組織コミットメント|中小企業診断士 令和7年第1次試験 企業経営理論 問18

出典:令和7年度 第1次試験問題 企業経営理論 第18問 分野:企業経営理論 / 組織における個人
組織コミットメントの3つの次元である情緒的コミットメント、継続的コミットメント、規範的コミットメントに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア:規範的コミットメントとは、組織の理念や価値観が自分の信念や倫理観と合致するかどうかを重視する個人の規範意識に基づいた組織コミットメントである。
  • イ:継続的コミットメントとは、長期にわたって1つの組織に継続して参加し続けることに対する個人の義務感に基づいた組織コミットメントである。
  • ウ:個人は組織において、情緒的、継続的、規範的コミットメントのうちいずれか1 つの心理状態しか経験できないのではなく、3つのコミットメントは個人の中で同時に併存可能である。
  • エ:情緒的コミットメントとストレスとの間には正の関係が見られる一方で、継続的コミットメントとストレスとの間には負の関係が見られる。
  • オ:情緒的コミットメントとは、もし組織を去った場合、現状の生活水準を維持できなくなるのではないかという不安心理に基づいた組織コミットメントである。
解説

この問題では、組織コミットメントを、情緒的コミットメント、継続的コミットメント、規範的コミットメントの3つに分けて理解しているかが問われています。

情緒的コミットメントは、組織への愛着や一体感に基づくものです。継続的コミットメントは、組織を離れることによる損失やコストを考えて残る心理です。規範的コミットメントは、組織に残るべきだという義務感に基づくものです。

これら3つのコミットメントは、互いに排他的なものではありません。1人の個人の中で、組織への愛着、離職による損失への意識、組織に残るべきだという義務感が同時に存在することがあります。

したがって、ウが適切です。

❌他選択肢が誤りの理由
ア 規範的コミットメントとは、組織の理念や価値観が自分の信念や倫理観と合致するかどうかを重視する個人の規範意識に基づいた組織コミットメントである。
⇒規範的コミットメントは、組織に残るべきだという義務感に基づくコミットメントです。組織の理念や価値観への共感や一体感は、情緒的コミットメントに近い説明です。
イ 継続的コミットメントとは、長期にわたって1つの組織に継続して参加し続けることに対する個人の義務感に基づいた組織コミットメントである。
⇒継続的コミットメントは、組織を離れることによる経済的・社会的損失や、転職先の少なさなどを意識して残る心理です。義務感に基づくものは規範的コミットメントです。
エ 情緒的コミットメントとストレスとの間には正の関係が見られる一方で、継続的コミットメントとストレスとの間には負の関係が見られる。
⇒一般に、情緒的コミットメントはストレスを低める方向に働きやすく、継続的コミットメントは「辞めたいが辞められない」という心理を伴うため、ストレスと正の関係をもちやすいです。説明が逆です。
オ 情緒的コミットメントとは、もし組織を去った場合、現状の生活水準を維持できなくなるのではないかという不安心理に基づいた組織コミットメントである。
⇒組織を去った場合の損失や生活水準への不安に基づくものは、継続的コミットメントです。情緒的コミットメントは、組織への愛着や一体感に基づきます。
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まず押さえたいこと

組織コミットメントは、従業員が組織にとどまりたい・とどまるべき・とどまらざるを得ないと感じる心理的な結び付きです。情緒的コミットメントは「好きだから残りたい」、継続的コミットメントは「辞めると損だから残る」、規範的コミットメントは「残るべきだと感じる」という違いで整理すると理解しやすくなります。

迷ったときの判断軸

3つのコミットメントは排他的なものではなく、1人の中に同時に併存することがあります。たとえば、会社に愛着を持ちながら、辞めた場合の不利益も意識し、さらに恩義や義務感も感じることがあります。選択肢では、「生活水準を維持できない不安」は継続的コミットメント、「義務感」は規範的コミットメント、「愛着・一体感」は情緒的コミットメントと対応づけると判断しやすくなります。

2次試験につなげるために

この論点は企業経営理論であり、2次試験の事例Ⅰに強くつながります。答案では、単に離職防止策を書くのではなく、従業員が「この会社で働きたい」と思える情緒的コミットメントを高める施策として、理念共有、権限委譲、成長機会、納得感のある評価、職場内コミュニケーションなどを結び付けると、組織活性化の説明に深みが出ます。