難関資格を取得したとして勝てる可能性はかなり低いですし、そもそも難関資格に挑んでも合格できず挫折してしまうのが関の山です。
ではどうしたらよいのでしょうか。ホワイト企業や大手企業に入って勝ち組になるのはあきらめろ。とは言いません。ただワンクッション挟むのが良いのではないか?といった提案を筆者ならさせていただきます。
千里の道も一歩から、というように、最初から難関資格、大手企業を目指すのではなく、とりあえずその業界に入り込んで簡単な資格を取りながらキャリアを上げる、数年経って経験もついてから再度転職をする。そういった流れでステップアップしている人の方が、筆者の周りでも成果を上げているように感じています。
特に最近は転職も当たり前と言われているので、20代でも転職回数が2回くらいまでなら特に何も言われません。

アピールの仕方が大事
アピールの仕方や自分の売り込み方、要するに面接での態度や仕事での発揮の仕方ももちろん大事になってきます。
ただただこの資格を持っているのでやらせてください!といったところで、採用者や上司はそもそもその資格が何かすらわかっていない場合も多いです。
筆者も会社員時代、セキュリティスペシャリストの資格をどや顔で晒したものの、上司の反応は「ふーん。」程度で全く相手にしてもらえなかったことがありました。
今思い返すとそれも当然間違いで、現状でどのような問題があり、それを解決するために何が必要で、それがあるとどのようなメリットがあるかまで言わないと人は納得してくれません。
今だったら筆者は「最近は個人情報の流失や社内情報の漏洩も危険視されており、そんな中でセキュリティに詳しい人が社内で1人は必要だと感じています。自分は一通りセキュリティに関して勉強もしており技術も知識もあるので、社内システムエンジニアのポジションに付かせてください!」と懇願して社内ニートの座を狙いに行くと思います。
特定のポジションに付けると金の生る木になる
前の説の最後で社内ニートの座を狙う。と書きましたが、これはギャグでも冗談でもなく、本気で言っていることで、例えば周りが全くITに詳しくない方ばかりで、そんな中で会社としてITに詳しい人が必要だ!といった方針になったとしましょう。
取りあえずITに特化した人を採用したとして、その人が何をやっているかを把握するのは意外と困難だったりします。
実際に筆者も務めたのは化学業界であり、社内SEと経理の兼務だったのですが、兼務は忙しそうという事であまり仕事が降ってこず、とりあえずITの勉強のため資格を勉強するといった鄭で延々と勉強させてもらっていました。
このように資格を使って異業種で自分しかできないポジションに付くと、周りも評価できなくなり、裁量が自分次第になるので楽な生き方もできるようになります。
性に合わないので辞めましたが。
資格がなくても行動を!
これから資格を取ろうか迷っているけど本当に意味があるの?と不安な方は多いことでしょう。そんな方に向けてアドバイスを書いていきます。
資格を持ってなくても何とかなる!
冒頭から何回か書いている通り、資格がないとやっていけない士業を除けばまず、勉強する前にその業界に飛び込んでから頑張れ!と言いたいです。
特に業界によっては資格よりも何を作ってきたか、何ができるかを重視する傾向の方が強いところも多く、また、その知識を図るための資格自体が存在していない(具体的にはプログラミングだったり特定の素材の研究だったり)場合も多いです。
したがって、資格で武装するよりもまずは単体で飛び込んでチャレンジしましょう!
この迷っている時間でさえ、現場で働いているライバルたちは日々新しい技術を付けて差は開く一方です。
なので迷うくらいならまず行動、現場で力を付ける。それが何よりもキャリアに活かす方法です。

無資格でも活躍できるジャンル
筆者が今まで経験してきた仕事の中でも、このジャンル(業種)は資格がいらないな。と感じたものをいくつか紹介します。
営業職
まず営業職ですが、営業職に求められるのは資格ではなく自社の商品知識とコミュニケーション能力になります。
どんなに資格の知識が豊富でも話題の種にはなりますが、自分の扱う商品の知識がなければ物は売れません。
しいて言うなら簿記3級くらいは持っておくと社内への報告はスムーズに行きますが、お客さん第一の営業ではそれ以上に行動力が求められます。
事務職
筆者が最初についた職は経理だったのですが、経理に入ってからゆっくりと3級2級を取得していきました。
ここで感じた感想としては、簿記の知識があると経理の仕事が理解できる。というよりも、経理の経験があると簿記の資格の勉強が捗るといったもので、仕事があってこその資格。あくまで仕事で取りこぼした知識を資格で拾う。というのが王道かなと思っています。
特に経理職などは若いうちは未経験でも問題なく転職できるので、簿記を取る前に挑戦し、挑戦しながら万が一不安なら資格の勉強も並行する。くらいの塩梅で良いと感じております。
エンジニア
エンジニアこそ有名な国家資格であるITパスポートや基本情報があると有利なのでは?と思われるかもしれませんがそうではありません。
特にプログラマーなどでは数あるプログラミングのうちいくつかを極めればキャリアとしても高いポジションを狙えますが、そういったプログラミングにはそもそも資格は存在していない場合もあり、完全な実力勝負です。
勿論、0ベースから勉強して何か作り上げてそれを企業に持っていくのは理想ではあるものの困難なので、そんな場合は資格の勉強よりもまずプログラミングスクールに通いスキルを上げることをおすすめします。
最近のプログラミングスクールでは卒業後の就職まで担当しているところも多いので!
ちなみに、どんなジャンルの仕事が自分に向いているかわからない方は、キャリア相談サービスを使ってみるといいでしょう。
totolabo様の記事「話題の有料キャリア相談サービス5つからおすすめを紹介」が参考になりますので、あわせてご覧ください。
今から資格取得を考えるくらいなら転職サイトに登録!
もしこれから、資格を取得して転職を、と考えている方がいらっしゃるなら、真っ先に転職サイトに登録すべきです。
理由としてはいくつもありますが主に以下の3つが大きなポイントです。
並行しながらでも勉強はできる
転職サイトに登録している間は資格の勉強をしてはいけない、といった制約はありません。
転職活動中に資格の勉強も並行していて良くて、むしろ今こういった資格を取得するために勉強している!といった学習する姿勢を見せるだけでも採用担当者からは意欲的な人と思われて好印象になる可能性は高いです。
逆に資格を取得してから活動していると、その勉強している間に良い求人や希望の求人が他の方の枠で埋まってしまう可能性もあります。
まさに善は急げというやつですね。
資格を取得したらその都度反映させられる
大抵どのサイトでもプロフィール欄に資格取得を記入する枠はあります。
資格取得後にプロフィールを編集する際も、簡単に追加できるので煩雑さは一切ないです。
無料で手間もかからない
どのサイトでの転職においても、費用が掛かることはまずなく、すべて無料で5分足らずでサクッと登録できてしまいます。
資格の勉強にかかる時間やお金と対比してみてもはるかに手ごろなことが分かるので、まずは登録だけ先にしてしまっても何ら問題はありません。
因みに費用が掛からないギミックやおすすめの転職サイトは以下で紹介しています。気になる方は是非、参考にしてみてください。
まとめ
資格は使い方によって意味があるものにも無いものにも変わっていきます。
どのタイミングでどう活かすか、それを考えて使わないと逆に足を引っ張ることもあります。
そうならないためにもしっかりと未来のキャリアプランを立て、どう実現するかを計画的に考えながら資格を活用していきましょう。

福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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