日商簿記2級に落ちた時の対策方法!次こそ受かる必勝法とは?

日商簿記2級は企業からの評価が高く人気なものの、難易度も高いです。
したがって、しっかりと対策を立てておかないと普通に落ちます。


本記事では、何度も簿記2級に落ちてしまう方に向けて、対策方法を紹介します。
簿記2級に落ちても大丈夫!合格できない人が多い理由

日商簿記2級は合格率が低く、そもそも落ちるのが普通です。
具体的な統計情報から、どれくらいの方が不合格になっているのか確認しましょう。
合格率は20%前後で「落ちるのが普通」
日商簿記2級の合格率は、日本商工会議所の公式発表によるとここ数年おおむね15〜25%前後で推移しています。
たとえば、2025年度第169回(2月実施)の合格率は約20.9%、第170回(6月実施)は22.2%でした。つまり、受験者の約5人に1人しか合格できない難関資格です。
しかも、試験範囲は商業簿記に加えて工業簿記もあり、単純な暗記では太刀打ちできません。
このように「簿記2級は誰でも落ちる可能性がある」試験であり、1回の不合格で落ち込む必要は全くないのです。

受験者層が広がりレベルも上がっている
近年、簿記2級はリスキリングや転職目的での受験者が急増しています。従来の経理志望者だけでなく、以下のような方の受験も想定されます。
- IT業界で会計知識を学びたいエンジニア
- 副業で確定申告を見据えるフリーランス
- 就職前にスキル証明をしたい大学生
結果的に、勉強時間を十分に確保できる大学生や本気でビジネスを考える社会人層が増え、全体のレベルが上昇しています。
特に商業簿記では「実務を意識した会計処理」などが出題され、難易度が安定的に高い状態です。
つまり、落ちる理由は「努力不足」ではなく、競争環境そのものが厳しくなっている可能性も考えられます。

CBT化で気軽に受けられる反面「準備不足」が増加
2020年以降簿記2級はCBT方式(コンピュータ試験)が導入され、紙試験だけでなく全国のテストセンターでほぼ毎月受験できるようになりました。
一見するとチャンスが増えたように見えますが、「とりあえず受けてみよう」という軽い気持ちで受験する方が増え、結果として準備不足による不合格者が増加しています。
また、CBTは紙試験と違い電卓入力や画面操作に慣れる必要があるため、慣れていない方ほど「実力を発揮できずに落ちる」ケースも見られます。こうした環境変化も、合格率の低下を招く一因です。

日商簿記2級に落ちる人の特徴

簿記2級で不合格になる方の多くは、同じようなつまずき方をしています。特に多い3つのパターンを確認しましょう。
基礎理解より「丸暗記」で乗り切ろうとした
簿記2級は、3級以上に「理解力」が問われる試験です。たとえば「なぜ貸倒引当金を設定するのか」「仕掛品勘定に何を振り替えるのか」など、会計処理の意味を理解していないと、少し数字や文章が変わるだけで対応できません。
また、テキストを丸暗記する勉強方法では、応用問題や文章量の多い新傾向問題(特に第2問・第3問)で手が止まります。
一方、簿記2級合格者は、「仕訳の背景」を理解し、「なぜ」を説明できるレベルまで到達しています。「答えを覚える」から「理屈を理解する」へのシフトこそが合格への第一歩です。

商業簿記だけ得意で工業簿記が穴になった
商業簿記が得意でも、工業簿記を後回しにすると合格できない可能性が高まります。
工業簿記は製造業の原価計算が中心で、「勘定連絡図」「仕掛品勘定」「月末仕掛品」など独特の考え方も多く、文系出身者が苦手としがちです。
近年のCBT・統一試験ともに、「商業簿記が難化」「工業簿記が標準的」という傾向も見られるため、工業簿記で得点を安定させることが合格の鍵になります。
具体的には、「仕掛品勘定」や「材料費・労務費・経費の配賦」など、頻出論点を徹底して演習するのが効果的です。
独学でモチベ維持が難しかった
簿記2級は、学習範囲が非常に広く、独学だと途中でモチベーションが切れやすい試験です。特に、社会人受験者の平均勉強時間は150〜250時間程度と言われており、仕事や家庭と両立しながらの継続は困難です。
さらに、独学だと「どこが理解不足なのか」「どの問題を優先すべきか」が分からず、効率的に勉強できないケースが多発します。結果として、「1回受けて落ちたけど、何が悪かったのか分からない」という状況に陥りがちです。
一方で、通信講座では進捗管理や質問サポートがあるため、挫折率が大幅に下がる傾向があります。再挑戦する際は、「仕組みでモチベを支える学習法」に切り替えるのがおすすめです。
落ちた直後にやるべきこと3ステップ

