連携戦略|中小企業診断士 令和7年第1次試験 企業経営理論 問6

出典:令和7年度 第1次試験問題 企業経営理論 第6問 分野:企業経営理論 / 企業戦略
企業間の連携戦略に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア:TOBとは、買収者が対象企業の株式を公開市場で株主から買い付ける手法のことを指す。
  • イ:経営陣が中核となって既存株主から株式を買い取ることをMBOと呼ぶが、MBOは上場企業では起こるが、非上場企業では起こらない。
  • ウ:仕入先の事業を買収し、事業のバリューチェーンの変革を目指す買収を水平的M&Aと呼ぶ。
  • エ:ジョイントベンチャーは、M&Aよりも当事者同士で共有できる情報の範囲が広く範囲の経済を享受できるので、より大きな相乗効果が期待される。
  • オ:ベンチャー企業が開発した革新的な技術やビジネスモデルを取り込み、自社の既存事業との間でシナジーを発現させることなどを目的に、事業会社がベンチャー企業に投資をすることをCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)と呼ぶ。
解説

この問題では、企業間連携に関する用語を、M&A、TOB、MBO、ジョイントベンチャー、CVCの違いから判断することが問われています。

CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)とは、事業会社がベンチャー企業に投資する活動を指します。単なる金融投資だけでなく、革新的な技術やビジネスモデルを取り込み、自社の既存事業とのシナジーを得ることを目的とする場合があります。

オは、事業会社がベンチャー企業に投資し、自社事業とのシナジーを狙う内容であり、CVCの説明として適切です。

したがって、オが適切です。

❌他選択肢が誤りの理由
ア TOBとは、買収者が対象企業の株式を公開市場で株主から買い付ける手法のことを指す。
⇒TOBは、買付期間・価格・株数などを公告し、不特定多数の株主から市場外で株式を買い付ける手法です。公開市場で買い付けるという説明が誤りです。
イ 経営陣が中核となって既存株主から株式を買い取ることをMBOと呼ぶが、MBOは上場企業では起こるが、非上場企業では起こらない。
⇒MBOは、経営陣が中心となって株式や事業を買い取る手法です。上場企業だけでなく、事業承継や独立などを目的として非上場企業でも起こり得ます。
ウ 仕入先の事業を買収し、事業のバリューチェーンの変革を目指す買収を水平的M&Aと呼ぶ。
⇒仕入先など、バリューチェーン上の前後関係にある企業を買収するのは垂直的M&Aです。水平的M&Aは、同業他社など同じ段階にある企業を対象とする買収です。
エ ジョイントベンチャーは、M&Aよりも当事者同士で共有できる情報の範囲が広く範囲の経済を享受できるので、より大きな相乗効果が期待される。
⇒ジョイントベンチャーは、共同出資などにより特定の事業を共同で行う形態ですが、独立した企業同士の連携であるため、情報共有の範囲には制約が残ります。M&Aより常に大きな相乗効果が期待されるとはいえません。
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まず押さえたいこと

企業間の連携戦略では、M&A、TOB、MBO、ジョイントベンチャー、CVCなどの用語を、目的と主体で整理することが大切です。CVCは、事業会社がベンチャー企業へ投資し、革新的な技術・ビジネスモデルを取り込んだり、自社事業とのシナジーを狙ったりする取り組みです。

迷ったときの判断軸

TOBは公開買付けであり、取引所の通常の市場取引ではなく、買付価格・期間・株数などを公告して株主から買い付ける方法です。MBOは上場企業だけでなく非上場企業でも起こり得ます。仕入先など川上企業の買収は垂直的M&Aであり、同業他社の買収が水平的M&Aです。ジョイントベンチャーは共同事業ですが、M&Aより常に大きな相乗効果が期待されるとは限りません。

2次試験につなげるために

この論点は企業経営理論であり、2次試験の事例Ⅰ・Ⅱに関係します。答案では、外部企業との連携を提案する際に、「買収するのか」「共同で事業を行うのか」「出資して技術やノウハウを取り込むのか」を区別できると、施策の妥当性を説明しやすくなります。特に中小企業では、経営資源の不足を補う手段として外部連携をどう使うかを意識しましょう。