関税政策|中小企業診断士 令和7年第1次試験 経済学・経済政策 問23

出典:令和7年度 第1次試験問題 経済学・経済政策 第18問(設問2) 分野:経済学・経済政策 / 経済指標の見方や読み方
ある国際的に規格化された財に対する関税の効果を考える。
国際市場でPfの価格が成立している当該財の国内需要曲線はD、国内供給曲線はSである。
したがって、貿易を行わない閉鎖経済の下では、Pcの市場価格が成立する。
当初、この国では当該財について自由貿易体制がとられていたが、輸入財1単位当たり一定の関税が賦課されたことで、国内価格はPdに上昇することになった。
この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

自由貿易から関税政策に移行したことの効果に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a 輸入量の減少分は、線分Q1Q2と線分Q3Q4の合計である。
b 消費者余剰は、自由貿易体制の場合に比べて四角形PdPfIEだけ小さくなる。
c 関税による政府の収入は、四角形PdPfHEである。
d 関税の導入に伴う厚生上の損失は、四角形CFIEである。
  • ア:a:正  b:正  c:誤  d:正
  • イ:a:正  b:正  c:誤  d:誤
  • ウ:a:正  b:誤  c:正  d:誤
  • エ:a:誤  b:正  c:正  d:誤
  • オ:a:誤  b:誤  c:誤  d:正
解説
🧠解説(読点+ですます調)

この問題では、自由貿易から関税政策に移行したときの、輸入量、消費者余剰、政府収入、厚生上の損失を図から読み取る力が問われています。

aについて、自由貿易下では価格がPfなので、国内供給量はQ1、国内需要量はQ4となり、輸入量はQ1Q4です。関税後は価格がPdに上昇し、国内供給量はQ2、国内需要量はQ3となるため、輸入量はQ2Q3です。したがって、輸入量の減少分は、線分Q1Q2と線分Q3Q4の合計です。aは正しい記述です。

bについて、関税によって国内価格はPfからPdに上昇します。これにより、消費者余剰は需要曲線Dの下側で、価格PfとPdの間にある面積だけ減少します。図では四角形PdPfIEです。したがって、bは正しい記述です。

cについて、関税による政府収入は、関税額であるPd-Pfに、関税後の輸入量Q2Q3を掛けたものです。図では四角形CGHEに当たります。四角形PdPfHEは、輸入されていない部分まで含んでいるため誤りです。

dについて、関税導入に伴う厚生上の損失は、生産の非効率による三角形CFGと、消費の減少による三角形HEIの合計です。四角形CFIE全体ではなく、その中には政府収入に当たる部分も含まれます。したがって、dは誤りです。

したがって、が適切です。

--- ❌他選択肢が誤りの理由
ア a:正  b:正  c:誤  d:正
⇒dの判断が誤りです。厚生上の損失は四角形CFIEではなく、三角形CFGと三角形HEIの合計です。
ウ a:正  b:誤  c:正  d:誤
⇒bとcの判断が誤りです。消費者余剰の減少分は四角形PdPfIEであり、政府収入は四角形CGHEです。
エ a:誤  b:正  c:正  d:誤
⇒aとcの判断が誤りです。輸入量の減少分は線分Q1Q2と線分Q3Q4の合計であり、政府収入は四角形CGHEです。
オ a:誤  b:誤  c:誤  d:正
⇒a、b、dの判断が誤りです。aとbは正しく、厚生上の損失は四角形CFIEではありません。
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まず押さえたいこと

関税が導入されると、国内価格は国際価格Pfから関税込み価格Pdへ上がります。その結果、国内供給量はQ1からQ2へ増え、国内需要量はQ4からQ3へ減ります。したがって、輸入量は自由貿易時のQ1Q4から、関税後のQ2Q3へ縮小します。

迷ったときの判断軸

輸入量の減少分は、国内供給が増えた分Q1Q2と、国内需要が減った分Q3Q4の合計で考えます。消費者余剰は価格上昇によって大きく減りますが、その減少分はPdとPfの間で需要曲線までの範囲です。政府収入は「関税額×輸入量」なので、価格差PdPfに関税後の輸入量Q2Q3を掛けた四角形で読み取ります。

2次試験につなげるために

この論点は経済学・経済政策の図表読解であり、2次試験に無理につなげるより、1次試験対策として整理することが重要です。関税問題では、消費者余剰の減少生産者余剰の増加政府収入厚生上の損失を面積で分けて読むと、ひっかけを避けやすくなります。