棚卸資産|中小企業診断士 令和7年第1次試験 財務・会計 問4

出典:令和7年度 第1次試験問題 財務・会計 第4問 分野:財務・会計 / 企業会計の基礎
「中小企業の会計に関する指針」における棚卸資産に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア:借り入れた資金で商品を購入した場合、借入日から商品購入日までの利息をその商品の取得原価に算入することができる。
  • イ:棚卸資産に係る簿価切下額のうち、臨時の事象に起因し、かつ、多額であるものは、損益計算書上、特別損失として表示する。
  • ウ:棚卸資産の評価基準としては、個別法、後入先出法、総平均法、移動平均法などが挙げられる。
  • エ:棚卸資産は原則として期末における時価をもって、貸借対照評価額とすることが求められている。
解説

この問題では、「中小企業の会計に関する指針」における棚卸資産の評価と表示について問われています。

棚卸資産の評価ダウンロード

棚卸資産は、原則として取得原価をもって計上します。ただし、期末における時価が取得原価より著しく下落している場合などには、簿価を切り下げる処理が必要になります。

棚卸資産に係る簿価切下額は、通常は売上原価などに含めて処理しますが、臨時の事象に起因し、かつ、多額である場合には、損益計算書上、特別損失として表示します。

したがって、イが適切です。

❌他選択肢が誤りの理由
ア 借り入れた資金で商品を購入した場合、借入日から商品購入日までの利息をその商品の取得原価に算入することができる。
⇒借入金の利息は、通常、支払利息として処理します。商品購入のための借入であっても、借入日から商品購入日までの利息を棚卸資産の取得原価に算入するとはいえません。
ウ 棚卸資産の評価基準としては、個別法、後入先出法、総平均法、移動平均法などが挙げられる。
⇒個別法、総平均法、移動平均法などは棚卸資産の評価方法として用いられますが、後入先出法は現在の会計処理では認められていません。
エ 棚卸資産は原則として期末における時価をもって、貸借対照評価額とすることが求められている。
⇒棚卸資産は原則として取得原価を基礎として評価します。期末時価をそのまま貸借対照表価額とするのではなく、収益性の低下などがある場合に簿価切下げを行います。
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まず押さえたいこと

棚卸資産は、原則として取得原価を基礎に評価し、期末の正味売却価額が取得原価を下回る場合には簿価を切り下げます。つまり、「いつでも時価で評価する」のではなく、まず取得原価で記録し、価値が下がった場合に評価損を認識するという流れで押さえましょう。

迷ったときの判断軸

ひっかけになりやすいのは、評価方法と表示区分です。後入先出法は現在の会計基準では認められていないため、評価方法の選択肢に出てきたら注意が必要です。また、棚卸資産の簿価切下額は通常は売上原価等に含めますが、臨時の事象に起因し、かつ、多額である場合には特別損失として表示します。借入利息を何でも取得原価に入れるわけではない点も確認しておきましょう。

2次試験につなげるために

この論点は財務・会計の会計処理であり、2次試験の事例Ⅳにも間接的につながります。在庫評価は、売上原価や利益、貸借対照表の資産額に影響します。事例企業の収益性や在庫管理を読むときにも、「在庫をどう評価するかで利益が変わる」という視点を持っておくと、財務分析の理解が深まりやすくなります。