フリー・キャッシュフロー(FCF)|中小企業診断士 令和7年第1次試験 財務・会計 問22

出典:令和7年度 第1次試験問題 財務・会計 第21問 分野:財務・会計 / 利益と資金の管理
当期純利益からフリー・キャッシュフローを計算する場合の記述として、最も適切なものはどれか。なお、税金は存在しないものとする。
  • ア:売上債権の増加額は、当期純利益に加算される。
  • イ:減価償却費は、当期純利益から減算される。
  • ウ:仕入債務の増加額は、当期純利益に加算される。
  • エ:設備投資額は、当期純利益に加算される。
解説

この問題では、当期純利益からフリー・キャッシュフローを計算するときに、利益と現金収支のズレをどのように調整するかが問われています。

フリー・キャッシュフローダウンロード

フリー・キャッシュフローは、企業が事業活動から生み出し、自由に使える現金の流れを表します。当期純利益を出発点にする場合、現金支出を伴わない費用である減価償却費は加算し、運転資本の増減や設備投資を調整します。

仕入債務が増加した場合、仕入れに関する支払いをまだ行っていない部分が増えたことを意味します。これは現金流出を抑える方向に働くため、当期純利益に加算します。

したがって、ウが適切です。

❌他選択肢が誤りの理由
ア 売上債権の増加額は、当期純利益に加算される。
⇒売上債権の増加は、売上は計上されているものの、まだ現金を回収していない部分が増えたことを意味します。そのため、当期純利益から減算します。
イ 減価償却費は、当期純利益から減算される。
⇒減価償却費は、費用として利益を減らしていますが、現金支出を伴いません。そのため、当期純利益に加算します。
エ 設備投資額は、当期純利益に加算される。
⇒設備投資は、現金の支出を伴う投資活動です。フリー・キャッシュフローを計算する際には、当期純利益から減算します。
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まず押さえたいこと

フリー・キャッシュフローは、企業が事業活動から生み出し、投資に必要な支出を行った後に自由に使えるキャッシュです。当期純利益から考える場合は、会計上の利益と実際の現金の動きの違いを調整します。減価償却費のような非資金費用は加算し、売上債権や棚卸資産の増加、設備投資のような資金の拘束・流出は減算します。

迷ったときの判断軸

運転資本の増減は、「現金が増える方向か、減る方向か」で判断しましょう。売上債権が増えると、売上は立っていてもまだ現金を回収できていないため、当期純利益から減算します。一方、仕入債務が増えると、仕入れた分の支払いを先延ばしにしているため、手元資金は残り、当期純利益に加算します。設備投資は将来のための支出なので、フリー・キャッシュフローでは減算する点にも注意が必要です。

2次試験につなげるために

この論点は財務・会計のキャッシュフロー分析であり、2次試験の事例Ⅳに強くつながります。事例Ⅳでは、利益が出ていても売上債権や棚卸資産が増えると資金繰りが苦しくなる、という説明が重要になります。利益とキャッシュの違いを意識し、「どの項目が現金を増やすか、減らすか」を整理できるようにしておきましょう。