ここからは、簿記2級に落ちた「直後」に何をすべきかを、3つのステップに分けて整理します。
点数・間違い箇所を冷静に分析する
一番やってはいけないのは、「ショックで問題を見返さないまま終わりにする」ことです。まずは総得点と各大問ごとの得点率をざっくりでいいので整理しましょう。
たとえば、最近の統一試験(ペーパー試験)の合格率は、以下のように大きなばらつきがあります。
- 第170回:22.2%
- 第169回:20.9%
- 第168回:28.8%
- 第167回:22.9%
- 第166回:15.5%
このように「難しい回」で60点前後取れていたなら、基礎力はかなりついていると判断できますし、40点以下であればそもそもの理解不足や学習量不足が疑われます。
各大問の得点・正答率を出してくれる学校の解説やWeb解説を参考に、「どの大問で点数を落としたのか」「ケアレスミスなのか」「そもそも解き方が分からなかったのか」を冷静に書き出してみましょう。
「苦手単元」を集中的に対策
分析ができたら、全部をやり直すのではなく「穴」から埋めるのがコツです。
日商簿記2級は、商業簿記と工業簿記を合わせるとかなり範囲が広いため、「全範囲をもう一周しよう」とすると時間も気力も足りなくなり、挫折しやすくなります。
そこで、次のような箇所を優先的に対策しましょう。
- 頻出論点なのに落としているところ
例:現金預金・有価証券・固定資産・社債・本支店会計など - 配点が大きいのに苦手な単元
例:工業簿記の仕掛品勘定、個別原価計算、標準原価計算、CVP分析など - ケアレスミスが多かった計算問題
例:試算表、精算表、本支店合併、製造原価報告書 など
「この単元の基本問題を10問連続で正解できるようにする」など、具体的なゴールを決めて演習すると効果的です。

苦手単元が2〜3個つぶれただけでも、次回の得点は10〜20点くらい平気で伸びることがあります。
準備ができたら再挑戦
簿記2級は、CBT方式ならほぼ通年で受験可能です。
日本商工会議所の受験者データによると、2級ネット試験の合格率は以下のように推移しています。
- 2023年度:35.2%
- 2024年度:35.7%

準備ができたらいつでも再挑戦できるネット試験に挑戦してみましょう。ただし、ネット試験は「いつでも受けられる」安心感がある一方で、準備が不十分なまま勢いで申し込んでしまう人が多いのも事実です。
チャンスが増えても焦って連続受験してしまうと「同じミスを繰り返してしまう」「不合格が続き挫折してしまう」の悪循環に陥ります。
したがって、ネット試験でリベンジするなら準備が整ってからベストコンディションで受験することを意識しましょう。
再挑戦ロードマップ

次こそ簿記2級に合格するため、必要な学習の方向性を整理します。ポイントは「同じ勉強を繰り返さない」ことです。
- STEP1インプットよりアウトプット中心に切り替える簿記2級に落ちた人の多くは、テキストを読む・講義を見るなどインプットに偏った学習を続けています。
しかし、簿記2級は「理解+処理スピード+正確さ」を問う実践試験であり、解く力=アウトプットの量で合否が決まります。日本商工会議所の分析によると、平均合格者は過去問・模試などの演習量が100〜150時間前後とされており、講義視聴だけではカバーできません。
インプット:アウトプット=3:7の比率を意識し、毎日必ず仕訳・集計・計算問題に触れることが大切です。「解いて理解する→間違いを分析→同タイプを再演習」という反復型アウトプット学習を3週間ほど続けると、点の知識が線でつながり始め、合格レベルに到達しやすくなります。
- STEP2工業簿記を「得点源」に変える合格者の多くは、「商業簿記で守り、工業簿記で稼ぐ」戦略を取っています。
工業簿記は一見難しく見えますが、出題パターンが限られており、安定して得点できる分野です。たとえば直近の統一試験(第168回)でも、商業簿記で苦戦する受験者が多い一方、工業簿記では標準原価計算や個別原価計算などの定型問題が出題され、得点差がつきました。工業簿記を得点源にできれば、合格ライン(70点)を安定して超えることが可能です。
対策のポイントは、以下の通りです。
- 計算過程を省略せず「なぜこの勘定に振り替えるのか」を理解する
- 原価計算問題を10回分ほど繰り返し、計算プロセスを体で覚える
- 1問あたり15分以内で処理できるよう時間を意識する
特にCBTでは時間管理が重要なので、スピード+正確さの両立を目標に練習するのが効果的です。
- STEP3総仕上げと実戦慣れ週1〜2回は本番形式の模試を実施しましょう。合格ライン(70点)を安定して超えた段階でCBTを予約して問題ありません。あまりだらだらと学習を続けても定着しないので、3ヶ月など期間を区切っての学習がおすすめです。
落ちても諦めない方が最終的に合格する
簿記2級は、一度で合格できる方が少数派です。合格率は常に20%前後、つまり受験者の約8割が一度は落ちいます。
しかし、その中でも次回以降で合格する方には、共通して「立ち止まらず行動した」特徴があります。
1回の不合格は「自分の弱点を正確に知るチャンス」です。間違い箇所を分析し、苦手単元を潰し、少しずつ理解を積み重ねれば、誰でも確実に合格ラインに届きます。
特に今はCBT方式によって、自分のペースで何度でも挑戦できる時代です。焦らず、正しい学び方を続けることこそ最短ルートです。
そしてもし独学で壁を感じたら、通信講座も検討してみましょう。
「落ちた」という経験は、決して失敗ではありません。不合格は合格に一歩近づいた途中経過にすぎません。
諦めずにもう一歩踏み出し、合格証書を手にしましょう。









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