ディジタル証明書|情報処理安全確保支援士 平成28年 春期午前Ⅱ試験 問8
出典:平成28年春期 午前Ⅱ 問8
分野:セキュリティ / 情報セキュリティ
ディジタル証明書に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- ア:S/MIMEやTLSで利用するディジタル証明書の規格は,ITU-T X.400で標準化されている。
- イ:ディジタル証明書は,TLSプロトコルにおいて通信データの暗号化のための鍵交換や通信相手の認証に利用されている。
- ウ:認証局が発行するディジタル証明書は,申請者の秘密鍵に対して認証局がディジタル署名したものである。
- エ:ルート認証局は,下位の認証局の公開鍵にルート認証局の公開鍵でディジタル署名したディジタル証明書を発行する。
TSUNAGARU-ADVICE
まず押さえたいこと
デジタル証明書は、公開鍵が正しい相手のものであることを認証局が保証する仕組みです。TLSでは、サーバ証明書によって通信相手を確認したり、鍵交換の過程で安全な通信路を確立したりするために利用されます。ポイントは、鍵交換と通信相手の認証に使われることです。
迷ったときの判断軸
S/MIMEやTLSで使われる証明書の代表的な規格はX.509であり、X.400ではありません。認証局が署名する対象は申請者の秘密鍵ではなく、申請者の公開鍵や主体情報を含む証明書です。また、ルート認証局が下位認証局の証明書を発行する場合、署名に使うのはルート認証局の公開鍵ではなく秘密鍵です。デジタル証明書は、公開鍵と持ち主の対応を認証局が署名で保証するものと判断しましょう。
科目Bにつなげるために
科目Bでは、TLS・サーバ証明書・認証局・証明書チェーン・CRL・OCSP・秘密鍵漏えい時の対応などが問われることがあります。証明書を読むときは、誰の公開鍵を誰が証明しているのか、どの認証局の署名で信頼しているのかを確認し、公開鍵の真正性をどう担保しているかを追う視点を持ちましょう。
ディジタル証明書は、公開鍵とその所有者の情報を結び付け、認証局のディジタル署名によって正当性を保証するものです。
TLSでは、デジタル証明書を用いて通信相手が正当なサーバであることなどを認証します。TLS 1.2以前には、証明書に対応する公開鍵を鍵交換に直接利用する方式もありました。一方、TLS 1.3では主に一時的な鍵交換用の鍵を使用し、証明書はその鍵交換における通信相手の認証に利用されます。このように、証明書は安全な暗号化通信の確立を支える役割を担います。
したがって、イが適切です。
❌他選択肢が誤りの理由ア:S/MIMEやTLSで利用するディジタル証明書の規格は,ITU-T X.400で標準化されている。
⇒S/MIMEやTLSで広く利用されるディジタル証明書の規格は、ITU-T X.509です。X.400は、電子メールのメッセージ処理システムに関する規格です。
ウ:認証局が発行するディジタル証明書は,申請者の秘密鍵に対して認証局がディジタル署名したものである。
⇒ディジタル証明書には、申請者の公開鍵や所有者情報などが含まれ、認証局が自身の秘密鍵でディジタル署名します。申請者の秘密鍵は証明書に含めず、申請者自身が厳重に管理します。
エ:ルート認証局は,下位の認証局の公開鍵にルート認証局の公開鍵でディジタル署名したディジタル証明書を発行する。
⇒下位認証局の証明書には下位認証局の公開鍵が含まれますが、ディジタル署名に使用するのはルート認証局の公開鍵ではなく、ルート認証局の秘密鍵です。検証側がルート認証局の公開鍵を用いて署名を検証します。