外部不経済|中小企業診断士 令和7年第1次試験 経済学・経済政策 問21

出典:令和7年度 第1次試験問題 経済学・経済政策 第17問 分野:経済学・経済政策 / 経済指標の見方や読み方
工場排水が自然環境と近隣住民の生活に悪影響を与えるような、生産活動に負の外部性が伴う場合の市場均衡を考える。
下図には、需要曲線D、私的限界費用曲線S0、社会的限界費用曲線S1が描かれている。市場均衡は点Hで与えられ、均衡価格はP、均衡取引量はQである。また、社会的な最適点は点Eである。
この図に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a 市場均衡の下での生産者余剰は、三角形PBHである。
b 市場均衡の下での外部費用は、四角形EFHGである。
c 市場均衡の下で生じる厚生上の損失は、三角形EHGである。
d 最適点が達成された場合の社会的余剰は、三角形ACEである。
  • ア:a:正  b:正  c:正  d:誤
  • イ:a:正  b:正  c:誤  d:誤
  • ウ:a:正  b:誤  c:正  d:正
  • エ:a:誤  b:正  c:誤  d:正
  • オ:a:誤  b:誤  c:正  d:誤
解説
🧠解説(読点+ですます調)

この問題では、負の外部性がある場合に、私的限界費用と社会的限界費用を区別して余剰を読み取る力が問われています。

aについて、市場均衡は点Hであり、価格はP、取引量はQです。生産者余剰は、価格線Pと私的限界費用曲線S0の間の面積で表されるため、三角形PBHです。したがって、aは正しい記述です。

bについて、市場均衡の下での外部費用は、取引量Qまでの社会的限界費用S1と私的限界費用S0の差の合計です。図では、四角形CBHGに相当します。四角形EFHGは、社会的最適量を超えて過剰に生産された部分に関する面積であり、市場均衡全体の外部費用ではありません。したがって、bは誤りです。

cについて、負の外部性がある場合、市場均衡Hでは社会的最適点Eよりも過剰に生産されます。この過剰生産によって、社会的限界費用が需要曲線を上回る部分が厚生上の損失となり、図では三角形EHGです。したがって、cは正しい記述です。

dについて、最適点Eが達成された場合の社会的余剰は、需要曲線Dの下側で、社会的限界費用曲線S1の上側の面積です。図では三角形ACEに相当します。したがって、dは正しい記述です。

したがって、が適切です。

--- ❌他選択肢が誤りの理由
ア a:正  b:正  c:正  d:誤
⇒bとdの判断が誤りです。市場均衡全体の外部費用は四角形CBHGであり、最適点Eが達成された場合の社会的余剰は三角形ACEです。
イ a:正  b:正  c:誤  d:誤
⇒b、c、dの判断が誤りです。市場均衡全体の外部費用は四角形CBHGであり、厚生上の損失は三角形EHG、最適点での社会的余剰は三角形ACEです。
エ a:誤  b:正  c:誤  d:正
⇒a、b、cの判断が誤りです。生産者余剰は三角形PBHであり、市場均衡全体の外部費用は四角形CBHG、厚生上の損失は三角形EHGです。
オ a:誤  b:誤  c:正  d:誤
⇒aとdの判断が誤りです。生産者余剰は三角形PBHであり、最適点が達成された場合の社会的余剰は三角形ACEです。
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まず押さえたいこと

負の外部性がある市場では、企業が負担する私的限界費用よりも、社会全体で見た社会的限界費用の方が大きくなります。そのため、市場均衡では取引量が社会的に望ましい水準より多くなり、過剰生産による厚生上の損失が発生します。

迷ったときの判断軸

余剰や費用を読むときは、どの曲線を基準にするかを分けることが重要です。市場均衡の生産者余剰は、価格Pと私的限界費用曲線S0の間なので三角形PBHです。外部費用は、社会的限界費用S1と私的限界費用S0の差を市場取引量Qまで足し合わせた部分であり、四角形CGHB全体に対応します。厚生上の損失は、社会的最適点Eを超えて過剰に生産された部分で生じるため、三角形EHGで判断します。

2次試験につなげるために

この論点は経済学・経済政策の市場失敗に関する知識であり、2次試験に無理につなげるより、1次試験対策として整理することが重要です。外部性の問題では、「私的費用で動く市場均衡」と「社会的費用で見た最適点」を比較し、ずれた部分に非効率が生じると考えると、図形問題でも判断しやすくなります。