ダイナミック・ケイパビリティ|中小企業診断士 令和7年第1次試験 企業経営理論 問4
出典:令和7年度 第1次試験問題 企業経営理論 第4問
分野:企業経営理論 / 戦略の考え方
ダイナミック・ケイパビリティに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア:ダイナミック・ケイパビリティは、企業が外部環境への依存度を下げ、完全に独立した運営を実現する能力を指す。
- イ:ダイナミック・ケイパビリティは、既存の経営資源を活用することで、成熟期の安定的な市場環境で競争優位性を得る能力を指す。
- ウ:ダイナミック・ケイパビリティは、競合他社からの模倣によって追いつかれないように、業務プロセスの効率化を一層追求する能力を指す。
- エ:ダイナミック・ケイパビリティは、顧客に独自の価値を提供し、かつ競合他社からの模倣を防ぐことを可能にする、現在の市場において競争優位性を獲得する基盤となる中核的な能力を指す。
- オ:ダイナミック・ケイパビリティは、市場環境の変化を知覚し、新たなビジネス機会を活かし、必要時には既存の経営資源やプロセスを再構成する能力を指す。
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まず押さえたいこと
ダイナミック・ケイパビリティは、変化する環境に対応するために、企業が経営資源や組織能力を組み替えていく力です。単に今ある強みを効率よく使う能力ではなく、環境変化を捉え、新しい機会を活かし、必要に応じて既存の資源・プロセスを再構成する変革の能力として押さえましょう。
迷ったときの判断軸
選択肢を読むときは、「安定した環境で既存能力を活用する話」なのか、「変化に合わせて資源を組み替える話」なのかを見分けます。業務効率化や現在の市場での競争優位は、通常のケイパビリティやコア・コンピタンスに近い考え方です。ダイナミック・ケイパビリティでは、環境変化の知覚、新機会の活用、資源・組織プロセスの再構成がキーワードになります。
2次試験につなげるために
この論点は企業経営理論であり、2次試験の事例Ⅰ・Ⅱに強くつながります。答案では、過去の成功パターンを続けるだけでなく、外部環境の変化に応じて事業・組織・人材・販売方法を見直す視点が重要です。与件企業が新市場対応、デジタル活用、組織再編、外部連携などを進める場面では、「既存資源をどう再構成するか」まで書けると説得力が高まります。
この問題では、ダイナミック・ケイパビリティの意味を、通常能力やコア・コンピタンスと区別して理解しているかが問われています。
ダイナミック・ケイパビリティとは、変化する市場環境の中で、機会や脅威を感知し、機会を捉え、必要に応じて経営資源や業務プロセスを再構成する能力を指します。
単に既存資源を効率的に活用するだけでなく、環境変化に合わせて資源の組み合わせや事業のあり方を変えていく点が特徴です。
したがって、オが適切です。
❌他選択肢が誤りの理由ア ダイナミック・ケイパビリティは、企業が外部環境への依存度を下げ、完全に独立した運営を実現する能力を指す。
⇒ダイナミック・ケイパビリティは、外部環境から独立する能力ではなく、外部環境の変化を感知し、それに対応して自社の資源やプロセスを変える能力です。
イ ダイナミック・ケイパビリティは、既存の経営資源を活用することで、成熟期の安定的な市場環境で競争優位性を得る能力を指す。
⇒安定的な環境で既存資源を効率よく活用する能力は、通常能力やオーディナリー・ケイパビリティに近い説明です。ダイナミック・ケイパビリティは、変化する環境への対応を重視します。
ウ ダイナミック・ケイパビリティは、競合他社からの模倣によって追いつかれないように、業務プロセスの効率化を一層追求する能力を指す。
⇒業務プロセスの効率化は重要ですが、それだけではダイナミック・ケイパビリティの説明として不十分です。環境変化に応じた資源やプロセスの再構成が中心です。
エ ダイナミック・ケイパビリティは、顧客に独自の価値を提供し、かつ競合他社からの模倣を防ぐことを可能にする、現在の市場において競争優位性を獲得する基盤となる中核的な能力を指す。
⇒現在の市場で競争優位を支える中核的な能力は、コア・コンピタンスに近い説明です。ダイナミック・ケイパビリティは、環境変化に合わせて資源や能力を変化させる点に焦点があります。