株価キャッシュフロー倍率|中小企業診断士 令和7年第1次試験 財務・会計 問23

出典:令和7年度 第1次試験問題 財務・会計 第22問 分野:財務・会計 / 利益と資金の管理
当期のB社とC社のEBITDA、有利子負債、現金・預金、当期純利益、減価償却費はそれぞれ等しいとする。B社の企業価値EBITDA倍率(=企業価値÷EBITDA)がC社のそれよりも高いとき、両社の株価キャッシュフロー倍率に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、B社とC社は日本の会計基準を採用しており、簡便的に、EBITDAと株価キャッシュフロー倍率のキャッシュフローはそれぞれ利益額に減価償却費を加算して計算されている。
  • ア:B社の株価キャッシュフロー倍率はC社のそれと等しい。
  • イ:B社の株価キャッシュフロー倍率はC社のそれよりも高い。
  • ウ:B社の株価キャッシュフロー倍率はC社のそれよりも低い。
  • エ:どちらの株価キャッシュフロー倍率が高いかは判断できない。
解説

この問題では、企業価値EBITDA倍率と株価キャッシュフロー倍率の関係を、企業価値と株主価値の違いから判断することが問われています。

企業価値は、簡便的には「株式時価総額 + 有利子負債 - 現金・預金」で考えます。B社とC社はEBITDA、有利子負債、現金・預金がそれぞれ等しいため、B社の企業価値EBITDA倍率が高いということは、B社の企業価値がC社より大きいことを意味します。

有利子負債と現金・預金が等しいので、企業価値の差は株式時価総額の差として表れます。また、株価キャッシュフロー倍率の分母となるキャッシュフローは、当期純利益 + 減価償却費であり、これも両社で等しいです。したがって、株式時価総額が大きいB社の株価キャッシュフロー倍率は、C社より高くなります。

したがって、イが適切です。

❌他選択肢が誤りの理由
ア B社の株価キャッシュフロー倍率はC社のそれと等しい。
⇒企業価値EBITDA倍率がB社の方が高く、かつ有利子負債と現金・預金が等しいため、B社の株式時価総額はC社より大きくなります。分母のキャッシュフローが等しいため、倍率は等しくなりません。
ウ B社の株価キャッシュフロー倍率はC社のそれよりも低い。
⇒B社の株式時価総額はC社より大きく、分母のキャッシュフローは等しいため、B社の株価キャッシュフロー倍率は低くなるのではなく高くなります。
エ どちらの株価キャッシュフロー倍率が高いかは判断できない。
⇒本問では、EBITDA、有利子負債、現金・預金、当期純利益、減価償却費が等しいとされています。そのため、企業価値EBITDA倍率の差から株式時価総額の差を判断でき、株価キャッシュフロー倍率も比較できます。
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まず押さえたいこと

株価キャッシュフロー倍率は、株式時価総額をキャッシュフローで割って、株価がキャッシュフローに対してどの程度評価されているかを見る指標です。一方、企業価値EBITDA倍率は、株式価値だけでなく有利子負債や現金・預金も反映した企業価値をEBITDAで割る指標です。

迷ったときの判断軸

この問題では、B社とC社でEBITDA、有利子負債、現金・預金、当期純利益、減価償却費が等しい点に注目します。企業価値EBITDA倍率が高いということは、分母のEBITDAが同じなので、企業価値が大きいということです。さらに有利子負債と現金・預金も同じなら、企業価値の差は株式時価総額の差として表れます。株価キャッシュフロー倍率の分母であるキャッシュフローも同じなので、株式時価総額が大きい会社の倍率が高くなります。

2次試験につなげるために

この論点は財務・会計の企業価値評価であり、2次試験の事例Ⅳにもつながります。倍率指標を見るときは、公式を丸暗記するだけでなく、「分子は何の価値か」「分母はどの利益・キャッシュフローか」「両社で何が同じ条件なのか」を整理すると、企業価値評価や株価評価の比較を論理的に説明しやすくなります。