労働施策総合推進法|科目A-1(応用情報技術者) 令和7年 秋期午前試験 問80

出典:令和7年秋期 午前 問80 分野:法務 / 労働関連・取引関連法規
労働施策総合推進法に関する記述として,適切なものはどれか。
  • ア:いわゆるパワーハラスメントに関し,労働者の相談に応ずることや適切に対応する体制を整備することなどを事業主に義務付けている。
  • イ:大学生や高校生が適職を選択して,適切な就職活動を行うために,教育機関が関与すべきインターンシップの理念・原則を定めている。
  • ウ:都道府県ごとに時給という形式で金額が決められている最低賃金を労働施策の基礎として位置付け,それを決定する手順を定めている。
  • エ:労働組合と使用者との団体交渉が労働条件改善の基本的な方策であると示し,労働組合活動を総合的に推進することを義務付けている。
応用情報技術者
解説

労働施策総合推進法は、労働者が働きやすい職場環境を整え、能力を発揮しやすくするための法律です。

この法律は、雇用対策全般について定めていますが、職場のパワーハラスメント防止に関する内容も含んでいるため、通称「パワハラ防止法」と呼ばれることがあります。

パワーハラスメントは、次の3つをすべて満たすものとされています。

要素 内容
優越的な関係を背景とした言動 上司と部下、経験や立場の差などを背景にした言動である
業務上必要かつ相当な範囲を超えている 指導や注意の範囲を超え、過度な叱責や不当な要求になっている
就業環境が害される 労働者が働きにくくなったり、精神的・身体的な苦痛を受けたりする

具体的な類型には、暴力などの身体的な攻撃、ひどい叱責や侮辱などの精神的な攻撃、仲間外れにする人間関係からの切り離し、達成困難な仕事を押し付ける過大な要求、能力や経験に見合わない仕事しか与えない過小な要求、私的なことに過度に立ち入る個の侵害などがあります。

この法律では、事業主に対して、パワーハラスメントを防止するための措置を講じることを義務付けています。

事業主に求められる措置 内容
方針の明確化と周知・啓発 パワハラを許さない方針を明確にし、従業員に知らせる
相談体制の整備 相談窓口を設け、相談や苦情に適切に対応できる体制を作る
発生後の迅速かつ適切な対応 パワハラが起きた場合に、事実確認や再発防止などを速やかに行う

つまり労働施策総合推進法は、「職場でのパワハラを防ぎ、問題が起きたときに適切に対応する体制を事業主に求める法律」と考えると分かりやすいです。

したがって、が適切です。

❌他選択肢が誤りの理由
イ:大学生や高校生が適職を選択して,適切な就職活動を行うために,教育機関が関与すべきインターンシップの理念・原則を定めている。
⇒インターンシップの基本的な考え方に関する説明であり、労働施策総合推進法が定めるパワーハラスメント防止措置ではありません。
ウ:都道府県ごとに時給という形式で金額が決められている最低賃金を労働施策の基礎として位置付け,それを決定する手順を定めている。
⇒最低賃金法に関する説明です。地域別最低賃金の決定や最低額の保障について定める法律であり、労働施策総合推進法とは異なります。
エ:労働組合と使用者との団体交渉が労働条件改善の基本的な方策であると示し,労働組合活動を総合的に推進することを義務付けている。
⇒労働組合法に関係する内容です。労働組合の結成や団体交渉などを保障するものであり、労働施策総合推進法の説明ではありません。
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まず押さえたいこと

労働施策総合推進法は、職場におけるパワーハラスメントを防止するため、事業主に必要な措置を求めています。具体的には、方針の明確化、相談窓口の設置、相談後の適切な対応など、パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置が必要です。

迷ったときの判断軸

最低賃金の金額や決定手続は最低賃金法、労働組合と団体交渉に関する事項は労働組合法の領域です。また、インターンシップの理念を教育機関に義務付ける法律でもありません。「事業主による相談体制の整備」「パワーハラスメントへの適切な対応」という表現に注目しましょう。

科目Bにつなげるために

特にプロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験合格を目指す方は、法令名だけでなく、組織が相談窓口・事実確認・被害者への配慮・再発防止をどのように制度化するかまで意識すると有効です。組織管理やコンプライアンスの事例問題につながります。