製品の需要|中小企業診断士 令和7年第1次試験 企業経営理論 問36
出典:令和7年度 第1次試験問題 企業経営理論 第34問
分野:企業経営理論 / プロダクト・マネジメント
製品の需要に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア:環境やエネルギー保全などの公共的テーマと結びつけたデ・マーケティングは、対象市場の需要を抑制するため、そこから新たな代替市場を生み出す可能性につながる。
- イ:健康や美容を意識する風潮が健康食品カテゴリーの需要を持続させている状態のように、ある方向性や連続性を保ちながら一定期間、需要が長続きする状態のことをファッドと呼ぶ。
- ウ:市場において優れた競争優位と成果をもたらしている企業の多くが顧客志向であり、需要創造において最も有効なマーケティング・コンセプトである。
- エ:数量限定や地域限定のプロモーションは希少性の知覚を通して製品需要を増加させるが、時間限定のプロモーションにはその効果がない。
- オ:頻繁に新たなデザインを導入することで、旧デザインの魅力度を低下させ、消費者の買い替え需要を促そうとする計画的陳腐化は、SDGsの観点から、望ましいマーケティング手法である。
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まず押さえたいこと
製品需要は、単に増やすだけでなく、抑制したり、方向づけたり、別の需要へ移したりすることもあります。デ・マーケティングは、需要が過剰な場合や社会的に望ましくない消費を抑えたい場合に、あえて需要を抑制する考え方です。環境・エネルギー保全と結び付く場合には、既存需要を減らす一方で、代替製品や新しい市場の需要を生み出す可能性があります。
迷ったときの判断軸
需要の用語では、一時的な流行と持続的なトレンドを区別しましょう。ファッドは短期的な流行であり、健康志向のように一定期間続く方向性はトレンドに近い考え方です。また、希少性は数量限定・地域限定だけでなく、時間限定でも働きます。計画的陳腐化は買い替え需要を促す一方で、資源消費や廃棄の観点からSDGsと単純に相性がよいとはいえません。
2次試験につなげるために
この論点は企業経営理論であり、2次試験の事例Ⅱに強くつながります。答案では、需要を増やす施策だけでなく、環境配慮型商品への切替え、限定販売による購買意欲の喚起、長期的なトレンドへの対応などを、ターゲット顧客やブランド価値と結び付けて考えると、マーケティング施策の幅が広がります。
この問題では、需要の形成・抑制に関するマーケティング概念を区別して判断することが問われています。
デ・マーケティングとは、需要が過剰な場合や社会的に望ましくない消費を抑えたい場合に、意図的に需要を抑制するマーケティング活動です。
環境保全やエネルギー保全と結びついたデ・マーケティングでは、既存製品や既存消費の需要を抑える一方で、省エネ製品、代替素材、再利用サービスなど、新たな代替市場の創出につながることがあります。
したがって、アが適切です。
❌他選択肢が誤りの理由イ 健康や美容を意識する風潮が健康食品カテゴリーの需要を持続させている状態のように、ある方向性や連続性を保ちながら一定期間、需要が長続きする状態のことをファッドと呼ぶ。
⇒ある方向性や連続性を保ちながら一定期間続く需要の流れは、トレンドに近い説明です。ファッドは、一時的に急速に流行するものの、比較的短期間で衰える流行を指します。
ウ 市場において優れた競争優位と成果をもたらしている企業の多くが顧客志向であり、需要創造において最も有効なマーケティング・コンセプトである。
⇒顧客志向は重要ですが、需要創造において常に最も有効なコンセプトと断定するのは不適切です。顧客がまだ自覚していない潜在ニーズや技術起点の革新では、顧客志向だけでは十分でない場合があります。
エ 数量限定や地域限定のプロモーションは希少性の知覚を通して製品需要を増加させるが、時間限定のプロモーションにはその効果がない。
⇒時間限定のプロモーションも、購入機会が限られているという希少性や緊急性を生み出し、需要を高めることがあります。時間限定には効果がないとする点が誤りです。
オ 頻繁に新たなデザインを導入することで、旧デザインの魅力度を低下させ、消費者の買い替え需要を促そうとする計画的陳腐化は、SDGsの観点から、望ましいマーケティング手法である。
⇒計画的陳腐化は、買い替え需要を促す一方で、資源消費や廃棄物の増加につながる可能性があります。そのため、SDGsの観点から望ましい手法であると単純にはいえません。