マーケティング・コミュニケーション|中小企業診断士 令和7年第1次試験 企業経営理論 問32

出典:令和7年度 第1次試験問題 企業経営理論 第31問 分野:企業経営理論 / コミュニケーション
マーケティング・コミュニケーションに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア:インフィード広告は、SNSのコンテキストやデザインとマッチさせて表示され、あたかも投稿の1つであるかのようにタイムラインに溶け込み、ユーザーの利用体験を妨げないことを目指す広告である。
  • イ:コミュニケーションに対する消費者の反応を表したモデルであるAIDMAモデルやAISASモデル、FCBグリッドなどの階層モデルでは、消費者の反応が認知段階から感情段階を経て行動段階に進むと考える点で共通している。
  • ウ:サードパーティ・クッキーの利用が法律などにより制限されると、インターネット広告の配信精度や広告効果が低下するリスクがあるが、リ・ターゲティング広告には影響はない。
  • エ:日本では2022年に改正された個人情報保護法において、クッキーは個人情報であり、個人情報保護の対象に含まれると規定された。
  • オ:ネイティブ広告においては、広告のデザインとフォーマットを広告が配信される媒体の記事やコンテンツの形式や機能と一体化させることが必要であるが、広告の内容やクリック後に表示される遷移先のコンテンツは自由に設定することができる。
解説

この問題では、インフィード広告、階層効果モデル、サードパーティ・クッキー、ネイティブ広告の特徴を区別して判断することが問われています。

インフィード広告ダウンロード

インフィード広告は、SNSやニュースサイトなどのフィード内に、周囲の投稿や記事と近い形式で表示される広告です。媒体のデザインや利用文脈になじませることで、ユーザーの利用体験を大きく妨げずに接触してもらうことを狙います。

したがって、アが適切です。

❌他選択肢が誤りの理由
イ コミュニケーションに対する消費者の反応を表したモデルであるAIDMAモデルやAISASモデル、FCBグリッドなどの階層モデルでは、消費者の反応が認知段階から感情段階を経て行動段階に進むと考える点で共通している。
⇒AIDMAは、注意・関心・欲求・記憶・行動の流れを示すモデルです。一方、AISASは注意・関心・検索・行動・共有を示すモデルであり、必ずしも感情段階を経て行動段階へ進むとはいえません。また、FCBグリッドは、関与度と思考・感情の軸で購買行動を分類する考え方であり、すべてが同じ階層順序を前提にしているわけではありません。
ウ サードパーティ・クッキーの利用が法律などにより制限されると、インターネット広告の配信精度や広告効果が低下するリスクがあるが、リ・ターゲティング広告には影響はない。
⇒リ・ターゲティング広告は、過去の閲覧履歴や行動履歴をもとに広告を配信するため、サードパーティ・クッキーの制限による影響を受けやすい広告手法です。影響がないという説明は不適切です。
エ 日本では2022年に改正された個人情報保護法において、クッキーは個人情報であり、個人情報保護の対象に含まれると規定された。
⇒クッキーが常に個人情報であると規定されたわけではありません。改正個人情報保護法では、個人情報、仮名加工情報、匿名加工情報のいずれにも該当しない生存する個人に関する情報として「個人関連情報」が設けられ、クッキー等がこの規律との関係で問題になります。
オ ネイティブ広告においては、広告のデザインとフォーマットを広告が配信される媒体の記事やコンテンツの形式や機能と一体化させることが必要であるが、広告の内容やクリック後に表示される遷移先のコンテンツは自由に設定することができる。
⇒ネイティブ広告では、媒体の形式になじませるだけでなく、ユーザーを誤認させない広告表示や、広告内容と遷移先コンテンツの整合性が重要です。遷移先を自由に設定してよいという説明は不適切です。
TSUNAGARU-ADVICE

まず押さえたいこと

マーケティング・コミュニケーションでは、広告が消費者の利用体験の中にどのように表示されるかを押さえることが重要です。インフィード広告は、SNSやニュースアプリなどのタイムライン・フィード内に、通常の投稿や記事と近い形式で表示される広告です。媒体のデザインや文脈になじませることで、利用体験を大きく妨げないように設計されます。

迷ったときの判断軸

階層モデルはすべてが同じ順序で反応を説明するわけではないため、「認知・感情・行動の順で共通」といった言い切りに注意しましょう。また、サードパーティ・クッキーの制限は、リターゲティング広告にも影響します。クッキーについても、それ自体が常に個人情報とされるのではなく、他の情報と照合できるか、個人関連情報として扱われるかなどを分けて考える必要があります。

2次試験につなげるために

この論点は企業経営理論であり、2次試験の事例Ⅱに強くつながります。答案では、広告手法を単に列挙するのではなく、ターゲット顧客の接触媒体、購買プロセス、広告への違和感の少なさ、個人情報保護への配慮を踏まえて、どのコミュニケーション手段を使うかを説明すると説得力が高まります。