資本コスト|中小企業診断士 令和7年第1次試験 財務・会計 問15

出典:令和7年度 第1次試験問題 財務・会計 第15問 分野:財務・会計 / 証券投資
資本コストのリスクプレミアムに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア:不確実な投資プロジェクトの評価に確実性等価法を適用する場合、キャッシュフローの不確実性を、割引率として用いる資本コストのリスクプレミアムで調整する。
  • イ:負債が増大するにつれて、債務不履行リスクが大きくなる場合、負債の資本コストのリスクプレミアムには、債務不履行リスクが反映される。
  • ウ:負債による資金調達を行っている企業の株主資本コストは、リスクフリー・レートと財務リスクプレミアムで構成されている。
  • エ:ポートフォリオ理論によれば、株主資本コストのリスクプレミアムには、市場リスクが反映されていない。
解説

この問題では、資本コストに含まれるリスクプレミアムが、どのようなリスクを反映するものかが問われています。

リスクプレミアムダウンロード

リスクプレミアムとは、リスクのない資産に投資する場合よりも高い収益率を投資家が求める部分をいいます。負債による資金調達では、企業の負債が増えるほど返済不能となる可能性が高まるため、債権者はその債務不履行リスクを反映した高い利子率を求めます。

したがって、負債の資本コストのリスクプレミアムには、債務不履行リスクが反映されると考えます。

したがって、イが適切です。

❌他選択肢が誤りの理由
ア 不確実な投資プロジェクトの評価に確実性等価法を適用する場合、キャッシュフローの不確実性を、割引率として用いる資本コストのリスクプレミアムで調整する。
⇒確実性等価法では、不確実なキャッシュフローを確実性等価額に調整し、リスクフリー・レートで割り引きます。リスクプレミアムを上乗せした割引率で調整する方法とは異なります。
ウ 負債による資金調達を行っている企業の株主資本コストは、リスクフリー・レートと財務リスクプレミアムで構成されている。
⇒株主資本コストには、リスクフリー・レートに加えて、事業リスクや市場リスクなどに対応するリスクプレミアムが反映されます。財務リスクプレミアムだけで構成されるわけではありません。
エ ポートフォリオ理論によれば、株主資本コストのリスクプレミアムには、市場リスクが反映されていない。
⇒ポートフォリオ理論やCAPMでは、分散投資で消せない市場リスクが株主資本コストのリスクプレミアムに反映されます。「市場リスクが反映されていない」という点が誤りです。
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まず押さえたいこと

資本コストのリスクプレミアムは、投資家や債権者がリスクを負う見返りとして要求する上乗せ部分です。株主資本コストでは市場リスクなどが反映され、負債コストでは債務不履行リスクが反映されます。まずは、誰がどのリスクを負っているのかを考えると整理しやすくなります。

迷ったときの判断軸

確実性等価法では、リスクは割引率ではなくキャッシュフロー側を確実性等価額に直して調整します。一方、リスク調整割引率法では、割引率にリスクプレミアムを上乗せします。また、負債が増えて債務不履行リスクが高まれば、債権者が要求するリスクプレミアムも高くなります。株主資本コストは、リスクフリー・レートだけでなく、事業リスクや財務リスク、市場リスクを反映する点を押さえましょう。

2次試験につなげるために

この論点は財務・会計の資本コストに関する知識であり、2次試験の事例Ⅳに強くつながります。投資案評価では、将来キャッシュフローの不確実性を「キャッシュフロー側で調整するのか」「割引率側で調整するのか」を区別できることが重要です。WACCやNPVの問題でも、資金提供者が要求するリターンはリスクに応じて変わる、という考え方を軸にすると理解しやすくなります。