投資評価基準|中小企業診断士 令和7年第1次試験 財務・会計 問19

出典:令和7年度 第1次試験問題 財務・会計 第19問 分野:財務・会計 / 実物投資
投資評価基準に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア:会計的投資利益率法では、償却方法を考慮して、会計利益に利払前・税引前・減価償却前の利益を用いて会計的投資利益率を計算する。
  • イ:相互排他的な投資案の比較を行う場合、収益性指数法による結果は、正味現在価値法による結果と整合的である。
  • ウ:内部収益率法は、内部収益率が複数存在する場合があることを指摘されている。
  • エ: 割引回収期間法は、各期のキャッシュフローが均一でない場合には適用できない。
解説

この問題では、代表的な投資評価基準の特徴と限界を理解しているかが問われています。

内部収益率法は、投資案から得られる将来キャッシュフローの現在価値と初期投資額を等しくする割引率、つまりNPVをゼロにする割引率を求める方法です。

内部収益率法ダウンロード

ただし、投資後に追加支出が発生するような非通常型のキャッシュフローでは、NPVをゼロにする内部収益率が複数存在する場合があります。この点は、内部収益率法の限界としてよく問われます。

したがって、ウが適切です。

❌他選択肢が誤りの理由
ア 会計的投資利益率法では、償却方法を考慮して、会計利益に利払前・税引前・減価償却前の利益を用いて会計的投資利益率を計算する。
⇒会計的投資利益率法では、会計上の利益を用います。減価償却前の利益であるEBITDAを用いるわけではないため、償却方法を考慮するという説明とも整合しません。
イ 相互排他的な投資案の比較を行う場合、収益性指数法による結果は、正味現在価値法による結果と整合的である。
⇒収益性指数法は、投資額1単位当たりの効率を重視する方法です。相互排他的な投資案では、投資規模の違いによって、正味現在価値法と異なる判断になることがあります。
エ 割引回収期間法は、各期のキャッシュフローが均一でない場合には適用できない。
⇒割引回収期間法は、各期のキャッシュフローを割り引いたうえで、初期投資額を何年で回収できるかをみる方法です。各期のキャッシュフローが均一でなくても適用できます。
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まず押さえたいこと

投資評価基準には、会計利益を使う方法、キャッシュフローを割り引く方法、回収期間を見る方法などがあります。特に正味現在価値法、収益性指数法、内部収益率法は似ていますが、判断の癖が異なります。内部収益率法では、キャッシュフローの符号が途中で何度も変わるような場合、内部収益率が複数存在することがある点を押さえましょう。

迷ったときの判断軸

会計的投資利益率法は会計上の利益を使う方法であり、キャッシュフロー重視の指標とは区別します。収益性指数法は投資額1円当たりの効率を見るため、投資規模が違う相互排他的な投資案では、正味現在価値法と結論がずれることがあります。また、割引回収期間法は、各期のキャッシュフローが均一でなくても、累積額がいつ回収されるかを追えば適用できます。

2次試験につなげるために

この論点は財務・会計の投資意思決定であり、2次試験の事例Ⅳに強くつながります。事例Ⅳでは、単に指標名を覚えるだけでなく、「企業価値の増加を見るなら正味現在価値法」「投資効率を見るなら収益性指数法」「利回りとして見るなら内部収益率法」というように、評価基準ごとの意味を説明できると、答案の説得力が高まります。