組織社会化|中小企業診断士 令和7年第1次試験 企業経営理論 問19

出典:令和7年度 第1次試験問題 企業経営理論 第19問 分野:企業経営理論 / 組織における個人
「組織社会化」とは、新しいメンバーが組織や集団の価値観、規範、必要とされる行動パターンなどを学び、それらに適応していくプロセスを指す。組織社会化に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア:新しいメンバーが自らの仕事の出来栄えのフィードバックを上司に求めるような積極的な行動をとることは、新しいメンバーの組織社会化を阻害するように作用する。
  • イ:ある組織の一員として組織社会化を既に経験した個人が、転職などの組織間移動を契機として移動先の組織に適応していく過程は「組織再社会化」と呼ばれる。
  • ウ:上司とメンターは、新しいメンバーの組織社会化を促進する社会化エージェントとして重要な役割を果たす一方で、新しいメンバーと同じ地位の同僚が社会化エージェントの役割を果たすことはない。
  • エ:組織社会化によって、組織文化にとらわれない組織メンバーの自由な思考や行動が促進されることで、組織の秩序が損なわれる側面がある。
  • オ:組織社会化の一部である「予期的社会化」とは、組織や集団に参加した新しいメンバーが、参加直後に得た情報や経験に基づいて、その組織や集団に自分が将来的に適応できるかどうかを予期するプロセスを指す。
解説

この問題では、組織社会化と組織再社会化、予期的社会化、社会化エージェントの違いを理解しているかが問われています。

組織社会化は、新しいメンバーが組織の価値観・規範・仕事の進め方を学び、組織に適応していくプロセスです。一度ある組織で社会化を経験した人でも、転職や異動によって別の組織に移れば、新しい組織の文化や行動様式に改めて適応する必要があります。

このように、既に社会化を経験した個人が、新しい組織や集団に適応していく過程は、組織再社会化と呼ばれます。

したがって、イが適切です。

❌他選択肢が誤りの理由
ア 新しいメンバーが自らの仕事の出来栄えのフィードバックを上司に求めるような積極的な行動をとることは、新しいメンバーの組織社会化を阻害するように作用する。
⇒新しいメンバーがフィードバックを求める行動は、自分の役割や期待される行動を理解する助けになります。そのため、組織社会化を阻害するのではなく、促進する方向に働きます。
ウ 上司とメンターは、新しいメンバーの組織社会化を促進する社会化エージェントとして重要な役割を果たす一方で、新しいメンバーと同じ地位の同僚が社会化エージェントの役割を果たすことはない。
⇒社会化エージェントには、上司やメンターだけでなく、同僚や先輩なども含まれます。同じ地位の同僚も、職場の暗黙のルールや仕事の進め方を学ぶうえで重要な役割を果たすことがあります。
エ 組織社会化によって、組織文化にとらわれない組織メンバーの自由な思考や行動が促進されることで、組織の秩序が損なわれる側面がある。
⇒組織社会化は、組織の価値観・規範・行動様式を学ばせることで、組織への適応や秩序の維持を促進するものです。組織文化にとらわれない自由な行動を促進するという説明は逆です。
オ 組織社会化の一部である「予期的社会化」とは、組織や集団に参加した新しいメンバーが、参加直後に得た情報や経験に基づいて、その組織や集団に自分が将来的に適応できるかどうかを予期するプロセスを指す。
⇒予期的社会化は、組織に参加する前に、仕事や組織について情報を得たり期待を形成したりするプロセスです。参加直後に適応可能性を予期するという説明は不適切です。
TSUNAGARU-ADVICE

まず押さえたいこと

組織社会化は、新しく組織に入ったメンバーが、その組織の価値観・規範・仕事の進め方を学び、組織の一員として適応していくプロセスです。すでに別の組織で社会化を経験した人が、転職などを通じて新しい組織に適応し直す過程は組織再社会化と呼ばれます。

迷ったときの判断軸

組織社会化では、新メンバー本人の積極的な情報探索やフィードバック要求は、適応を促進する方向に働きます。また、上司やメンターだけでなく、同僚も日常的な仕事の進め方や暗黙のルールを伝える社会化エージェントになります。予期的社会化は、組織に参加する前の段階で、職業や組織について期待やイメージを形成する過程として整理しましょう。

2次試験につなげるために

この論点は企業経営理論であり、2次試験の事例Ⅰに強くつながります。答案では、新入社員・中途採用者・後継者などの定着や早期戦力化を考える際に、OJT、メンター制度、上司からのフィードバック、同僚との交流、理念や業務ルールの共有を組み合わせて説明すると、組織面の施策として説得力が高まります。