サービス・マーケティング|中小企業診断士 令和7年第1次試験 企業経営理論 問41
出典:令和7年度 第1次試験問題 企業経営理論 第39問
分野:企業経営理論 / 各分野に展開したマーケティング
顧客と従業員に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア:顧客満足を起点とするサービス・プロフィット・チェーンは、高い顧客満足の実現が従業員のモチベーションとサービス品質を高め、結果として従業員満足と企業収益に影響するという流れである。
- イ:従業員に対するエンパワーメントが高いほど、顧客ニーズへの対応が早く、また、業務改善へのアイデアが出やすくなるが、サービスの失敗が起こったときのリカバリーは遅くなる。
- ウ:従業員満足が顧客満足に影響することは大いにあるが、顧客満足が従業員満足につながることはほとんどない。
- エ:従業員を内部顧客ととらえ、自社の理念を従業員と共有し、高い意識とモチベーションを醸成すべく実施されるインターナル・マーケティングの目的には、外部顧客の満足を高めることが含まれる。
TSUNAGARU-ADVICE
まず押さえたいこと
顧客満足と従業員満足は、別々に考えるのではなく、相互に関係するものとして捉えることが重要です。インターナル・マーケティングは、従業員を内部顧客ととらえ、理念共有、教育、動機づけ、働きやすい環境づくりを通じて、従業員の意識やサービス品質を高める考え方です。その目的には、最終的に外部顧客の満足を高めることも含まれます。
迷ったときの判断軸
サービス・プロフィット・チェーンは、従業員満足や従業員ロイヤルティがサービス品質を高め、顧客満足や顧客ロイヤルティを通じて収益につながる流れで考えます。顧客満足を起点に従業員満足へ進む説明は逆方向に寄りすぎです。また、エンパワーメントは現場判断を早め、サービス失敗時のリカバリーにも役立ちやすい点を押さえましょう。
2次試験につなげるために
この論点は企業経営理論であり、2次試験の事例Ⅰ・Ⅱに強くつながります。答案では、顧客満足を高める施策として、接客マニュアルや販促だけでなく、従業員教育、権限委譲、理念共有、評価制度、職場環境の改善などを組み合わせると、組織面とマーケティング面をつないだ提案にしやすくなります。
この問題では、サービス・プロフィット・チェーン、エンパワーメント、従業員満足と顧客満足、インターナル・マーケティングの関係を区別して判断することが問われています。
インターナル・マーケティングとは、従業員を内部顧客と捉え、企業理念やサービス方針を共有し、従業員の意識やモチベーションを高めるための活動です。
従業員が企業理念を理解し、高い意欲をもって顧客対応を行うことで、サービス品質が高まり、外部顧客の満足向上につながります。そのため、インターナル・マーケティングの目的には、外部顧客の満足を高めることも含まれます。
したがって、エが適切です。
❌他選択肢が誤りの理由ア 顧客満足を起点とするサービス・プロフィット・チェーンは、高い顧客満足の実現が従業員のモチベーションとサービス品質を高め、結果として従業員満足と企業収益に影響するという流れである。
⇒サービス・プロフィット・チェーンは、従業員満足や従業員ロイヤルティがサービス品質を高め、それが顧客満足・顧客ロイヤルティを高め、最終的に収益性につながるという流れです。顧客満足を起点として従業員満足に向かう説明は順序が不適切です。
イ 従業員に対するエンパワーメントが高いほど、顧客ニーズへの対応が早く、また、業務改善へのアイデアが出やすくなるが、サービスの失敗が起こったときのリカバリーは遅くなる。
⇒エンパワーメントにより現場の従業員に裁量が与えられると、顧客ニーズへの対応や業務改善だけでなく、サービス失敗時のリカバリーも迅速になりやすいです。リカバリーが遅くなるという点が誤りです。
ウ 従業員満足が顧客満足に影響することは大いにあるが、顧客満足が従業員満足につながることはほとんどない。
⇒従業員満足が顧客満足に影響するだけでなく、顧客からの感謝や高い評価が従業員のやりがい・誇り・満足につながることもあります。顧客満足が従業員満足につながることはほとんどないとする点が不適切です。