ユーザー・イノベーション|中小企業診断士 令和7年第1次試験 企業経営理論 問10
出典:令和7年度 第1次試験問題 企業経営理論 第10問
分野:企業経営理論 / 技術経営(MOT)
ユーザー・イノベーションに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア:個人によるユーザー・イノベーションは、コミュニティを通じたユーザー・イノベーションよりも普及しやすい傾向にある。
- イ:ユーザー・イノベーションとは、企業の開発者が主体となり、アンケートやインタビューを活用して、顧客のニーズを調査し、その結果を製品開発に反映するプロセスである。
- ウ:ユーザー・イノベーションは、イノベーションのジレンマを引き起こし、既存企業が破壊的イノベーションに対応できなくなる原因となる。
- エ:ユーザー・イノベーションは、ユーザーが持つニーズ情報の粘着性が高く、技術情報の粘着性が低い場合に起こりやすい。
- オ:ユーザー・イノベーションは、リード・ユーザーと呼ばれる、特定の企業への忠誠度が高いユーザーによって引き起こされる傾向が強い。
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まず押さえたいこと
ユーザー・イノベーションは、企業ではなくユーザー自身が、自分の課題やニーズを解決するために新しい製品・使い方・改良を生み出す現象です。特に、ユーザー側にあるニーズ情報が企業に伝わりにくい、つまりニーズ情報の粘着性が高い場合に起こりやすくなります。
迷ったときの判断軸
企業がアンケートやインタビューで顧客ニーズを調査するだけなら、企業主導のマーケティング調査や製品開発であり、ユーザー・イノベーションそのものではありません。また、ユーザー・イノベーションを起こしやすいリード・ユーザーは、特定企業への忠誠度が高い人ではなく、市場に先行する強いニーズを持ち、その解決から大きな便益を得る人です。ニーズ情報はユーザー側、技術情報は企業側に偏りやすいという構図で整理すると判断しやすくなります。
2次試験につなげるために
この論点は企業経営理論であり、2次試験の事例Ⅱに関係します。答案では、顧客の声を聞くだけでなく、先進的な顧客の使い方・不満・工夫を拾い上げ、製品改良や新用途開発につなげる視点が重要です。特に中小企業では、顧客との近さを活かしてリード・ユーザーの知見を取り込み、差別化につなげる施策として説明できます。
この問題では、ユーザー・イノベーションがどのような条件で起こりやすいかを、ニーズ情報と技術情報の粘着性から判断することが問われています。
ユーザー・イノベーションとは、製品やサービスを利用するユーザー自身が、自らのニーズを満たすために新しい使い方や製品改良を生み出すことです。
ユーザーは自分のニーズをよく知っていますが、そのニーズ情報は企業側に伝えにくいことがあります。このようにニーズ情報の粘着性が高く、必要な技術情報の粘着性が低くてユーザーが扱いやすい場合、ユーザー自身によるイノベーションが起こりやすくなります。
したがって、エが適切です。
❌他選択肢が誤りの理由ア 個人によるユーザー・イノベーションは、コミュニティを通じたユーザー・イノベーションよりも普及しやすい傾向にある。
⇒ユーザー・イノベーションは、ユーザーコミュニティを通じて知識や改良成果が共有されることで普及しやすくなります。個人単独の方が普及しやすいとはいえません。
イ ユーザー・イノベーションとは、企業の開発者が主体となり、アンケートやインタビューを活用して、顧客のニーズを調査し、その結果を製品開発に反映するプロセスである。
⇒企業が主体となって顧客ニーズを調査し、製品開発に反映する説明です。ユーザー・イノベーションは、ユーザー自身が主体となって新しい製品・改良・使い方を生み出す点が特徴です。
ウ ユーザー・イノベーションは、イノベーションのジレンマを引き起こし、既存企業が破壊的イノベーションに対応できなくなる原因となる。
⇒イノベーションのジレンマは、既存企業が既存顧客や既存事業を重視する結果、破壊的イノベーションへの対応が遅れる現象です。ユーザー・イノベーションそのものを原因とする説明ではありません。
オ ユーザー・イノベーションは、リード・ユーザーと呼ばれる、特定の企業への忠誠度が高いユーザーによって引き起こされる傾向が強い。
⇒リード・ユーザーは、先進的なニーズをもち、その解決によって大きな便益を得るユーザーです。特定企業への忠誠度が高いユーザーという意味ではありません。