自由貿易|中小企業診断士 令和7年第1次試験 経済学・経済政策 問22

出典:令和7年度 第1次試験問題 経済学・経済政策 第18問(設問1) 分野:経済学・経済政策 / 経済指標の見方や読み方
ある国際的に規格化された財に対する関税の効果を考える。
国際市場でPfの価格が成立している当該財の国内需要曲線はD、国内供給曲線はSである。
したがって、貿易を行わない閉鎖経済の下では、Pcの市場価格が成立する。
当初、この国では当該財について自由貿易体制がとられていたが、輸入財1単位当たり一定の関税が賦課されたことで、国内価格はPdに上昇することになった。
この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

当初の自由貿易下における状況に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。


a この財を生産する国内企業の供給量はQ4である。
b 消費者余剰は、閉鎖経済の場合に比べて四角形PcPfIBだけ大きい。
c 生産者余剰は、閉鎖経済の場合に比べて四角形PdPfFCだけ小さい。
d 社会的余剰は、閉鎖経済の場合に比べて三角形BFIだけ大きい。
  • ア:a:正  b:正  c:正  d:誤
  • イ:a:正  b:誤  c:誤  d:正
  • ウ:a:誤  b:正  c:正  d:正
  • エ:a:誤  b:正  c:正  d:誤
  • オ:a:誤  b:正  c:誤  d:正
解説
🧠解説(読点+ですます調)

この問題では、自由貿易下において、国内価格が国際価格Pfまで低下したときの国内供給量、消費者余剰、生産者余剰、社会的余剰の変化を読み取る力が問われています。

aについて、自由貿易下では国内価格がPfとなります。この価格で国内供給曲線Sと交わる点はFなので、国内企業の供給量はQ1です。Q4は国内需要量に当たります。したがって、aは誤りです。

bについて、閉鎖経済では価格Pc、自由貿易下では価格Pfです。価格がPcからPfに低下することで、消費者余剰は需要曲線Dの下側で価格線の上側の面積分だけ増加します。図では、四角形PcPfIBに当たります。したがって、bは正しい記述です。

cについて、自由貿易下で生産者余剰が減少するのは、価格がPcからPfに下がるためです。減少分は四角形PcPfFBであり、四角形PdPfFCではありません。Pdは関税賦課後の価格なので、当初の自由貿易下と閉鎖経済の比較には使いません。したがって、cは誤りです。

dについて、自由貿易によって消費者余剰は増加し、生産者余剰は減少しますが、消費者余剰の増加分の方が大きいため、社会的余剰は増加します。その純増分は、図では三角形BFIです。したがって、dは正しい記述です。

したがって、が適切です。

--- ❌他選択肢が誤りの理由
ア a:正  b:正  c:正  d:誤
⇒a、c、dの判断が誤りです。自由貿易下の国内供給量はQ1であり、生産者余剰の減少分は四角形PcPfFB、社会的余剰の増加分は三角形BFIです。
イ a:正  b:誤  c:誤  d:正
⇒aとbの判断が誤りです。自由貿易下の国内供給量はQ1であり、消費者余剰は閉鎖経済の場合に比べて四角形PcPfIBだけ大きくなります。
ウ a:誤  b:正  c:正  d:正
⇒cの判断が誤りです。自由貿易下と閉鎖経済を比較した生産者余剰の減少分は、四角形PcPfFBです。四角形PdPfFCは、関税賦課後の価格Pdを含むため、この比較には対応しません。
エ a:誤  b:正  c:正  d:誤
⇒cとdの判断が誤りです。生産者余剰の減少分は四角形PcPfFBであり、社会的余剰は閉鎖経済の場合に比べて三角形BFIだけ大きくなります。
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まず押さえたいこと

自由貿易では、国内価格が国際価格まで下がるため、消費者は安く多く買える一方、国内生産者は価格低下で供給量が減ります。図では、自由貿易下の価格はPfなので、国内供給量は供給曲線S上のQ1、国内需要量は需要曲線D上のQ4として読み取ります。

迷ったときの判断軸

余剰を比べるときは、「どの価格を基準にしているか」を必ず確認しましょう。閉鎖経済では価格Pc、自由貿易では価格Pfです。価格がPcからPfに下がることで、消費者余剰は大きく増え、生産者余剰は小さくなります。ただし、国全体では、安い国際価格で取引できる分、社会的余剰は増えます。この増加分が貿易利益です。

2次試験につなげるために

この論点は経済学・経済政策の図表読解であり、2次試験に無理につなげるより、1次試験対策として整理することが重要です。貿易の問題では、「価格が下がると消費者余剰は増える」「国内生産者余剰は減る」「それでも社会的余剰は増える」という流れで押さえると、関税や輸入制限の問題にもつなげて判断しやすくなります。