消費行動|中小企業診断士 令和7年第1次試験 企業経営理論 問37

出典:令和7年度 第1次試験問題 企業経営理論 第35問 分野:企業経営理論 / 消費者行動
消費行動におけるさまざまな現象に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア:顕示的消費には、SNS映えする料理の写真を投稿したり、動画で自分の趣味のよさを公開したりする行為や、裕福な家庭における親が子供に高級品を身に着けさせる行為が含まれる。
  • イ:現代の消費スタイルを包括的に記述する概念であるリキッド消費は、永続的で、所有ベースで、物質主義的な消費スタイルである。
  • ウ:消費者情報処理の枠組みにおける快楽消費の評価基準には、感覚的な満足や空想、美的な楽しみ、感情的反応だけでなく、合理的判断や思考などの功利も含まれる。
  • エ:消費の文化的意味や消費経験のダイナミックな側面を解明する消費文化理論の研究では、参与観察、デプス・インタビューなどを用いた定性的アプローチがとられており、定量的アプローチはとられていない。
解説

この問題では、顕示的消費、リキッド消費、快楽消費、消費文化理論の特徴を区別して判断することが問われています。

顕示的消費とは、自分の地位、豊かさ、趣味のよさなどを他者に示すための消費を指します。高級品の購入だけでなく、SNS上で自分のライフスタイルや趣味のよさを見せる行為も、現代的な顕示的消費として捉えることができます。

また、親が子供に高級品を身に着けさせるような行為も、家庭の豊かさや社会的地位を示す消費として、顕示的消費に含まれます。

したがって、アが適切です。

❌他選択肢が誤りの理由
イ 現代の消費スタイルを包括的に記述する概念であるリキッド消費は、永続的で、所有ベースで、物質主義的な消費スタイルである。
⇒リキッド消費は、短期的・アクセスベース・非物質的・流動的な消費スタイルを指します。永続的で所有ベースの消費は、ソリッド消費に近い説明です。
ウ 消費者情報処理の枠組みにおける快楽消費の評価基準には、感覚的な満足や空想、美的な楽しみ、感情的反応だけでなく、合理的判断や思考などの功利も含まれる。
⇒快楽消費では、感覚的満足、楽しさ、気分、感情的反応などが重視されます。合理的判断や功利性は、主に実用的・功利的消費の評価基準に近い内容です。
エ 消費の文化的意味や消費経験のダイナミックな側面を解明する消費文化理論の研究では、参与観察、デプス・インタビューなどを用いた定性的アプローチがとられており、定量的アプローチはとられていない。
⇒消費文化理論では、参与観察やデプス・インタビューなどの定性的アプローチがよく用いられますが、定量的アプローチが一切とられないわけではありません。「定量的アプローチはとられていない」と断定する点が不適切です。
TSUNAGARU-ADVICE

まず押さえたいこと

消費行動では、商品やサービスを実用性だけでなく、自己表現や社会的な見せ方のために消費することがあります。顕示的消費は、自分の豊かさ、趣味のよさ、社会的地位などを他者に示すための消費であり、SNSでの投稿や、家族を通じた見せ方にも表れることがあります。

迷ったときの判断軸

リキッド消費は、所有より利用、一時的、軽やか、流動的といった特徴を持つため、永続的・所有ベース・物質主義的という説明とは逆になります。快楽消費は、感覚的満足、美的楽しみ、感情的反応などが中心であり、合理的判断や功利性とは区別して考えます。また、消費文化理論では定性的研究が多いものの、「定量的アプローチはとられていない」と言い切る記述には注意が必要です。

2次試験につなげるために

この論点は企業経営理論であり、2次試験の事例Ⅱに強くつながります。答案では、顧客が商品を「使うため」だけでなく、「自分らしさを表すため」「周囲に見せるため」「体験を楽しむため」に購入する場合があることを踏まえると、SNS投稿を促す仕掛け、体験価値の訴求、ブランドイメージづくりなどの施策につなげやすくなります。