OLIパラダイム|中小企業診断士 令和7年第1次試験 企業経営理論 問12
出典:令和7年度 第1次試験問題 企業経営理論 第12問
分野:企業経営理論 / 国際経営戦略
J. ダニングの折衷理論(OLIパラダイム)は、「所有優位性(O優位性)」、「立地優位性(L優位性)」、「内部化優位性(I優位性)」の3つの条件から、企業による海外直接投資や輸出、ライセンシングなどの海外進出について説明する理論である。
この理論に基づく企業の海外進出に関する記述として、最も適切なものはどれか。
この理論に基づく企業の海外進出に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア:所有優位性と立地優位性と内部化優位性の全てがある場合、海外直接投資による海外進出が最も望ましい。
- イ:所有優位性はあるが立地優位性と内部化優位性はない場合、輸出による海外進出が最も望ましい。
- ウ:内部化優位性はあるが所有優位性と立地優位性はない場合、自社の製品や技術の海外企業へのライセンシング契約による海外進出が最も望ましい。
- エ:立地優位性と内部化優位性はあるが所有優位性はない場合、輸出による海外進出が最も望ましい。
- オ:立地優位性はあらゆる形態の海外進出において重要であり、この優位性がない場合は海外市場で他企業に勝つことは難しく、海外進出を行わないことが最も望ましい。
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まず押さえたいこと
ダニングの折衷理論では、海外進出の形態を所有優位性・立地優位性・内部化優位性の組み合わせで考えます。所有優位性は自社独自の技術・ブランド・ノウハウ、立地優位性は現地で生産・販売するメリット、内部化優位性は外部企業に任せず自社内で行うメリットです。3つがそろう場合は、海外直接投資が選ばれやすくなります。
迷ったときの判断軸
海外進出形態を判断するときは、「自社に強みがあるか」「現地で行うメリットがあるか」「外部に任せず自社で行うメリットがあるか」の順に確認しましょう。所有優位性だけがあり、現地立地や内部化のメリットが弱ければ輸出やライセンシングが候補になります。一方、3つの優位性がすべてある場合は、自社の強みを現地で活かし、かつ自社内で管理する意義があるため、海外直接投資と結び付きます。
2次試験につなげるために
この論点は企業経営理論であり、2次試験の事例Ⅰ・Ⅱにも関係します。海外展開を提案する際には、「なぜその国・地域なのか」「なぜ輸出やライセンスではなく自社展開なのか」「自社のどの強みを活かすのか」を分けて説明すると、進出形態の妥当性を論理的に示しやすくなります。
この問題では、ダニングの折衷理論におけるO優位性、L優位性、I優位性の組み合わせから、海外直接投資、輸出、ライセンシングのどれが選ばれやすいかを判断することが問われています。
所有優位性は、自社がもつ技術、ブランド、ノウハウなどの優位性です。立地優位性は、海外現地で事業を行うことによる優位性です。内部化優位性は、外部企業に任せるよりも自社内で事業活動を行う方が有利であることを意味します。
所有優位性、立地優位性、内部化優位性の全てがある場合、自社の強みを海外現地で、自社内部に取り込んで活用することが有利になります。そのため、海外直接投資による海外進出が選択されやすくなります。
したがって、アが適切です。
❌他選択肢が誤りの理由イ 所有優位性はあるが立地優位性と内部化優位性はない場合、輸出による海外進出が最も望ましい。
⇒輸出は、海外現地に生産拠点を置く立地優位性が小さい場合に選ばれやすい形態ですが、通常は自社で取引を行う内部化優位性も関係します。内部化優位性がない場合は、ライセンシングなどが選ばれやすくなります。
ウ 内部化優位性はあるが所有優位性と立地優位性はない場合、自社の製品や技術の海外企業へのライセンシング契約による海外進出が最も望ましい。
⇒ライセンシングでは、自社が海外企業に提供できる技術・ブランド・ノウハウなどの所有優位性が前提になります。所有優位性がない場合、自社の製品や技術をライセンスする根拠が弱くなります。
エ 立地優位性と内部化優位性はあるが所有優位性はない場合、輸出による海外進出が最も望ましい。
⇒折衷理論では、海外進出の前提として、自社が海外で活用できる所有優位性をもつことが重要です。所有優位性がない場合、輸出による海外進出が最も望ましいとはいえません。
オ 立地優位性はあらゆる形態の海外進出において重要であり、この優位性がない場合は海外市場で他企業に勝つことは難しく、海外進出を行わないことが最も望ましい。
⇒立地優位性は、海外直接投資を選ぶ際に特に重要です。立地優位性がない場合でも、所有優位性や内部化優位性があれば、輸出などによる海外進出が考えられるため、海外進出を行わないことが常に最も望ましいとはいえません。