連結財務諸表|中小企業診断士 令和7年第1次試験 財務・会計 問10
出典:令和7年度 第1次試験問題 財務・会計 第10問
分野:財務・会計 / 企業会計の基礎
連結財務諸表に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア:親会社の当期純利益が1,000百万円であり、子会社の当期純利益が500百万円であった。親会社が子会社の普通株式の70%を保有しているので、当期の連結損益計算書の当期純利益は1,350百万円である。
- イ:親会社は子会社に対して売掛金を500百万円保有しており、子会社が親会社に対して売掛金を100百万円保有している。他社に対する売掛金がないので、連結貸借対照表における売掛金は両者を相殺して400百万円である。
- ウ:当期(4月1日~3月31日)の10月1日に他社を買収し、10月1日時点で生じたのれんが200百万円である。のれんを10年で償却する場合、当期の連結損益計算書におけるのれん償却は20百万円である。
- エ:当期(4月1日~3月31日)の12月1日に普通株式の70%を取得して他社を買収し、12月1日時点の非支配株主持分が500百万円であった。買収後の子会社の当期純利益が100百万円なので、当期末の連結貸借対照表における非支配株主持分は530百万円になる。
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まず押さえたいこと
連結財務諸表では、親会社と子会社を1つの企業集団として見るため、単純に各社の数値を足すだけでは判断できません。特に、子会社利益のうち親会社に帰属しない部分は非支配株主持分として区分し、グループ内の債権債務は相殺消去します。
迷ったときの判断軸
連結の問題では、「全部足すのか」「持分割合だけを見るのか」「内部取引だから消すのか」を分けて考えましょう。子会社の損益は原則として全額取り込み、そのうえで非支配株主に帰属する部分を控除します。親会社と子会社の売掛金・買掛金のようなグループ内債権債務は、差額ではなく対応する金額を相殺します。また、のれん償却は取得日から期末までの期間に応じて月割りする点にも注意が必要です。
2次試験につなげるために
この論点は財務・会計の会計知識であり、2次試験の事例Ⅳに間接的につながります。ただし、連結会計の細かな処理そのものが事例Ⅳで深く問われる頻度は高くありません。1次試験対策としては、「企業集団として見る」「内部取引は消す」「非支配株主持分を分ける」という基本構造を優先して整理しましょう。
この問題では、連結財務諸表における子会社利益の取込み、内部取引の相殺、のれん償却、非支配株主持分の計算が問われています。
エでは、親会社が子会社株式の70%を取得しているため、非支配株主持分は残りの30%部分です。買収時点の非支配株主持分が500百万円で、買収後の子会社の当期純利益100百万円のうち30%である30百万円が非支配株主持分に加算されます。
したがって、当期末の非支配株主持分は、500百万円 + 30百万円 = 530百万円です。
したがって、エが適切です。
❌他選択肢が誤りの理由ア 親会社の当期純利益が1,000百万円であり、子会社の当期純利益が500百万円であった。親会社が子会社の普通株式の70%を保有しているので、当期の連結損益計算書の当期純利益は1,350百万円である。
⇒連結損益計算書の当期純利益は、親会社と子会社の損益を合算して表示します。1,350百万円は、子会社利益の70%だけを取り込んだ計算であり、連結上の当期純利益としては不適切です。
イ 親会社は子会社に対して売掛金を500百万円保有しており、子会社が親会社に対して売掛金を100百万円保有している。他社に対する売掛金がないので、連結貸借対照表における売掛金は両者を相殺して400百万円である。
⇒親会社と子会社間の売掛金は、連結上は内部債権として全額消去します。他社に対する売掛金がないため、連結貸借対照表の売掛金は400百万円ではなく0です。
ウ 当期(4月1日~3月31日)の10月1日に他社を買収し、10月1日時点で生じたのれんが200百万円である。のれんを10年で償却する場合、当期の連結損益計算書におけるのれん償却は20百万円である。
⇒のれんの年間償却額は200百万円 ÷ 10年 = 20百万円ですが、当期は10月1日から3月31日までの6か月分だけを償却します。そのため、当期ののれん償却額は10百万円です。