ポートフォリオ理論|中小企業診断士 令和7年第1次試験 財務・会計 問20

出典:令和7年度 第1次試験問題 財務・会計 第20問(設問1) 分野:財務・会計 / 証券投資
以下の図は、縦軸に投資の期待収益率、横軸に当該投資収益率のリスクをとった平面上に、ポートフォリオ理論の下での、危険資産と安全資産の投資機会集合を示したものである。 これに関して、下記の設問に答えよ。なお、点Cは、点Eと点Gを結ぶ直線と、点Aと点Dを結ぶ曲線の接点である。 ポートフォリオ理論 安全資産が存在しない場合の記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア:資金の借り入れができるならば、効率的フロンティアは点B、点Cと点Gを結ぶ線となる。
  • イ:投資家のリスク回避度が高いほど、最適なポートフォリオは点Eと点Gを結ぶ直線上の点E寄りに位置する。
  • ウ:投資家のリスク回避度にかかわらず、最適なポートフォリオは点Cになる。
  • エ:リスク回避的な投資家は、自身のリスク回避度に基づいて、点Bと点Dを結ぶ曲線上から最適なポートフォリオを決定する。
解説

この問題では、安全資産が存在しない場合に、投資家がどの投資機会集合から最適なポートフォリオを選ぶかが問われています。

安全資産が存在しない場合の最適なポートフォリオダウンロード

安全資産が存在しない場合、投資家は危険資産だけで構成される投資機会集合からポートフォリオを選択します。図では、点Aから点Dにかけての曲線が危険資産による投資機会集合を表し、そのうちリスクが同じなら期待収益率が高い方を選ぶため、効率的フロンティアは点Bから点Dを結ぶ上側の曲線になります。

リスク回避的な投資家は、自身のリスク回避度に応じて、点Bと点Dを結ぶ効率的フロンティア上から最適なポートフォリオを選びます。

したがって、エが適切です。

❌他選択肢が誤りの理由
ア 資金の借り入れができるならば、効率的フロンティアは点B、点Cと点Gを結ぶ線となる。
⇒点Eと点Gを結ぶ直線は、安全資産が存在する場合に考える資本市場線です。設問は安全資産が存在しない場合を問うているため、この説明は不適切です。
イ 投資家のリスク回避度が高いほど、最適なポートフォリオは点Eと点Gを結ぶ直線上の点E寄りに位置する。
⇒点Eと点Gを結ぶ直線上の選択は、安全資産と危険資産を組み合わせる場合の考え方です。安全資産が存在しない場合には、この直線上ではなく危険資産の効率的フロンティア上から選びます。
ウ 投資家のリスク回避度にかかわらず、最適なポートフォリオは点Cになる。
⇒点Cは、安全資産が存在する場合に資本市場線と危険資産の効率的フロンティアが接する接点ポートフォリオです。安全資産が存在しない場合、最適なポートフォリオは投資家のリスク回避度によって異なります。
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まず押さえたいこと

ポートフォリオ理論では、複数の危険資産を組み合わせることでリスクと期待収益率の組み合わせが作られます。安全資産が存在しない場合、投資家は危険資産だけで作られる効率的フロンティアの中から、自分のリスク回避度に合うポートフォリオを選びます。

迷ったときの判断軸

この問題では、「安全資産が存在しない場合」という条件を見落とさないことが重要です。安全資産がある場合は、安全資産と接点ポートフォリオを結ぶ直線が有効になりますが、安全資産がない場合はその直線では判断しません。リスク回避的な投資家は、危険資産だけの投資機会集合のうち、同じリスクでより高い期待収益率を得られる上側の曲線から最適な点を選びます。

2次試験につなげるために

この論点は財務・会計の証券投資論であり、2次試験の事例Ⅳにも間接的につながります。事例Ⅳでは細かなポートフォリオ理論よりも、リスクとリターンの関係を説明できることが大切です。「高い収益を狙うほどリスクも大きくなる」「分散投資によってリスクを抑えられる」という考え方を、投資判断や資金運用の説明に使えるようにしておきましょう。