アンゾフの成長マトリクス|中小企業診断士 令和7年第1次試験 企業経営理論 問2

出典:令和7年度 第1次試験問題 企業経営理論 第2問 分野:企業経営理論 / 企業戦略
食品メーカーA社は、日本国内の一般消費者向けのシリアルの開発・製造・販売を行う専業企業である。同社は、現在、今後の成長戦略のための施策を検討している。
I.アンゾフの成長マトリクスの考え方に基づく記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア:A社のシリアルのみを販売する国内の一般消費者向けの自社ECサイトを立ち上げて、既存の一般消費者向けシリアル市場での市場シェアの拡大を狙うことで、「多角化戦略」を行う。
  • イ:新しく飲食事業者を顧客とするSNSマーケティング支援事業を開始し、A社にとっての次の収益の柱としようとすることで、「市場浸透戦略」を行う。
  • ウ:一部の既存販売地域を対象に、地域名産品を用いた限定フレーバーの一般消費者向けシリアルを新しく開発することで、「多角化戦略」を行う。
  • エ:既存顧客のリピート購入を促進するクーポンプレゼントのキャンペーンを実施し、既存の一般消費者向けシリアル市場での市場シェアの拡大を狙うことで、「新市場開拓戦略」を行う。
  • オ:コア・ユーザーである中高年層向けに新しく低糖質シリアルを開発することで、「新製品開発戦略」を行う。
解説

この問題では、アンゾフの成長マトリクスにおける「製品」と「市場」の組み合わせを判断することが問われています。

アンゾフの成長マトリクスダウンロード

アンゾフの成長マトリクスでは、既存製品・既存市場は市場浸透戦略、新製品・既存市場は新製品開発戦略、既存製品・新市場は新市場開拓戦略、新製品・新市場は多角化戦略に分類されます。

オは、A社が既存の一般消費者向けシリアル市場に対して、新しく低糖質シリアルを開発する内容です。対象市場は既存のコア・ユーザーである中高年層であり、製品は新しいため、新製品開発戦略に該当します。

したがって、オが適切です。

❌他選択肢が誤りの理由
ア A社のシリアルのみを販売する国内の一般消費者向けの自社ECサイトを立ち上げて、既存の一般消費者向けシリアル市場での市場シェアの拡大を狙うことで、「多角化戦略」を行う。
⇒既存製品を既存市場に対して販売し、市場シェア拡大を狙うため、市場浸透戦略に該当します。多角化戦略ではありません。
イ 新しく飲食事業者を顧客とするSNSマーケティング支援事業を開始し、A社にとっての次の収益の柱としようとすることで、「市場浸透戦略」を行う。
⇒SNSマーケティング支援事業は、A社にとって新製品・新事業であり、飲食事業者は新市場です。そのため、多角化戦略に該当します。市場浸透戦略ではありません。
ウ 一部の既存販売地域を対象に、地域名産品を用いた限定フレーバーの一般消費者向けシリアルを新しく開発することで、「多角化戦略」を行う。
⇒既存販売地域の一般消費者向けに、新しいシリアルを開発するため、新製品開発戦略に該当します。多角化戦略ではありません。
エ 既存顧客のリピート購入を促進するクーポンプレゼントのキャンペーンを実施し、既存の一般消費者向けシリアル市場での市場シェアの拡大を狙うことで、「新市場開拓戦略」を行う。
⇒既存製品を既存市場でより多く販売しようとする施策なので、市場浸透戦略に該当します。新市場開拓戦略ではありません。
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まず押さえたいこと

アンゾフの成長マトリクスは、「製品」と「市場」が既存か新規かで成長戦略を分類します。既存製品×既存市場は市場浸透、新製品×既存市場は新製品開発、既存製品×新市場は新市場開拓、新製品×新市場は多角化です。まずは何が新しいのかを確認することが重要です。

迷ったときの判断軸

選択肢では、「シリアルという製品が既存か新規か」「一般消費者向け国内市場が既存か新規か」を分けて見ましょう。既存顧客へのクーポンや自社ECによる販売強化は、既存製品を既存市場により深く売るため、市場浸透に近い施策です。一方、コア・ユーザー向けに新しい低糖質シリアルを開発する場合、市場は既存の一般消費者向けでも、製品が新しいため新製品開発と判断できます。

2次試験につなげるために

この論点は企業経営理論であり、2次試験の事例Ⅱに強くつながります。答案では、「既存顧客に既存商品を深掘りするのか」「既存顧客に新商品を提案するのか」「新市場へ広げるのか」を明確にすると、施策の方向性がぶれにくくなります。与件企業の強み・顧客層・既存商品とのつながりを確認し、成長戦略を言葉で整理できるようにしましょう。