繰延資産|中小企業診断士 令和7年第1次試験 財務・会計 問6

出典:令和7年度 第1次試験問題 財務・会計 第6問 分野:財務・会計 / 企業会計の基礎
繰延資産に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア:会社設立時にかかった株式発行費用と新株発行時にかかった株式発行費用を繰延資産とする場合には、株式交付費に含める。
  • イ:会社の設立のためにかかった費用や開業準備にかかった費用は、繰延資産に属する創立費として資産計上することができる。
  • ウ:研究開発費は発生時に費用化することが求められているため、開発費は繰延資産とすることができない。
  • エ:支出の効果が期待されなくなった繰延資産は、未償却残高を一時に償却する。
解説

この問題では、繰延資産に含まれる項目の区分と、繰延資産の処理方法が問われています。

繰延資産ダウンロード

繰延資産は、すでに支出した費用のうち、その効果が将来に及ぶと考えられるものを、一定期間にわたって費用配分するために資産計上するものです。ただし、将来の効果が期待されなくなった場合には、もはや資産として繰り延べる根拠がないため、未償却残高を一時に償却します。

したがって、エが適切です。

❌他選択肢が誤りの理由
ア 会社設立時にかかった株式発行費用と新株発行時にかかった株式発行費用を繰延資産とする場合には、株式交付費に含める。
⇒会社設立時にかかった費用は、通常、創立費として扱います。株式交付費は、主に新株発行など株式の交付に直接関連する費用です。設立時の費用まで一律に株式交付費とする点が不適切です。
イ 会社の設立のためにかかった費用や開業準備にかかった費用は、繰延資産に属する創立費として資産計上することができる。
⇒会社の設立のためにかかった費用は創立費ですが、開業準備にかかった費用は開業費です。どちらも創立費とする点が誤りです。
ウ 研究開発費は発生時に費用化することが求められているため、開発費は繰延資産とすることができない。
⇒研究開発費は発生時に費用処理しますが、繰延資産としての開発費は、研究開発費とは区別されます。そのため、開発費を繰延資産とすることができないとはいえません。
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まず押さえたいこと

繰延資産は、本来は支出時に費用となる性格を持つものの、その効果が将来にも及ぶため、例外的に資産計上できるものです。代表例として、創立費、開業費、株式交付費、社債発行費、開発費などがあります。ただし、似た言葉でも創立費と開業費は区別して押さえる必要があります。

迷ったときの判断軸

ひっかけになりやすいのは、「設立のための費用」と「開業準備のための費用」をまとめて創立費としてしまう表現です。会社設立そのものに関する支出は創立費、設立後から営業開始までの準備費用は開業費と整理しましょう。また、研究開発費は原則として発生時に費用処理しますが、会計上の繰延資産としての開発費という論点とは切り分けて考えることが大切です。

2次試験につなげるために

この論点は財務・会計の会計処理であり、2次試験の事例Ⅳにも間接的につながります。繰延資産は、支出を一度に費用化するか、将来にわたって償却するかによって期間損益に影響します。事例企業の財務状況を読むときも、「資産計上されている支出が将来の収益獲得に本当に結びついているか」という視点を持つと、数値の背景を考えやすくなります。